Morphin
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鳥羽伏見の負戦、大阪城撤退、幕府の総大将たる慶喜公の恭順、そして桜樹木に貳の蕾ーー
悲壮美な戒めを浅葱に刻む代償を羽織、創痍になりながらも江戸に戻った一行は、決して先行きが明るいと言えない展開に不安な空気が立ち込めながらも、品川にある旗本専用の【釜屋】に身を寄せる事と成る。
「…お願いします、」
肩に傷を負った近藤と労咳を患った沖田は、致し方なく松本の元で療養する事と成り…その重大な事柄な故、なまえは真剣に松本に頭を下げ懇願するのだが、松本からは「…本来であれば君の首根っこ掴んで、君も引き連れて帰りたいのだがな…」と溜め息混じりの苦笑いと共に、重たい苦言を返されて仕舞った。
「冗談だろ、おっかねーなー?」
生意気な歯を見せながら口角をあげるなまえに、松本は「…全く…此処まで私の感情を乱すのは君くらいだよ。ほれ、薬飲んでおきなさい。」と粉薬の包を手渡せば、なまえは小さく御礼を言い序でにと、彼独特のセンセ、と松本を呼び己の頼み事を途切れる事無く続ければ、無論、松本の眉間には皺が深く寄り「何故だ?」と理由を問いたしてくる彼に、なまえは、やっぱりそうくるよね、と今度は己の方が苦笑いを零す。
「…んー、火傷?」
この間の戦の時にさー、なんて最後に疑問詞を持ちながらも誤魔化す様に問いに答えるなまえに、松本は己の視線をなまえの左手首に巻いてある包帯に落としながら「…薬草を練って調合してきてやろう…後で取りに来なさい。」と返しながらも何かを悟るが、しかしこれ以上、なまえに問い掛ける訳もなく強引に納得すれば、静かに息を飲むと同時に言葉を落とし哀しそうな表情を隠せない儘、なまえの前からザッ…と己の背に影を彫りながら立ち去る。
(錆墨を原料とした影は、医龍の威厳を更に悲喜)
「…ぐあー。センセには適わねー、」
なまえは、己の左腕を庇う様に包帯の上から右手で触れてやれば、ズキッ…とする鈍痛に比例して松本に対する罪悪感に襲われ左胸にも痛が走り、弱々しく灯す紅月を本日も懸命に輝かせた。
徐々にジワジワ…と浸透する鍵の魔力で形成されて逝く爛華は、たかが薬草で枯れ毟られる程脆くは無い事位、己も重々承知しているなまえなのだが、まあ気休め程度には…との軽い気持ちで頼んだのであったが、やはり松本の何とも言えない表情を目の当たりにして仕舞い、後悔さえも彼を蝕む。
(敬礼、灯しぶ妖鬼の苦篶舞)
ーーー
「まさか…慶喜公の様に、近藤さんも逃げたりしないよな?」
なまえが松本と別れ屯所に戻る途中、コッソリと話す平隊士二人組の会話を偶然に耳にしたなまえは、隙あらば聞いちまえー、と思いながら二人組の背後から近寄ったが、二人組は全く彼に気が付く事無く会話を続ければ、彼らの話題は今後の不安要素を吐き出す事柄であるのが解った。
「俺、正直不安だよ…。
近藤さんは本当に新選組を置き去りにして一目散に自分だけ逃げ出したりしないのかどうかがさ…」
悲しい表情をしながら胸に抱いていた気持ちを吐き出す隊士に、とうとうなまえが会話を遮りニョッと彼らの背後から生え「…ほーら、意味わかんねー事ゆってっと、後ろから鬼さん来ちまうぜ?」と二人の肩をぽんっ、と軽く叩けば、隊士達は体をビクッと震え上がらせ「…っ!?みょうじさんっ!?…鬼さんって…?!」と、物凄く驚いた声を漏らし疑問を浮かべつつ無理矢理流し、続けてすぐさま謝罪の言葉を入れ急いで頭を下げる。
なまえが近藤信者との事は平隊士でも理解している事である故に、隊士は申し訳なさそうになまえの顔を伺うと、なまえは「…んー?今やるべき事ちゃんとやりゃ聞かなかった事にする、」と二人の隊士の頭をぽんっ、と叩きながら「…あー、これは俺の独り言だけど、」と言葉を静かに続ける。
「…もし自分が大将だったら…たとえ兵士が二、三百人になっても大阪城立てこもって、とことん戦ってーー最後は腹を斬って武士の生き様、見せつけてやるのに、」
大阪城引き上げの際、肩を負傷して寝込んでいた近藤が悔やみながら土方となまえに嘆き向けた言葉を、雰囲気を壊さぬ様そっくり其の儘映すかの如くなまえが呟き終えると、ニッ…と一つ、含み笑いを落とした。
「俺らが付く背中はこんな人だぜ?…つーか、大将がさっさと腹詰めちまってどーすんだよ、って思わねー?」
なまえは、あの人は全く仕方ないよな、なんて言う様に呆れた感じで珍しく笑いながら言えば、なまえの言葉を聞いた二人の隊士の目には、小さく光るものが見えた。
「…っ、そうですよね…!
