堕天
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東は雪村、西は風間と名を馳せ始まる少し前頃、彼らの“純血”とは又何か違う嫌に特殊なみょうじ率いる鬼、此処に有りけり。
最も濃い鬼の力を持て余す裏には汚い妖の力を持ってしまう秘め事に、己を己で恐れはじめたその鬼達は、自ら「禁忌」と謳い、極力人目に触れぬよう、ひっそりと静かに、故に他人の目を避けるように過ごしていた。
繁栄なぞ無論、一切求めない。
今生きている己等を最期に、唯、唯、誰にも邪魔されぬ事亡く、ひっそりと静かに暮らしていければ其れで良い。
御先祖には申し訳ないが、現在を生きる我々で、同化、終幕をー…
決して傲慢でも我儘でも無い哀しい望み事を、切実に願っていた。
----
ギィ、ギィと、村の妖烏が鳴くのは何かの合図だろうか?
「…なんたる…ことだ…」
烏が、甲高い声で村の不幸の告げた今宵は、紅い月の夜。
空が怯え泣き、雨が滴りはじめ、妖烏はただただ喘いだ。
「…ただでさえ…ただでさえ、我々は…!」
西の鬼に後の統領が産まれたとの情報に対し彼等なりに喜ばしく讃えてた数年の後、みょうじの家に悪魔が羅列させた鍵盤が響き渡る状景が映える如く、なんと1人の男児が産み墜とされてしまう。
『ようこそ、俺。』ー…
「貴様!何故だ!
内密に…子なぞ…何故孕ませた!?」
「うわあああっ…!!
膨大な妖の力で、三つ程までに大きく…!?」
「は…早く殺せ!」
「忌み子、がああっ!」
産声を上げる自分の声越しに聴こえてきたのは、みょうじ家の恥曝しが!と血眼に成りながら罵倒を吐き出す爺と、懸命に俺を殺そうとする大人の鬼共。
運命論の秒針が酷く突き刺さる内に、赤子の身体が段々と大きくなるにつれ、纏う妖気は色濃くなり勇ましく、汚く、強くなる。
汚いブツを必死に殺しに罹る村の鬼をドロドロに溶かしていき、広い屋敷はみるみる戦場となり、墓場になり死体の海になり、腐り爛れる繭に鳴り、
見事な地獄絵図の完成を誇る。
「‥‥‥痛い、」
ガタガタと身体が震える、
怖い、恐い、狂いよ、
----
「ふひ…ふひゃははは!!」
赤子だった者の父親は、狂い嗤いながら自分の腰の白刀を、汚いブツである其れに投げ渡した。
「皆殺せ、 滅ぼせ、
… なまえ 」
「…っ…!?
ぐ…っ…あああああっ!!」
鎖で繋がられた小瓶と札板が連結してる鍵を其れに傾け、中身のドロォッ…とした赤い液体を、顔にぶっかけられた瞬間。
俺の中の鬼と妖が反応を起こしたのか、身体が引き裂かれそうな感覚と、脳天の栓をブチ抜かれたような感覚に襲われて、目のまえが真っ紅になって
それから、それから…
----
産声は、叫び声
一番最初の愛情は
激痛と
ーー俺の名前、
紅い月が嘲嗤う深い夜
忌々しい深い妖を含んだ血と、濃き鬼の力を持つ妖鬼は、
村の総てを
紅く、垢にした。
紅い月は、血を含み
夜を赤黒く卑猥に染めあげ、
空を脅し、雨という液を噴き出させ
ザアザアと泣き叫ぶ
----
びちゃ…っ、びちゃ…
俺の前に残ったものは、
生臭さと屍と建物だった芥と
血を吸いすぎて、漆黒に染まった家刀と鎖で繋いであった鍵。
みょうじである証拠ー…
空になった瓶を血の海に浸せば、中身を赤黒い色に戻して
戒めを腰と肩におき
村を焼き、棄てた、
雨が
現実から逃げようとする身体に容赦なく打ちあたるから
ーー冷たくて、痛かった
空は、泣けるのに、
俺は、泣けないよ、
泣かれるのは、痛いけど、
泣くのも、痛いのかな?
ねえ、涙って
やっぱり冷たいのかな?
