「「･･････」」

潤の爆弾発言から早五分経過。その間お互いの言葉はない

そしてその潤は依頼の時間だからと、とっくに家を出ていたりする

正直、この状態を放置してどこかに行ってしまいたいと考える真夜だったが、しかし黙っているわけにもいかず

「･･･あ、あのさ恭弥」

「何？」

「えっと･･･零崎名、考えない？」

先ほど言いかけた言葉を紡いだ

「零崎名？」

「恭弥が放った殺気が零崎特有のものだって事は言ったでしょ？で･･･名前、決めないといけなくて･･･」

少しばかり罪悪感がこもった声で伺うように答えると、向こうがため息をついて分かったと言った

「どんな感じにすればいいの？」

「それは恭弥が決めて。これからの人生で多分、たくさん呼ばれる名だからそれを踏まえて考えて･･･」

「雲識」

決めるのが速いと思う反面、しかし

「･･･恭弥にぴったりだね、その名前」

「何で？」

「雲みたいにとらえ所がなく、世界のどこにでもあって、でも誰にも、あの雲を捕える事ができない。貴方の生き方･･･生き様を名で表してるみたい」

そう言ってふと思う。確かこの近くに住んでる彼も、彼の生き様を表した様な零崎名だったと

そして話す事がなくなればまた沈黙が降りる。いや、話す事なら、なくはない。しかしそれは潤が居ないとどうすればいいのか真夜には分からない

そもそも、何故潤がそう思ったのかも知らないわけだから、いくら人類最強だとはいえ勘違いだという事もあり得る。･･･可能性は、とてつもなく低いが

勇気を決して、真夜は雲雀に―――雲識に聞いてみる事にした

「･･･恭弥･･･雲識。潤が言った、私を好きだって事って･･･友人っていう意味？」

「君、本気でそう思ってるの？」

「･･･まさか。一応聞いてみただけ」

恋愛感情

少なからず真夜は驚いていた。確かに、今までの雲識の行動を考えたらそう言われたら納得はできる

しかし、どこでそういう思いがきたんだとも考えてしまう。同情などから発展してそれが生まれたのなら嫌だが、雲識の場合、それはないだろう

「雲識。不躾な質問だって分かってるけど、教えて。いつから私の事を好きだって思うようになったの？」


「今。君のいう潤っていう人に言われてからだよ」


「･････････嘘？｣

「本当だよ」

それはつまり、自分自身気づいてなかったという事だが、この短い時間で自覚できたというのも凄い。普通なら少なからず動揺する筈だが、雲識にその様子は見れなかった

それなら、できればこのまま気づいて欲しくなかったと思う真夜は、潤に余計な事言ってと思わずにはいられない

「で、君自身はどう思ってるのさ？」

「へ？」

「へ、じゃないよ。君は僕の事、どう思ってるって言ってるのさ」

「どう思ってるって･･･」

正直なところ、真夜にとっての雲識とはあの学校において唯一自分を敵視しない人としか考えていない

それを素直に言えば、みるみる不機嫌そうな顔にする雲識を見て慌ててつけ加えた


「でも、私嬉しかったんだ。貴方が私の事を敵視しないのが。下級生も上級生も皆私の事を悪だと思ってるのに、貴方だけそうじゃなかった。それってどれだけ嬉しいか分かる？
･･･今までだってこういう事、なくはなかったけど･･･いつだって傍に誰かいたのに、今回はそうじゃなかったから･･･耐えられるか不安だった時に貴方に出会って･･･出会えて良かったって、今ならそう思えるよ」


「･･････」

全てを聞き終えた雲識はしばし瞠目して、

「それ、告白なの？」

と聞いた途端

「･･････！」

みるみる真夜の顔が真っ赤になっていき、自分の顔を隠した

「･･･真夜」

「･･･あのさ、雲識」

雲識は優しく何？と聞く

「･･････あの･･･私、恋愛なんてした事ない」

「それは僕も同じだよ」

真夜に近づきながら言う

「･･･それと･･･覚悟、してほしい」

「覚悟って何の？」

「･･･潤、とかに決闘申し込まれると思うから、怪我に気をつけて」

「わぉ。それは面白そうだね」

「そ、そんな軽く･･･っ」

思わず雲識の顔を見ると、本人はじっと真夜の目を見ていてまた顔がかぁっと赤くなるのを自覚した

「･･･く、もしき･･･」

「何？真夜」

「その･･･私達って、両思い？」

「そうでしょ？」

「･･････」

それでも尚躊躇していると

「君は、何が不安なの？」

と、問いかけられた

嘘を吐かずに言えと言っているような雲識の目に、真夜も腹をくくり、話すことにした

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