ありがとうございます!すみませんでした!失礼します!」
己の邪念を斬り開いたかの様に替えなまえに礼をした後、背を向け場所に戻る隊士達の後に、先程の一連を眺めていた原田と永倉がなまえへと近付き挨拶をすれば、永倉が序でに「見てたぜ?…なーんかなまえちゃんらしくねぇ説得だな?」と声を掛けると、なまえは「…だって、不安になる気持ちも間違ってねーべ?」と返せば、二人は「…正直、あいつらの気持ちも…わからなくはねぇかな…?」と小さく頷き肯定する。
「いくら近藤さんがそう言っても結局、現実じゃあよ…。
命懸けて戦ってる家来を見捨てて逃げ出すなんざ、腰抜け以外の何物でもねえ…幕府ときたら、戦う前から負けちまってるじゃねえか。」
原田が苦虫を噛み潰した様な表情をしながら言葉を落とせば、続けて永倉は深い溜息を落とす。
自分達は何の為に戦うのか、これからどうするべきなのか…正直、この先の【誠】の道は、不安の霧によって霞んで雲、哀しき現象にて視界を遮断されて終うのであろうか?神のみぞ知る。
「あ~、お先真っ暗~?
あれこれ考えてても落ち込むだけだし、今から3人で吉原にでも行かねえ?」
腕を天にグッと煽り体を伸ばしながら言葉を発する永倉に、原田となまえは呆れたように笑いを落とせば「…ったく、まぁ新八は変わることなく裏切る事もなく、ってやつか?」と答えるのであった。
晴天、哀しくも霄、
邪魔な白は、赦す事泣く
「…なまえさん、私…!
一度、江戸にある実家へ戻り羅刹に関する資料を探して来たいのですが…!」
数日たったある日の事、主に土方が仕事の激務をこなす中、千鶴も己に何かしら出来る事が無かろうかとの心理から思い付いた事を、新選組の中で一番に信頼するなまえだけに相談すれば、なまえは腕を組み暫く考えた後、紅月を力強く輝かせながら、己も同行しても良いかと千鶴に問う。
「女一人じゃ夜道も危ねーし…、俺も出来る事したい、」
千鶴は申し訳なさそうにしながらも「宜しくお願いします。」と頭をぺこりと下げ、決まればでは早速との事で二人は外出許可を取り江戸へと出迎い、貴重な一日を使えば膨大な資料を一つ一つ調べた結果、羅刹達が血に狂い始めた時にその衝動を抑える薬について記されている資料を発見する事になる。
「…大丈夫です。材料も揃います!」
「っし、これなら吸血衝動の苦しみから多少…救えるかもな、」
手掛かりとなる糧を手にした喜びと反面、例え気休めだとしても薬に縋る逃れられぬ罪に、なまえの感情は、最近の出来事をも供に振り返って仕舞えば、罪罰の煙幕に犯されては汚され又しても心は傷ついてゆく。
(満身創痍、御神酒で抹消)
『新選組の中に…夜の見回りと言いながら、辻斬りを起こしている者が居るのですよ?』
先日の君菊からの鋭利な報告を思いだし、なまえは一瞬眩暈さえ覚えつつ悔しさから身震いを起こさせ生命を繋ぎ留めれば、恐らく"彼"であろう人物を脳に描きながら、千鶴と供に例の薬を調合し、この手で『麻薬』を造りあげて終うのだったーー
(アルカロイドに差し伸べられた最終宣告、morphine)
「なまえさんが付いてきてくれて助かりました!きっと私一人では難しかったかもしれませんし、それに夜道も安心できました…!」
無論、江戸での用事は総て終わらせ屯所に帰宅した頃は、どうしても夜更けになって仕舞っており…千鶴は再度、供に付いてきたなまえに礼を言えば、なまえは「こちらこそ?お嬢のお役にもたてたみたいだし、お望みあらばいつでも護衛してやんよ、」と悪戯な優しい表情で返せば、千鶴の頬はピンク色に染まって仕舞う。
「もうっ…!すぐ私の事、からかうんだもん〃あっ、お薬は私となまえさんで持っていましょう?」
