コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「…お前、女でも出来たの?」
ある土曜日。今朝から妙に青根がソワソワしていて俺まで調子が狂った。制汗剤も普段より念入りにしてるし、休憩時間になんか、普段、クラスの奴から借りた青根には普段縁の無い(失礼)雑誌で頭に疑問符を浮かべ手をもたつかせページを捲り、自分で気になる事があれば俺に、この店行ったことあるか、とか、メニューや味は?とか質問してきたから。…あの青根が!いや、顔に似合わず甘いの好きなのは知ってるけどさ、セレクトする店3店舗とも女ウケと若い子ターゲットしてるメルヘンでファンタジーなんだよ…!
そうなれば自ずと質問の選択肢は絞られてくる。あの青根もとうとう女が出来たのか…!ちょっと、というかめちゃくちゃ気になる。正直、どんな女なのか見てみたい。
「そうだな…何処も美味かったけど、お前も行くなら此処かな?ボリュームある飯もあるし」
青根の説明によれば、今日部活終わったこの後(1年のみ今日の部活練習は昼まで)会うらしい。マジかよデートじゃん、って言ったらフルフル…と顔を染めながら首を横に振られた。よく聞けば青根の父親が良くして貰ってる知り合いの娘さんと久しぶりに会うとか。んで、青根の父親が仕事関係で貰った(セレクトした3店舗全ての)特別招待券を入手して、折角だからその知り合いの娘さんと是非一緒に、って流れ…なんだと。
うわぁ何それ面白ェ展開。チャンスじゃんよ青根!制汗剤じゃなくて学校のシャワー浴びてから行けよ(なんなら俺も使いたいし)んで、楽しんでこいよ、なんて言って青根の肩をぽん、と叩けば、青根は不安そうな顔をグッ…とあげて俺のシャツを掴んだ。
「ーー今、彼女いない、よな?」
「~~ぅぐッ…!居ないんじゃねぇ…要らないんだよ!」
◇◇◇
「いや、あのさ…何で?」
「…いや、あの子とは久しぶりに会うから…」
「俺なんかその女知らねぇよ!」
普段は俺と相手挑発してるじゃん?先輩達に生意気してるじゃん?他校エースを指指しロックオンしようとするだろうが…!何で女相手にはそんな逃げ腰なんだよ!
部活を終えた俺達は学校のシャワーを借り汗を流してから待ち合わせ場所に来た。…まぁ、ビビる青根に付き添う俺も俺なんだけどさ…女来たら青根渡して折角だから此処まで来たんだしどっかで飯食ってから帰ろうかな。あ、どんな女かは気になるから女の顔は確認しよう。にやり、と口角を上げた。
「高伸くん…!お久しぶりです。お待たせーー…!?」
「…久しぶり」
ぽてん、とした小さな足音と共に来るから、あーやっと来たかどれどれ面を拝みますか、と視線を移した瞬間、ふわり、とした心地よい甘い香りと声が訪れては一瞬だけ呼吸のやり方を忘れた。ーーあぁ、知ってる。あれからずっと脳や心臓から離れない香りと声だ。続けて青根が照れくさそうになまえちゃん、と名前を呼んだのを合図に、俺自身が彼女を求める様にドクン、と強く焦がれ鳴いた。これは理屈じゃ無かった気がする。
今日は土曜日だからか、彼女と出会った時から接していた際の制服姿では無く、私服で雰囲気がまた異なるけれど間違いない。青根が今日会うって言ってた女は、俺とは二度と会うことは無い筈のーーあの青葉城西の女だった。
「あ…あの、こんにちは…!びっくりした…!高伸くんの制服…そっか伊達工に進学して2人は同じ学校だったんだね…?」
「ーー俺が何処に進学したか興味無いと思って言わなかった」
「そんなことないよ!ごめんなさい…高伸くんにはいつも私の話ばっかり聞いて貰ってたからっ…」
「なまえちゃん、そんなことない…!(汗)ーーなまえちゃんと知り合いだったのか…?」
「へ?知り合いというか…あぁ、まぁ…」
滑津と接する時はとはまた違い、わたわたする青根の一面を見るのは新鮮だな、とか、なまえちゃん、高伸くん、って呼んでるんだ…とか、そんな感情を抱きながら目の前で繰り広げられる一面を情趣を解さなさで眺めていたら、青根が俺に話し掛けてきて我に返る。やべ、急過ぎる展開に混乱するというか、いや正直…青根とこの子が知り合いだった…なんて思わない。ドクン、ドクン、と心臓がうるせぇ。何より身体が動かない…!
