月光花
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秋の鮮やかな色彩は、無論、宵さえも舞い踊り、人の目を楽しませる。
涼しく過ごしやすいせいか、酒も絶品であろう夜空の下で「月見だ!」なんて騒ぎながら酒を浴びるのは、京の治安を護る新選組幹部。
「あっ!新八っあん!どさくさに紛れて俺の団子食うなよ!」
ひっく、と言いながら、赤面になり隣にいる永倉に食いかかる平助は、すっかり気分良く酔っ払っている様だった。
「この世はな、弱肉強食なんだよん♪」
にししっ、と笑いながら団子を頬張る永倉は、後に平助の髪をわしゃわしゃと撫でながら放ち、彼も御機嫌そうに酒を浴びるのだった。
こんな感じで、偶には良いんじゃないか?との近藤の許可も降り、綺麗なお月様の下で皆で飲んでいるという訳だがー…。
(なんで団子だべ、大福のほうが福があっていーんじゃねの、)
団子をじっ…と見て、先ほどから団子と睨めっこをしている彼は、なぜ月見は団子で、自分の大好物では無いんだろう、とお酒にも手を付けず、勝手な事を考えていた。
「ま、うめーからいーや、」
結局は、睨めっこの意味は余り無く、そのまま可愛い団子を口に運んで茶を啜った。
酒が苦手な彼…なまえは、少し離れた場所で、どんちゃん騒ぎしている連中を微笑ましく眺めながら、大きく輝く月に視線を移す。
自分の片目と同じ色に輝く金は、心の音を落ち着かせると共に、酷く虚無感を産み、何故か孤独感を引き寄せた。
少し離れた場所から、あははっ!と笑いながら程よく酔い、皆が楽しんでいる明るい声が、近くて遠く感じ、なまえは1人だけ籠の中に閉じこめられて、声も放てず傍観している様、に思えてくるのであった。
もしかしたら秋の鮮やかな華の舞の裏には、虚無に陥る副作用が存在するのかも知れない。
駄目だ、俺、なんて想いながらなまえは、すっ…と目を瞑り暫くやり過ごしていると…
「…ぃっ…!」
己の額にベチンッと痛覚が走り、驚いてすぐさま目をぱちりと開ければ、目の前には指を構えた土方が含み笑いをしながら立っており、なまえは、己の額を片手で抑えながら「デコピンするなんて、ひっでーの、」と文句を垂らした。
「なーにシケた面してやがんだ。」
普段から無表情なんだから、今宵くらいは愛想振り撒く事できねぇのか、なんて土方から言われて仕舞えば、なまえは、むっ、とした表情を作り、視線の先で忙しく動く、酔っ払ってる幹部連中の世話をしている千鶴を眺めながら、「あんなん、できねーよ、」と零すのだった。
「ふっ、確かに…なまえが愛想笑い浮かべながら、なんて気持ち悪いな?」
「じゃあ、言うんじゃねーよ、」
なまえの隣に座る為に縁側に腰を掛けた、土方の頬をむぎっ、と摘みながら文句を叩くなまえに、土方はその行為に頬を染めながら「何しやがんだ」となまえの髪をわしゃわしゃと撫でるのだった。
土方の頬を摘む、なんて彼だけの特権。
なまえと土方が、初めて出会った時から始まった愛情表現。
「懐かしいな…。お前と初めて出会った頃の事を思い出した。」
綺麗な顔を笑みで歪ませ、土方は茶を啜るなまえに投げかけた。
土方は、連中の中の、沖田に視線を移し、「てめぇらは本当、ガキの頃から生意気だったよな」と零すと、なまえが「おー、総司は俺と逢った時も生意気だったぜー、俺の方が先に来たのに、」と団子を一つ摘み、ふにふにと指で遊ぶ。
「馬鹿…。お前の方が生意気だ」
やれやれ、と土方はため息を零すと、ついでに「近藤さんから紹介して貰ってる時に、いきなり機嫌悪くなって、俺の頬を引っ張ってきやがったのは、どこの獣だ?」と放てば、なまえは土方と逆の方向にふいっ、と顔を背けて仕舞うのだった。
「…しゃーねーべ?近藤さん、土方さんをベタ褒めなんだもん、」
むすっ、とした顔で土方の顔を覗けば、「でも、初めてあったばっかで、あーやって触るの…あんたが初めてで最後、」と放てば、二色に射抜かれた土方は、不覚にも胸をドキッとさせて仕舞うのだった。
「…バカ獣。何言ってやがんだ。」
「あ、照れてるー、かわい、」