千鶴は調合し包に納めた薬達をなまえへと手渡せば、なまえはコックリと頷き包を懐へと直した後、すでに夜更けである事を指摘すれば「お疲れさん、ゆっくり休めー」と、千鶴を部屋へとすぐさま戻そうとしたが、千鶴は「土方さんが少し心配なので…」と一言添え、土方の様子を見てから床に入ると説明しなまえと別れた。
「お嬢が鬼副長の相手なら、俺は鬼教官?なんつってー、」
んべっ、と舌を出し独り言を闇へと完璧に沈み込めたかと思えば「…ほお?それは一体、誰の事でしょうね?」と簡単に拾われて仕舞い、なまえは苦笑いを落としながら「…あ、聞こえちまった?」と背後の彼に言葉を渡すが、彼は面白くなさそうに「…全く、こんな時間まで女性を連れ回して一体何を考えてるんですか?最近の夜道が物騒な事くらい、貴方もご存じでしょうに…」と嫌味を含まれ倍に言葉を返され叩きつけられて仕舞うと、なまえは「やだなー?俺はいつでも新選組の事、考えてんだぜ?…もちろん、あんたの事もね?山南さん、」と鋭い紅月で闇に生命を宿らせれば、なまえと彼…山南は、暫く鋭い緊張感を張り巡らせ味わう事となる。
「…とにかく、子供はさっさと寝なさい。夜回りなら羅刹の私に任せておけば良いのですから…」
フッ…と笑う吐息で緊張感を壊した山南は、妖しげな笑みと威嚇をなまえに粘着に宛てるが、なまえは、そんな素振りを知らぬ振りをした挙げ句「…あんた、吸血衝動になったら、どーしてんの?」と空気をも無視し軽々しく質問すると、山南の眉間はピクッ…と痙攣し視線が鋭くなり「…私をその辺の羅刹と一緒にしないで下さい…!そんなもの平気に決まってるでしょう?」と抑える様な低い声で静かに返した。
「…自然の摂理に逆らえる程、灰色なブツが生きる事を許されるなんて思うなよ?」
なぁ?立派なモンだろ?俺もあんたも…と山南に問うなまえに、山南は更に血管を浮かび上がらせ憤怒を呼び起こせば「…何が言いたい?」とギリギリ…ッと歯を軋ませなまえを睨みつけると、その動物的な山南の行動を見ると「…感情的なのは性だよな、」となまえは、酷く哀しく笑う。
「…持ってけば?御守り、」
感情的になる山南に向け先程の薬をヒョイと投げれば、山南は習性に逆らえず黙って掴み取り包を眺め其の意味を察すると「…やれやれ、やはり貴方は不愉快になる程の御節介屋ですね…」と放ちながら掌で薬をキシッ…と握り潰した。
「買い被りすぎ。
近藤さん悲しませる事が起きなきゃ俺は何も言わねーよ?あんたが何考えてるのか、何企んでんのか…興味ねー、」
深く意味有り気な言葉の大釘を、山南の心臓に捻子打ち衝ける様に突き刺せば、妖鬼はそのまま闇の中に紛れ去って行くのであった。
「ねーねー、土方さーん?
たまには一緒にお茶飲まない?仕方ねーから大福一個おまけするよー、ちなみに三個ある、」
「うっさい猫!俺ァ忙しいんだよ。あー、てめェの大福だけ其処に全部置いてけ。後で俺が食っちゃる。」
「んぐ!?そりゃねーべ、この鬼!」
「ぶっ!おまえが言うか?
…っと、こうしちゃいられねェ…。なまえ、構ってやりてェが大事な会談があるからよ。…俺の留守中、おいたすんじゃねェぞ?」
その後も土方は激務をこなしながらも時間を見つけては、幕府のお偉い方との会談を重ね…隊士の中で土方がいつ睡眠を取ってるのか不思議だ、との会話も多く耳にする様になっていた特にこの頃ーー
「…あのさ、あんまり無茶すんなよな、俺が出来る事あれば…」
「だからさっきから大切そうに腕で抱きしめてやがる其の大福、全部置いてけ。」
なまえの心配する言葉を途中で遮り、容赦無くキッパリと言いたい事だけを放ち終わった直後、パタン!と襖の戸を閉めて去る土方に、無論、なまえは追い付く間もなくその場に残されぽかん…と唖然し「…なんって男だ!俺が心配してんのに…っ!」と一人で軽口を叩きながら大福を二個、土方の机の上に置いてやれば、帰ってきたらいつでも食べられるように準備をしておく。