「ーーなら、3人で一緒に行くか?」
「何でそーなるんだよ!」
いやいやいや青根マジで…ッ、女は嫌だろ普通…!とつい焦りながらチラリと彼女の方を見てみれば、彼女はきょとん、とした表情で青根と俺を見ていた。相変わらず兎や雛みたいに小せぇ…やっぱり私服も清楚可憐なんだな…ふわっとしたリボンの白ワンピースが特に似合い過ぎる…可愛…じゃねぇ…!マジで誰か助けて…青根は基本的に分かってない…!
「ふふっ、そうだね。2人より3人で食べた方が美味しいもんね。あの、是非良かったら…!」
普段ならこんな状況に遭遇しても絶対に行かないし即帰るのに、何故だか脳みそと心臓の乾きに逆らえなくて青根や彼女と足を進めた。ーーそうだ、腹が減ってたから行くだけ。無料で食えるなら行くし。別に此奴らが気になる訳じゃない。
メルヘンな店に大柄で強面な青根と場所には決して似合わない俺が、小さな兎みたいに愛らしい女の子を連れて入るんだから、内心、店員も驚いてるだろうな。なんて思いながら招待券の恩恵に与り、部活終わりだった事もあって結構な量を平らげた様な気がする。うん、やっぱり美味い。女ウケだけじゃねぇわ。現に目の前の女も「可愛いし美味しいね」なんて蕩けた顔してクソ甘そうなパンケーキ食って喜んでるワケだし。ーーあー、お嬢様なのかやっぱり食べ方は綺麗なんだな。あざといくせに。腹立つ。
「どうしたの?…あっ、高伸くん甘いの好きだったよね?私のも食べる?」
青根はやはり慣れない状況、女の子とパンケーキ、店の可愛らしい雰囲気に緊張する様で、青根は度々視線を彼女に移して硬直する。其れを勘違いしたのか彼女は自身のパンケーキを今まで自身が使用していたフォークに食べやすい様に準備し、青根に所謂「あーんして食べて?」の体勢に入る。
その瞬間、俺が覚えて居たのは、顔を染め上げ困った顔をしていた青根と、無意識にパンケーキが乗るフォークを掴んだ彼女の手をギュッと掴んで無理やり割り込んで制止した後の俺だった。ーーえ?あら…?何してんの俺?
「あ…あの…?食べたかったんですか…?」
「ーーッ、ちげーよ!…お、お前も高校生にもなってヤメロよな!恥ずかしいだろ!つーか、ぽやぽやしてないでさっさと食い終われ!」
「ご、ごめんなさい…(この間、はじめちゃんにも注意されたばっかりだった…!)」
しゅん…とした彼女をまた青根がわたわたと慌てながら励まし、俺は耳まで真っ赤になった顔を必死に隠した。そんな普段の俺なら有り得ない状況や行動に青根までも気付かれていて、何よりも最終的には、俺自身だって全く不可解である気持ちをまさか誰よりも俺よりも先に青根に悟られているとは思いもしなかった。
ーーー
ーー
ー
「青根てめっ…」
折角、口内に含んだばかりのハードミントの飴だったのに、怒りの余りついガリッ、と噛み砕いて仕舞えば、訪れた強烈な爽快感に「グェェ」となった。
あの後、3人で店を出た直後、青根のスマホが震えて通話に出た瞬間、大切な急用だとか言ってめちゃくちゃ謝りながら帰って行った。おいマジふざけんなよどうすんだよこの状況。その場に残された女と互いに視線を合わせては互いにカァッ、と頬に熱が集まる感覚もあちらの頬の視覚も確認したけど、不思議とじゃあ解散、って考えは俺には無かった。彼女と解散して帰ったら、何故だか解らないけど強く後悔すると思ったから。
「わぁ…風がきもちいい…噴水もきらきらしています…!」
2人で店の近くの広い公園に来た。周りにはカップルがたくさん居て要するにデートスポットである。傍から見れば俺達は親しい間柄に見えたりするのか、なんて馬鹿げた事を考えて仕舞えば自身に呆れた。