ーーそんな、少し前の
内緒の昔話
堕天
(誰か)(誰か)
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ハッピーバースデー、 なまえ君
最も濃い鬼の力を持て余す裏には汚い妖の力を持ってしまう秘め事に、己を己で恐れはじめたその鬼達は、自ら「禁忌」と謳い、極力人目に触れぬよう、ひっそりと静かに、故に他人の目を避けるように過ごしていた。
繁栄なぞ無論、一切求めない。
今生きている己等を最期に、唯、唯、誰にも邪魔されぬ事亡く、ひっそりと静かに暮らしていければ其れで良い。
御先祖には申し訳ないが、現在を生きる我々で、同化、終幕をー…
決して傲慢でも我儘でも無い哀しい望み事を、切実に願っていた。
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ギィ、ギィと、村の妖烏が鳴くのは何かの合図だろうか?
「…なんたる…ことだ…」
烏が、甲高い声で村の不幸の告げた今宵は、紅い月の夜。
空が怯え泣き、雨が滴りはじめ、妖烏はただただ喘いだ。
「…ただでさえ…ただでさえ、我々は…!」
西の鬼に後の統領が産まれたとの情報に対し彼等なりに喜ばしく讃えてた数年の後、みょうじの家に悪魔が羅列させた鍵盤が響き渡る状景が映える如く、なんと1人の男児が産み墜とされてしまう。
『ようこそ、俺。』ー…
「貴様!何故だ!
内密に…子なぞ…何故孕ませた!?」
「うわあああっ…!!
膨大な妖の力で、三つ程までに大きく…!?」
「は…早く殺せ!」
「忌み子、がああっ!」
産声を上げる自分の声越しに聴こえてきたのは、みょうじ家の恥曝しが!と血眼に成りながら罵倒を吐き出す爺と、懸命に俺を殺そうとする大人の鬼共。
運命論の秒針が酷く突き刺さる内に、赤子の身体が段々と大きくなるにつれ、纏う妖気は色濃くなり勇ましく、汚く、強くなる。
汚いブツを必死に殺しに罹る村の鬼をドロドロに溶かしていき、広い屋敷はみるみる戦場となり、墓場になり死体の海になり、腐り爛れる繭に鳴り、
見事な地獄絵図の完成を誇る。
「‥‥‥痛い、」
ガタガタと身体が震える、
怖い、恐い、狂いよ、
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「ふひ…ふひゃははは!!」
赤子だった者の父親は、狂い嗤いながら自分の腰の白刀を、汚いブツである其れに投げ渡した。
「皆殺せ、 滅ぼせ、
… なまえ 」
「…っ…!?
ぐ…っ…あああああっ!!」
鎖で繋がられた小瓶と札板が連結してる鍵を其れに傾け、中身のドロォッ…とした赤い液体を、顔にぶっかけられた瞬間。
俺の中の鬼と妖が反応を起こしたのか、身体が引き裂かれそうな感覚と、脳天の栓をブチ抜かれたような感覚に襲われて、目のまえが真っ紅になって
それから、それから…
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産声は、叫び声
一番最初の愛情は
激痛と
ーー俺の名前、
紅い月が嘲嗤う深い夜
忌々しい深い妖を含んだ血と、濃き鬼の力を持つ妖鬼は、
村の総てを
紅く、垢にした。
紅い月は、血を含み
夜を赤黒く卑猥に染めあげ、
空を脅し、雨という液を噴き出させ
ザアザアと泣き叫ぶ
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びちゃ…っ、びちゃ…
俺の前に残ったものは、
生臭さと屍と建物だった芥と
血を吸いすぎて、漆黒に染まった家刀と鎖で繋いであった鍵。
みょうじである証拠ー…
空になった瓶を血の海に浸せば、中身を赤黒い色に戻して
戒めを腰と肩におき
村を焼き、棄てた、
雨が
現実から逃げようとする身体に容赦なく打ちあたるから
ーー冷たくて、痛かった
空は、泣けるのに、
俺は、泣けないよ、
泣かれるのは、痛いけど、
泣くのも、痛いのかな?
ねえ、涙って
やっぱり冷たいのかな?
ーーそんな、少し前の
内緒の昔話
堕天
(誰か)(誰か)
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ハッピーバースデー、 なまえ君