「…こんな文字だらけ、眠くなる、」
机の上に広がり散らかる資料は嫌でもなまえの紅月に映り込み、そして其の情景は土方の激務を痛々しい程に物語り…総ては近藤を戦場へと戻してあげたいとの一心が土方を突き動かしているのではないかと察するなまえは、紅月の奥から込み上げてくる熱い意思を我慢し堪えながら、大福と例の薬と「ありがとう」と一言記した手紙を添えれば、土方の部屋を後にする。
そんな事柄等がある最中、新選組には旗本屋敷が屯所としてあてがわれ全員が其処に移る事と成ったのであった。
(せめて天に届くのならば、強き紫の願いだけで構わない)
「まずは甲府へ向かい、そこで新政府軍を迎え撃つ事となった。
御公儀からは既に、大砲二門、銃器、そして軍用金も頂戴している!此処は是非とも手柄を立てねばな、諸君!」
数日後ーー天に想いが通じたのであろう近藤は元気な姿を取り戻し、次の作戦についての説明を始めて織り…今回の任務に当たって、近藤は若年寄格、土方は寄格席格という身分を頂いたらしい。
「ねー、近藤さん?もう痛いとこない?」
「ああ…!なまえ、心配を掛けてすまなかったな。また供に戦場を駆け巡る事が出来るぞ!」
大きく笑いながらなまえの頭を撫で応える近藤の元気な姿に、素直に照れ喜ぶ表情を見せるなまえとは反対に、何故か永倉と原田の表情は浮かぶ事はなく酷く渋い表情に変わった直後、とうとう永倉が横から口を挟む形を取った。
「…なぁ、近藤さん。
その甲府を守れって話を持ってきたのは、どこの誰だ?」
「勝安房守殿だが…それがどうかしたのか?」
近藤の返しに、永倉は更に眉間に皺を寄せ「勝って人の話は何度か耳にした事あるが…はっきり言うが余り良い評判は聞かねえぜ。…なんでも大の戦嫌いで有名らしいが…何故、そんな人が気前良く武器やら軍資金を出してくれるんだ?」と続ければ、原田も永倉に加担し「徳川の殿様自体が、新政府軍に従う気満々らしいしな…同じ意向なんじゃねぇのか」と放てば、二人の言葉に近藤は一瞬顔をしかめるが、すぐさま眼を鋭くさせ「永倉君、原田君、これは幕府直々の命令なのだぞ。」と一喝し続けて「もし我々が甲府城を守りきれば幕府側に勝算ありとみて、戦に本腰を入れてくださるかも知れん…御上が我々を、甲府を守るに足る部隊だと認めてくれているんだぞ?」と永倉に問えば、永倉は「…その言い方、やめてくれねえか。なまえちゃんの前でこんな言い方はあれだが…俺は新選組の組長ではあるが、あんたの家来になったつもりはねえからな」と言い返せば、近藤は更に顔をしかめ、とうとう口さえも紡ぐ事と成った。
「新八…、」
なまえが永倉の名を呼んでも陰険な空気は止まぬ儘、更に原田も便乗し容赦無く斎藤へと意見を振れば、斎藤の碧は凛と燃え上がり「俺は、局長と副長の意見に従いーーなまえと供に武士を貫く」と己の意見を叩き出せば、後は一切口を閉じ碧の炎をも瞑り消炎させる。
斎藤の意見により皆の視線が土方に注げば、土方は「兎に角…」と今の目的を肯定する様に促すと、永倉も原田も渋々だが了承し意見は纏まる事と成ったのであったが、やはり理性では理解していても感情までは治まらなかったのであろう…永倉が又しても近藤に突っかかる様な発言を取った次の瞬間、さすがのなまえも黙って聞いては居られず近藤を庇うように彼の前と永倉の前に立ち、そして口を挟んで仕舞った。
「…新八、いい加減にしとけよ?」
今、土方さんの意見で納得したのはお前だべ、と永倉に問い、いつもなら此処で永倉は苦笑いを落とし「悪かったよ~なまえちゃん、怒らないで?」なんて甘えたな態度に成る筈であったのだが、しかし状況は許しては呉れず…永倉は少し傷付いた表情をし唇を噛んだ後、今度はなまえに食ってかかる様に抵抗を見せた。
「…なまえちゃんは何時だって近藤さん近藤さん近藤さんってよ…!