それでも彼女の嬉しそうな顔を見れたので此方も柔らかな表情になれた、と云う自然の流れは又しても、少なくとも俺の中で揺さぶられ変化していった。
「……」
「?何だよ…」
「…優しい顔が素敵ですっ…!なので、いつもその顔をキープしてください…!」
「!?なっ…急に失礼だなテメェは!」
「ごめんなさい…!だって私の前ではいつも怖い顔なんですもん…!」
「こンの…っ!悪い口だな謝れおらおらおらっ」
「いひゃいひゃいっ」
ふにふにふにっ、と力加減はしつつ彼女の小さな両頬を両手の指で摘む。やっぱりこの子クッソ悔しいし腹立つくらい可愛い顔はしてる。まぁ、俺の女のタイプじゃないけど。柔らかく透明感溢れる肌、小さな桜桃の様な可愛らしい唇、伏せれば影ができる長いまつ毛に、くりんとした大きな瞳と、後はーー…駄目だ、気を抜いたら吸い込まれて無性に唇を啄みたくなる。俺もコイツ相手になんてとうとう頭イカれたか?ーー最近は、女に構われても自分から構う事は無くなったから知らず知らずのうちに飢えてるのかも。あーもー、それ以前に何でこの俺が女に一々ヤキモキしなくちゃならねぇんだよ…っ!
色々な想いに襲われながら、俺はいつの間にか彼女の頬を両手で包み込み顔を見上げさせる体制をとらせては、ジッ…と彼女の瞳の中を覗いた。
「…あ、のっ…?」
あまりの俺の真剣な表情に彼女は困惑が混ぜるトロッとした蕩ける甘い顔になり、其れが引き金で俺の頭の中の何かがブツッ…との切れそうになって、顔を引き寄せては彼女の唇に自身の唇をーー
ある土曜日。今朝から妙に青根がソワソワしていて俺まで調子が狂った。制汗剤も普段より念入りにしてるし、休憩時間になんか、普段、クラスの奴から借りた青根には普段縁の無い(失礼)雑誌で頭に疑問符を浮かべ手をもたつかせページを捲り、自分で気になる事があれば俺に、この店行ったことあるか、とか、メニューや味は?とか質問してきたから。…あの青根が!いや、顔に似合わず甘いの好きなのは知ってるけどさ、セレクトする店3店舗とも女ウケと若い子ターゲットしてるメルヘンでファンタジーなんだよ…!
そうなれば自ずと質問の選択肢は絞られてくる。あの青根もとうとう女が出来たのか…!ちょっと、というかめちゃくちゃ気になる。正直、どんな女なのか見てみたい。
「そうだな…何処も美味かったけど、お前も行くなら此処かな?ボリュームある飯もあるし」
青根の説明によれば、今日部活終わったこの後(1年のみ今日の部活練習は昼まで)会うらしい。マジかよデートじゃん、って言ったらフルフル…と顔を染めながら首を横に振られた。よく聞けば青根の父親が良くして貰ってる知り合いの娘さんと久しぶりに会うとか。んで、青根の父親が仕事関係で貰った(セレクトした3店舗全ての)特別招待券を入手して、折角だからその知り合いの娘さんと是非一緒に、って流れ…なんだと。
うわぁ何それ面白ェ展開。チャンスじゃんよ青根!制汗剤じゃなくて学校のシャワー浴びてから行けよ(なんなら俺も使いたいし)んで、楽しんでこいよ、なんて言って青根の肩をぽん、と叩けば、青根は不安そうな顔をグッ…とあげて俺のシャツを掴んだ。
「ーー今、彼女いない、よな?」
「~~ぅぐッ…!居ないんじゃねぇ…要らないんだよ!」
◇◇◇
「いや、あのさ…何で?」
「…いや、あの子とは久しぶりに会うから…」
「俺なんかその女知らねぇよ!」
普段は俺と相手挑発してるじゃん?先輩達に生意気してるじゃん?他校エースを指指しロックオンしようとするだろうが…!何で女相手にはそんな逃げ腰なんだよ!