僅かに頬を染める土方に、なまえは悪戯な笑みを浮かべてからかうと、土方は、ピキッと青筋を浮かべ、己の両手でなまえの頬を思いっきり摘む。
「…いひゃ、いひゃいひゃ」
ごめんなさい、と嘆くなまえに、土方は、ったく…と零した後、ふっと笑みを浮かべてなまえの頭を優しく撫でたのだ。
心地よい風と、絶対的な信頼と優しさを浸透させている土方の手の温もりを感じ、なまえは先ほどの虚無感から解放された様に感じては、見えない籠から救い出された感覚を抱く。
「…俺、あんたのそーいうとこ、すげー好き。」
きっと、土方と初めて逢った時から直ぐに、彼の絶対的な物を心は理解したのだろう、なまえが土方に寄せる信頼は強い。
「ったく、お前はいつも急にそういう事言うんだよな。」
土方がなまえの頭をぽんぽん、と撫でれば、「…悔しいけど、俺、あんたには絶対勝てねーや、」となまえは微笑むような表情をする。
「ったりめーだろ?てめぇは黙って近藤さんと俺に付いてくれば良いんだよ。」
そのかわり、一生、飼ってやっから、とわしゃわしゃと撫でられたなまえは、「うげ、鬼畜ー、」と零しながら、頬を緩ませ、初めて綺麗に浮かべるなまえの完璧な笑みは、月夜に照らされ、キラキラと綺麗に映り、月光の花が咲いた様だった。
ーーー
「土方さーん、なまえさーん!
すみません、此方を手伝って貰えませんか?」
完璧に酔いつぶれた幹部連中の介護を、千鶴と井上だけでは足らず、少し遠くから千鶴の助けを求める声が聞こえると、土方となまえは苦笑いを浮かべながら、しゃーねーな、と腰を上げ酔いつぶれた彼らを運び、宴の片付けをする。
「…げ、山南さんも酔ってんの?」
珍しーな、と零しながら、なまえは山南に手を貸すと、山南は寝言で「まったく、聞いているんですか!みょうじ君…」とムニャムニャ零しており、なまえは「俺、夢ん中でも説教されてんぜ、」と苦笑いを零すと、土方達に笑われるのであった。
そんな、ある戦士の休息ーー。
月光花
(絶対的な)(信頼)
ーーー
土方さんの絶対的な威厳は、
なまえ君は持っておらず
土方さんも許す、愛情表現は
なまえ君だけの特権。
涼しく過ごしやすいせいか、酒も絶品であろう夜空の下で「月見だ!」なんて騒ぎながら酒を浴びるのは、京の治安を護る新選組幹部。
「あっ!新八っあん!どさくさに紛れて俺の団子食うなよ!」
ひっく、と言いながら、赤面になり隣にいる永倉に食いかかる平助は、すっかり気分良く酔っ払っている様だった。
「この世はな、弱肉強食なんだよん♪」
にししっ、と笑いながら団子を頬張る永倉は、後に平助の髪をわしゃわしゃと撫でながら放ち、彼も御機嫌そうに酒を浴びるのだった。
こんな感じで、偶には良いんじゃないか?との近藤の許可も降り、綺麗なお月様の下で皆で飲んでいるという訳だがー…。
(なんで団子だべ、大福のほうが福があっていーんじゃねの、)
団子をじっ…と見て、先ほどから団子と睨めっこをしている彼は、なぜ月見は団子で、自分の大好物では無いんだろう、とお酒にも手を付けず、勝手な事を考えていた。
「ま、うめーからいーや、」
結局は、睨めっこの意味は余り無く、そのまま可愛い団子を口に運んで茶を啜った。
酒が苦手な彼…なまえは、少し離れた場所で、どんちゃん騒ぎしている連中を微笑ましく眺めながら、大きく輝く月に視線を移す。
自分の片目と同じ色に輝く金は、心の音を落ち着かせると共に、酷く虚無感を産み、何故か孤独感を引き寄せた。
少し離れた場所から、あははっ!と笑いながら程よく酔い、皆が楽しんでいる明るい声が、近くて遠く感じ、なまえは1人だけ籠の中に閉じこめられて、声も放てず傍観している様、に思えてくるのであった。
もしかしたら秋の鮮やかな華の舞の裏には、虚無に陥る副作用が存在するのかも知れない。
駄目だ、俺、なんて想いながらなまえは、すっ…と目を瞑り暫くやり過ごしていると…
「…ぃっ…!」
己の額にベチンッと痛覚が走り、驚いてすぐさま目をぱちりと開ければ、目の前には指を構えた土方が含み笑いをしながら立っており、なまえは、己の額を片手で抑えながら「デコピンするなんて、ひっでーの、」と文句を垂らした。