今だって俺の意見や考えを少しも考えようとも取ってくれもねぇで…正直、なまえが居ると話ヤリ難いんだよ…!!」
感情任せから放った永倉の言葉に無論その場の空気も人間も一瞬にして凍りつき、氷点下の冷気を放つ中の広間には冷たく鳴り響く警告の氷柱が何本も完成させ…しかしながら今の永倉の発言に、斎藤の心中は穏やかでは無いのであろう、強く永倉を睨み付けていた。
「…馬鹿!言いすぎだ!それになまえに八つ当たるのは間違ってんだろ!?」
この冷酷を叩き割ったのは先程まで永倉に便乗していた原田であって、なまえの物凄く傷付いた表情を見てしまえば永倉も瞬にハッと我に返りーー
【左腕の爛華は夢の終わりかの如く、飛散に連携するかの溶】
歴史を轟かせ馳ばう浅葱は氷柱の鋭利に及ばず、不快な亀裂を灼き嘔吐神経を虚しく擽れば、新選組隊士の個々の道で沫、此が運命だと嘲笑う。
Morphin
(血漿)(落雷型の亀裂)
ーーー
準備はいいか?犬共
悲壮美な戒めを浅葱に刻む代償を羽織、創痍になりながらも江戸に戻った一行は、決して先行きが明るいと言えない展開に不安な空気が立ち込めながらも、品川にある旗本専用の【釜屋】に身を寄せる事と成る。
「…お願いします、」
肩に傷を負った近藤と労咳を患った沖田は、致し方なく松本の元で療養する事と成り…その重大な事柄な故、なまえは真剣に松本に頭を下げ懇願するのだが、松本からは「…本来であれば君の首根っこ掴んで、君も引き連れて帰りたいのだがな…」と溜め息混じりの苦笑いと共に、重たい苦言を返されて仕舞った。
「冗談だろ、おっかねーなー?」
生意気な歯を見せながら口角をあげるなまえに、松本は「…全く…此処まで私の感情を乱すのは君くらいだよ。ほれ、薬飲んでおきなさい。」と粉薬の包を手渡せば、なまえは小さく御礼を言い序でにと、彼独特のセンセ、と松本を呼び己の頼み事を途切れる事無く続ければ、無論、松本の眉間には皺が深く寄り「何故だ?」と理由を問いたしてくる彼に、なまえは、やっぱりそうくるよね、と今度は己の方が苦笑いを零す。
「…んー、火傷?」
この間の戦の時にさー、なんて最後に疑問詞を持ちながらも誤魔化す様に問いに答えるなまえに、松本は己の視線をなまえの左手首に巻いてある包帯に落としながら「…薬草を練って調合してきてやろう…後で取りに来なさい。」と返しながらも何かを悟るが、しかしこれ以上、なまえに問い掛ける訳もなく強引に納得すれば、静かに息を飲むと同時に言葉を落とし哀しそうな表情を隠せない儘、なまえの前からザッ…と己の背に影を彫りながら立ち去る。
(錆墨を原料とした影は、医龍の威厳を更に悲喜)
「…ぐあー。センセには適わねー、」
なまえは、己の左腕を庇う様に包帯の上から右手で触れてやれば、ズキッ…とする鈍痛に比例して松本に対する罪悪感に襲われ左胸にも痛が走り、弱々しく灯す紅月を本日も懸命に輝かせた。
徐々にジワジワ…と浸透する鍵の魔力で形成されて逝く爛華は、たかが薬草で枯れ毟られる程脆くは無い事位、己も重々承知しているなまえなのだが、まあ気休め程度には…との軽い気持ちで頼んだのであったが、やはり松本の何とも言えない表情を目の当たりにして仕舞い、後悔さえも彼を蝕む。
(敬礼、灯しぶ妖鬼の苦篶舞)
ーーー
「まさか…慶喜公の様に、近藤さんも逃げたりしないよな?」
なまえが松本と別れ屯所に戻る途中、コッソリと話す平隊士二人組の会話を偶然に耳にしたなまえは、隙あらば聞いちまえー、と思いながら二人組の背後から近寄ったが、二人組は全く彼に気が付く事無く会話を続ければ、彼らの話題は今後の不安要素を吐き出す事柄であるのが解った。
「俺、正直不安だよ…。
近藤さんは本当に新選組を置き去りにして一目散に自分だけ逃げ出したりしないのかどうかがさ…」
悲しい表情をしながら胸に抱いていた気持ちを吐き出す隊士に、とうとうなまえが会話を遮りニョッと彼らの背後から生え「…ほーら、意味わかんねー事ゆってっと、後ろから鬼さん来ちまうぜ?」と二人の肩をぽんっ、と軽く叩けば、隊士達は体をビクッと震え上がらせ「…っ!?みょうじさんっ!?…鬼さんって…?!」と、物凄く驚いた声を漏らし疑問を浮かべつつ無理矢理流し、続けてすぐさま謝罪の言葉を入れ急いで頭を下げる。
なまえが近藤信者との事は平隊士でも理解している事である故に、隊士は申し訳なさそうになまえの顔を伺うと、なまえは「…んー?今やるべき事ちゃんとやりゃ聞かなかった事にする、」と二人の隊士の頭をぽんっ、と叩きながら「…あー、これは俺の独り言だけど、」と言葉を静かに続ける。
「…もし自分が大将だったら…たとえ兵士が二、三百人になっても大阪城立てこもって、とことん戦ってーー最後は腹を斬って武士の生き様、見せつけてやるのに、」
大阪城引き上げの際、肩を負傷して寝込んでいた近藤が悔やみながら土方となまえに嘆き向けた言葉を、雰囲気を壊さぬ様そっくり其の儘映すかの如くなまえが呟き終えると、ニッ…と一つ、含み笑いを落とした。
「俺らが付く背中はこんな人だぜ?…つーか、大将がさっさと腹詰めちまってどーすんだよ、って思わねー?」
なまえは、あの人は全く仕方ないよな、なんて言う様に呆れた感じで珍しく笑いながら言えば、なまえの言葉を聞いた二人の隊士の目には、小さく光るものが見えた。
「…っ、そうですよね…!