部活を終えた俺達は学校のシャワーを借り汗を流してから待ち合わせ場所に来た。…まぁ、ビビる青根に付き添う俺も俺なんだけどさ…女来たら青根渡して折角だから此処まで来たんだしどっかで飯食ってから帰ろうかな。あ、どんな女かは気になるから女の顔は確認しよう。にやり、と口角を上げた。
「高伸くん…!お久しぶりです。お待たせーー…!?」
「…久しぶり」
ぽてん、とした小さな足音と共に来るから、あーやっと来たかどれどれ面を拝みますか、と視線を移した瞬間、ふわり、とした心地よい甘い香りと声が訪れては一瞬だけ呼吸のやり方を忘れた。ーーあぁ、知ってる。あれからずっと脳や心臓から離れない香りと声だ。続けて青根が照れくさそうになまえちゃん、と名前を呼んだのを合図に、俺自身が彼女を求める様にドクン、と強く焦がれ鳴いた。これは理屈じゃ無かった気がする。
今日は土曜日だからか、彼女と出会った時から接していた際の制服姿では無く、私服で雰囲気がまた異なるけれど間違いない。青根が今日会うって言ってた女は、俺とは二度と会うことは無い筈のーーあの青葉城西の女だった。
「あ…あの、こんにちは…!びっくりした…!高伸くんの制服…そっか伊達工に進学して2人は同じ学校だったんだね…?」
「ーー俺が何処に進学したか興味無いと思って言わなかった」
「そんなことないよ!ごめんなさい…高伸くんにはいつも私の話ばっかり聞いて貰ってたからっ…」
「なまえちゃん、そんなことない…!(汗)ーーなまえちゃんと知り合いだったのか…?」
「へ?知り合いというか…あぁ、まぁ…」
滑津と接する時はとはまた違い、わたわたする青根の一面を見るのは新鮮だな、とか、なまえちゃん、高伸くん、って呼んでるんだ…とか、そんな感情を抱きながら目の前で繰り広げられる一面を情趣を解さなさで眺めていたら、青根が俺に話し掛けてきて我に返る。やべ、急過ぎる展開に混乱するというか、いや正直…青根とこの子が知り合いだった…なんて思わない。ドクン、ドクン、と心臓がうるせぇ。何より身体が動かない…!
「ーーなら、3人で一緒に行くか?」
「何でそーなるんだよ!」
いやいやいや青根マジで…ッ、女は嫌だろ普通…!とつい焦りながらチラリと彼女の方を見てみれば、彼女はきょとん、とした表情で青根と俺を見ていた。相変わらず兎や雛みたいに小せぇ…やっぱり私服も清楚可憐なんだな…ふわっとしたリボンの白ワンピースが特に似合い過ぎる…可愛…じゃねぇ…!マジで誰か助けて…青根は基本的に分かってない…!
「ふふっ、そうだね。2人より3人で食べた方が美味しいもんね。あの、是非良かったら…!」
普段ならこんな状況に遭遇しても絶対に行かないし即帰るのに、何故だか脳みそと心臓の乾きに逆らえなくて青根や彼女と足を進めた。ーーそうだ、腹が減ってたから行くだけ。無料で食えるなら行くし。別に此奴らが気になる訳じゃない。
メルヘンな店に大柄で強面な青根と場所には決して似合わない俺が、小さな兎みたいに愛らしい女の子を連れて入るんだから、内心、店員も驚いてるだろうな。なんて思いながら招待券の恩恵に与り、部活終わりだった事もあって結構な量を平らげた様な気がする。うん、やっぱり美味い。女ウケだけじゃねぇわ。現に目の前の女も「可愛いし美味しいね」なんて蕩けた顔してクソ甘そうなパンケーキ食って喜んでるワケだし。ーーあー、お嬢様なのかやっぱり食べ方は綺麗なんだな。あざといくせに。腹立つ。
「どうしたの?…あっ、高伸くん甘いの好きだったよね?私のも食べる?」
青根はやはり慣れない状況、女の子とパンケーキ、店の可愛らしい雰囲気に緊張する様で、青根は度々視線を彼女に移して硬直する。其れを勘違いしたのか彼女は自身のパンケーキを今まで自身が使用していたフォークに食べやすい様に準備し、青根に所謂「あーんして食べて?」の体勢に入る。
その瞬間、俺が覚えて居たのは、顔を染め上げ困った顔をしていた青根と、無意識にパンケーキが乗るフォークを掴んだ彼女の手をギュッと掴んで無理やり割り込んで制止した後の俺だった。ーーえ?あら…?何してんの俺?