「なーにシケた面してやがんだ。」
普段から無表情なんだから、今宵くらいは愛想振り撒く事できねぇのか、なんて土方から言われて仕舞えば、なまえは、むっ、とした表情を作り、視線の先で忙しく動く、酔っ払ってる幹部連中の世話をしている千鶴を眺めながら、「あんなん、できねーよ、」と零すのだった。
「ふっ、確かに…なまえが愛想笑い浮かべながら、なんて気持ち悪いな?」
「じゃあ、言うんじゃねーよ、」
なまえの隣に座る為に縁側に腰を掛けた、土方の頬をむぎっ、と摘みながら文句を叩くなまえに、土方はその行為に頬を染めながら「何しやがんだ」となまえの髪をわしゃわしゃと撫でるのだった。
土方の頬を摘む、なんて彼だけの特権。
なまえと土方が、初めて出会った時から始まった愛情表現。
「懐かしいな…。お前と初めて出会った頃の事を思い出した。」
綺麗な顔を笑みで歪ませ、土方は茶を啜るなまえに投げかけた。
土方は、連中の中の、沖田に視線を移し、「てめぇらは本当、ガキの頃から生意気だったよな」と零すと、なまえが「おー、総司は俺と逢った時も生意気だったぜー、俺の方が先に来たのに、」と団子を一つ摘み、ふにふにと指で遊ぶ。
「馬鹿…。お前の方が生意気だ」
やれやれ、と土方はため息を零すと、ついでに「近藤さんから紹介して貰ってる時に、いきなり機嫌悪くなって、俺の頬を引っ張ってきやがったのは、どこの獣だ?」と放てば、なまえは土方と逆の方向にふいっ、と顔を背けて仕舞うのだった。
「…しゃーねーべ?近藤さん、土方さんをベタ褒めなんだもん、」
むすっ、とした顔で土方の顔を覗けば、「でも、初めてあったばっかで、あーやって触るの…あんたが初めてで最後、」と放てば、二色に射抜かれた土方は、不覚にも胸をドキッとさせて仕舞うのだった。
「…バカ獣。何言ってやがんだ。」
「あ、照れてるー、かわい、」
僅かに頬を染める土方に、なまえは悪戯な笑みを浮かべてからかうと、土方は、ピキッと青筋を浮かべ、己の両手でなまえの頬を思いっきり摘む。
「…いひゃ、いひゃいひゃ」
ごめんなさい、と嘆くなまえに、土方は、ったく…と零した後、ふっと笑みを浮かべてなまえの頭を優しく撫でたのだ。
心地よい風と、絶対的な信頼と優しさを浸透させている土方の手の温もりを感じ、なまえは先ほどの虚無感から解放された様に感じては、見えない籠から救い出された感覚を抱く。
「…俺、あんたのそーいうとこ、すげー好き。」
きっと、土方と初めて逢った時から直ぐに、彼の絶対的な物を心は理解したのだろう、なまえが土方に寄せる信頼は強い。
「ったく、お前はいつも急にそういう事言うんだよな。」
土方がなまえの頭をぽんぽん、と撫でれば、「…悔しいけど、俺、あんたには絶対勝てねーや、」となまえは微笑むような表情をする。
「ったりめーだろ?てめぇは黙って近藤さんと俺に付いてくれば良いんだよ。」
そのかわり、一生、飼ってやっから、とわしゃわしゃと撫でられたなまえは、「うげ、鬼畜ー、」と零しながら、頬を緩ませ、初めて綺麗に浮かべるなまえの完璧な笑みは、月夜に照らされ、キラキラと綺麗に映り、月光の花が咲いた様だった。
ーーー
「土方さーん、なまえさーん!
すみません、此方を手伝って貰えませんか?」
完璧に酔いつぶれた幹部連中の介護を、千鶴と井上だけでは足らず、少し遠くから千鶴の助けを求める声が聞こえると、土方となまえは苦笑いを浮かべながら、しゃーねーな、と腰を上げ酔いつぶれた彼らを運び、宴の片付けをする。
「…げ、山南さんも酔ってんの?」
珍しーな、と零しながら、なまえは山南に手を貸すと、山南は寝言で「まったく、聞いているんですか!みょうじ君…」とムニャムニャ零しており、なまえは「俺、夢ん中でも説教されてんぜ、」と苦笑いを零すと、土方達に笑われるのであった。
そんな、ある戦士の休息ーー。
月光花
(絶対的な)(信頼)
ーーー
土方さんの絶対的な威厳は、
なまえ君は持っておらず
土方さんも許す、愛情表現は
なまえ君だけの特権。
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