ありがとうございます!すみませんでした!失礼します!」
己の邪念を斬り開いたかの様に替えなまえに礼をした後、背を向け場所に戻る隊士達の後に、先程の一連を眺めていた原田と永倉がなまえへと近付き挨拶をすれば、永倉が序でに「見てたぜ?…なーんかなまえちゃんらしくねぇ説得だな?」と声を掛けると、なまえは「…だって、不安になる気持ちも間違ってねーべ?」と返せば、二人は「…正直、あいつらの気持ちも…わからなくはねぇかな…?」と小さく頷き肯定する。
「いくら近藤さんがそう言っても結局、現実じゃあよ…。
命懸けて戦ってる家来を見捨てて逃げ出すなんざ、腰抜け以外の何物でもねえ…幕府ときたら、戦う前から負けちまってるじゃねえか。」
原田が苦虫を噛み潰した様な表情をしながら言葉を落とせば、続けて永倉は深い溜息を落とす。
自分達は何の為に戦うのか、これからどうするべきなのか…正直、この先の【誠】の道は、不安の霧によって霞んで雲、哀しき現象にて視界を遮断されて終うのであろうか?神のみぞ知る。
「あ~、お先真っ暗~?
あれこれ考えてても落ち込むだけだし、今から3人で吉原にでも行かねえ?」
腕を天にグッと煽り体を伸ばしながら言葉を発する永倉に、原田となまえは呆れたように笑いを落とせば「…ったく、まぁ新八は変わることなく裏切る事もなく、ってやつか?」と答えるのであった。
晴天、哀しくも霄、
邪魔な白は、赦す事泣く
「…なまえさん、私…!
一度、江戸にある実家へ戻り羅刹に関する資料を探して来たいのですが…!」
数日たったある日の事、主に土方が仕事の激務をこなす中、千鶴も己に何かしら出来る事が無かろうかとの心理から思い付いた事を、新選組の中で一番に信頼するなまえだけに相談すれば、なまえは腕を組み暫く考えた後、紅月を力強く輝かせながら、己も同行しても良いかと千鶴に問う。
「女一人じゃ夜道も危ねーし…、俺も出来る事したい、」
千鶴は申し訳なさそうにしながらも「宜しくお願いします。」と頭をぺこりと下げ、決まればでは早速との事で二人は外出許可を取り江戸へと出迎い、貴重な一日を使えば膨大な資料を一つ一つ調べた結果、羅刹達が血に狂い始めた時にその衝動を抑える薬について記されている資料を発見する事になる。
「…大丈夫です。材料も揃います!」
「っし、これなら吸血衝動の苦しみから多少…救えるかもな、」
手掛かりとなる糧を手にした喜びと反面、例え気休めだとしても薬に縋る逃れられぬ罪に、なまえの感情は、最近の出来事をも供に振り返って仕舞えば、罪罰の煙幕に犯されては汚され又しても心は傷ついてゆく。
(満身創痍、御神酒で抹消)
『新選組の中に…夜の見回りと言いながら、辻斬りを起こしている者が居るのですよ?』
先日の君菊からの鋭利な報告を思いだし、なまえは一瞬眩暈さえ覚えつつ悔しさから身震いを起こさせ生命を繋ぎ留めれば、恐らく"彼"であろう人物を脳に描きながら、千鶴と供に例の薬を調合し、この手で『麻薬』を造りあげて終うのだったーー
(アルカロイドに差し伸べられた最終宣告、morphine)
「なまえさんが付いてきてくれて助かりました!きっと私一人では難しかったかもしれませんし、それに夜道も安心できました…!」
無論、江戸での用事は総て終わらせ屯所に帰宅した頃は、どうしても夜更けになって仕舞っており…千鶴は再度、供に付いてきたなまえに礼を言えば、なまえは「こちらこそ?お嬢のお役にもたてたみたいだし、お望みあらばいつでも護衛してやんよ、」と悪戯な優しい表情で返せば、千鶴の頬はピンク色に染まって仕舞う。
「もうっ…!すぐ私の事、からかうんだもん〃あっ、お薬は私となまえさんで持っていましょう?」
千鶴は調合し包に納めた薬達をなまえへと手渡せば、なまえはコックリと頷き包を懐へと直した後、すでに夜更けである事を指摘すれば「お疲れさん、ゆっくり休めー」と、千鶴を部屋へとすぐさま戻そうとしたが、千鶴は「土方さんが少し心配なので…」と一言添え、土方の様子を見てから床に入ると説明しなまえと別れた。
「お嬢が鬼副長の相手なら、俺は鬼教官?なんつってー、」