「あ…あの…?食べたかったんですか…?」
「ーーッ、ちげーよ!…お、お前も高校生にもなってヤメロよな!恥ずかしいだろ!つーか、ぽやぽやしてないでさっさと食い終われ!」
「ご、ごめんなさい…(この間、はじめちゃんにも注意されたばっかりだった…!)」
しゅん…とした彼女をまた青根がわたわたと慌てながら励まし、俺は耳まで真っ赤になった顔を必死に隠した。そんな普段の俺なら有り得ない状況や行動に青根までも気付かれていて、何よりも最終的には、俺自身だって全く不可解である気持ちをまさか誰よりも俺よりも先に青根に悟られているとは思いもしなかった。
ーーー
ーー
ー
「青根てめっ…」
折角、口内に含んだばかりのハードミントの飴だったのに、怒りの余りついガリッ、と噛み砕いて仕舞えば、訪れた強烈な爽快感に「グェェ」となった。
あの後、3人で店を出た直後、青根のスマホが震えて通話に出た瞬間、大切な急用だとか言ってめちゃくちゃ謝りながら帰って行った。おいマジふざけんなよどうすんだよこの状況。その場に残された女と互いに視線を合わせては互いにカァッ、と頬に熱が集まる感覚もあちらの頬の視覚も確認したけど、不思議とじゃあ解散、って考えは俺には無かった。彼女と解散して帰ったら、何故だか解らないけど強く後悔すると思ったから。
「わぁ…風がきもちいい…噴水もきらきらしています…!」
2人で店の近くの広い公園に来た。周りにはカップルがたくさん居て要するにデートスポットである。傍から見れば俺達は親しい間柄に見えたりするのか、なんて馬鹿げた事を考えて仕舞えば自身に呆れた。
それでも彼女の嬉しそうな顔を見れたので此方も柔らかな表情になれた、と云う自然の流れは又しても、少なくとも俺の中で揺さぶられ変化していった。
「……」
「?何だよ…」
「…優しい顔が素敵ですっ…!なので、いつもその顔をキープしてください…!」
「!?なっ…急に失礼だなテメェは!」
「ごめんなさい…!だって私の前ではいつも怖い顔なんですもん…!」
「こンの…っ!悪い口だな謝れおらおらおらっ」
「いひゃいひゃいっ」
ふにふにふにっ、と力加減はしつつ彼女の小さな両頬を両手の指で摘む。やっぱりこの子クッソ悔しいし腹立つくらい可愛い顔はしてる。まぁ、俺の女のタイプじゃないけど。柔らかく透明感溢れる肌、小さな桜桃の様な可愛らしい唇、伏せれば影ができる長いまつ毛に、くりんとした大きな瞳と、後はーー…駄目だ、気を抜いたら吸い込まれて無性に唇を啄みたくなる。俺もコイツ相手になんてとうとう頭イカれたか?ーー最近は、女に構われても自分から構う事は無くなったから知らず知らずのうちに飢えてるのかも。あーもー、それ以前に何でこの俺が女に一々ヤキモキしなくちゃならねぇんだよ…っ!
色々な想いに襲われながら、俺はいつの間にか彼女の頬を両手で包み込み顔を見上げさせる体制をとらせては、ジッ…と彼女の瞳の中を覗いた。
「…あ、のっ…?」
あまりの俺の真剣な表情に彼女は困惑が混ぜるトロッとした蕩ける甘い顔になり、其れが引き金で俺の頭の中の何かがブツッ…との切れそうになって、顔を引き寄せては彼女の唇に自身の唇をーー