んべっ、と舌を出し独り言を闇へと完璧に沈み込めたかと思えば「…ほお?それは一体、誰の事でしょうね?」と簡単に拾われて仕舞い、なまえは苦笑いを落としながら「…あ、聞こえちまった?」と背後の彼に言葉を渡すが、彼は面白くなさそうに「…全く、こんな時間まで女性を連れ回して一体何を考えてるんですか?最近の夜道が物騒な事くらい、貴方もご存じでしょうに…」と嫌味を含まれ倍に言葉を返され叩きつけられて仕舞うと、なまえは「やだなー?俺はいつでも新選組の事、考えてんだぜ?…もちろん、あんたの事もね?山南さん、」と鋭い紅月で闇に生命を宿らせれば、なまえと彼…山南は、暫く鋭い緊張感を張り巡らせ味わう事となる。
「…とにかく、子供はさっさと寝なさい。夜回りなら羅刹の私に任せておけば良いのですから…」
フッ…と笑う吐息で緊張感を壊した山南は、妖しげな笑みと威嚇をなまえに粘着に宛てるが、なまえは、そんな素振りを知らぬ振りをした挙げ句「…あんた、吸血衝動になったら、どーしてんの?」と空気をも無視し軽々しく質問すると、山南の眉間はピクッ…と痙攣し視線が鋭くなり「…私をその辺の羅刹と一緒にしないで下さい…!そんなもの平気に決まってるでしょう?」と抑える様な低い声で静かに返した。
「…自然の摂理に逆らえる程、灰色なブツが生きる事を許されるなんて思うなよ?」
なぁ?立派なモンだろ?俺もあんたも…と山南に問うなまえに、山南は更に血管を浮かび上がらせ憤怒を呼び起こせば「…何が言いたい?」とギリギリ…ッと歯を軋ませなまえを睨みつけると、その動物的な山南の行動を見ると「…感情的なのは性だよな、」となまえは、酷く哀しく笑う。
「…持ってけば?御守り、」
感情的になる山南に向け先程の薬をヒョイと投げれば、山南は習性に逆らえず黙って掴み取り包を眺め其の意味を察すると「…やれやれ、やはり貴方は不愉快になる程の御節介屋ですね…」と放ちながら掌で薬をキシッ…と握り潰した。
「買い被りすぎ。
近藤さん悲しませる事が起きなきゃ俺は何も言わねーよ?あんたが何考えてるのか、何企んでんのか…興味ねー、」
深く意味有り気な言葉の大釘を、山南の心臓に捻子打ち衝ける様に突き刺せば、妖鬼はそのまま闇の中に紛れ去って行くのであった。
「ねーねー、土方さーん?
たまには一緒にお茶飲まない?仕方ねーから大福一個おまけするよー、ちなみに三個ある、」
「うっさい猫!俺ァ忙しいんだよ。あー、てめェの大福だけ其処に全部置いてけ。後で俺が食っちゃる。」
「んぐ!?そりゃねーべ、この鬼!」
「ぶっ!おまえが言うか?
…っと、こうしちゃいられねェ…。なまえ、構ってやりてェが大事な会談があるからよ。…俺の留守中、おいたすんじゃねェぞ?」
その後も土方は激務をこなしながらも時間を見つけては、幕府のお偉い方との会談を重ね…隊士の中で土方がいつ睡眠を取ってるのか不思議だ、との会話も多く耳にする様になっていた特にこの頃ーー
「…あのさ、あんまり無茶すんなよな、俺が出来る事あれば…」
「だからさっきから大切そうに腕で抱きしめてやがる其の大福、全部置いてけ。」
なまえの心配する言葉を途中で遮り、容赦無くキッパリと言いたい事だけを放ち終わった直後、パタン!と襖の戸を閉めて去る土方に、無論、なまえは追い付く間もなくその場に残されぽかん…と唖然し「…なんって男だ!俺が心配してんのに…っ!」と一人で軽口を叩きながら大福を二個、土方の机の上に置いてやれば、帰ってきたらいつでも食べられるように準備をしておく。
「…こんな文字だらけ、眠くなる、」
机の上に広がり散らかる資料は嫌でもなまえの紅月に映り込み、そして其の情景は土方の激務を痛々しい程に物語り…総ては近藤を戦場へと戻してあげたいとの一心が土方を突き動かしているのではないかと察するなまえは、紅月の奥から込み上げてくる熱い意思を我慢し堪えながら、大福と例の薬と「ありがとう」と一言記した手紙を添えれば、土方の部屋を後にする。
そんな事柄等がある最中、新選組には旗本屋敷が屯所としてあてがわれ全員が其処に移る事と成ったのであった。
(せめて天に届くのならば、強き紫の願いだけで構わない)
「まずは甲府へ向かい、そこで新政府軍を迎え撃つ事となった。
御公儀からは既に、大砲二門、銃器、そして軍用金も頂戴している!此処は是非とも手柄を立てねばな、諸君!」
数日後ーー天に想いが通じたのであろう近藤は元気な姿を取り戻し、次の作戦についての説明を始めて織り…今回の任務に当たって、近藤は若年寄格、土方は寄格席格という身分を頂いたらしい。
「ねー、近藤さん?もう痛いとこない?」
「ああ…!なまえ、心配を掛けてすまなかったな。また供に戦場を駆け巡る事が出来るぞ!」
大きく笑いながらなまえの頭を撫で応える近藤の元気な姿に、素直に照れ喜ぶ表情を見せるなまえとは反対に、何故か永倉と原田の表情は浮かぶ事はなく酷く渋い表情に変わった直後、とうとう永倉が横から口を挟む形を取った。
「…なぁ、近藤さん。
その甲府を守れって話を持ってきたのは、どこの誰だ?」
「勝安房守殿だが…それがどうかしたのか?」
近藤の返しに、永倉は更に眉間に皺を寄せ「勝って人の話は何度か耳にした事あるが…はっきり言うが余り良い評判は聞かねえぜ。…なんでも大の戦嫌いで有名らしいが…何故、そんな人が気前良く武器やら軍資金を出してくれるんだ?」と続ければ、原田も永倉に加担し「徳川の殿様自体が、新政府軍に従う気満々らしいしな…同じ意向なんじゃねぇのか」と放てば、二人の言葉に近藤は一瞬顔をしかめるが、すぐさま眼を鋭くさせ「永倉君、原田君、これは幕府直々の命令なのだぞ。」と一喝し続けて「もし我々が甲府城を守りきれば幕府側に勝算ありとみて、戦に本腰を入れてくださるかも知れん…御上が我々を、甲府を守るに足る部隊だと認めてくれているんだぞ?」と永倉に問えば、永倉は「…その言い方、やめてくれねえか。なまえちゃんの前でこんな言い方はあれだが…俺は新選組の組長ではあるが、あんたの家来になったつもりはねえからな」と言い返せば、近藤は更に顔をしかめ、とうとう口さえも紡ぐ事と成った。
「新八…、」
なまえが永倉の名を呼んでも陰険な空気は止まぬ儘、更に原田も便乗し容赦無く斎藤へと意見を振れば、斎藤の碧は凛と燃え上がり「俺は、局長と副長の意見に従いーーなまえと供に武士を貫く」と己の意見を叩き出せば、後は一切口を閉じ碧の炎をも瞑り消炎させる。
斎藤の意見により皆の視線が土方に注げば、土方は「兎に角…」と今の目的を肯定する様に促すと、永倉も原田も渋々だが了承し意見は纏まる事と成ったのであったが、やはり理性では理解していても感情までは治まらなかったのであろう…永倉が又しても近藤に突っかかる様な発言を取った次の瞬間、さすがのなまえも黙って聞いては居られず近藤を庇うように彼の前と永倉の前に立ち、そして口を挟んで仕舞った。
「…新八、いい加減にしとけよ?」
今、土方さんの意見で納得したのはお前だべ、と永倉に問い、いつもなら此処で永倉は苦笑いを落とし「悪かったよ~なまえちゃん、怒らないで?」なんて甘えたな態度に成る筈であったのだが、しかし状況は許しては呉れず…永倉は少し傷付いた表情をし唇を噛んだ後、今度はなまえに食ってかかる様に抵抗を見せた。
「…なまえちゃんは何時だって近藤さん近藤さん近藤さんってよ…!
今だって俺の意見や考えを少しも考えようとも取ってくれもねぇで…正直、なまえが居ると話ヤリ難いんだよ…!!」
感情任せから放った永倉の言葉に無論その場の空気も人間も一瞬にして凍りつき、氷点下の冷気を放つ中の広間には冷たく鳴り響く警告の氷柱が何本も完成させ…しかしながら今の永倉の発言に、斎藤の心中は穏やかでは無いのであろう、強く永倉を睨み付けていた。
「…馬鹿!言いすぎだ!それになまえに八つ当たるのは間違ってんだろ!?」
この冷酷を叩き割ったのは先程まで永倉に便乗していた原田であって、なまえの物凄く傷付いた表情を見てしまえば永倉も瞬にハッと我に返りーー
【左腕の爛華は夢の終わりかの如く、飛散に連携するかの溶】
歴史を轟かせ馳ばう浅葱は氷柱の鋭利に及ばず、不快な亀裂を灼き嘔吐神経を虚しく擽れば、新選組隊士の個々の道で沫、此が運命だと嘲笑う。
Morphin
(血漿)(落雷型の亀裂)
ーーー
準備はいいか?犬共