NARUTO・3
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アカデミー生の中で、ナルトほどとは言わねえけど割とミアも浮いてる存在だった。周りと遊ぶなんてこともなかったし、忍術の練習よりも本読んでるようなヤツで「こんなのが忍びになれるのかよ」って陰で言われてたくれえには。
けど俺は、アイツが本当は面倒見が良くて頭もいいヤツだってことを知ってる。なんせ所構わず本を読んじまうせいで、俺ら悪ガキ四人組と同じ補習組として扱われるっつうのに、ナルトやキバの出来具合をこっそり確認してたと思ったら、自分の課題そっちのけで教え始めちまうくらいのお人好し。
ただ人に教えられるってことは、その内容を理解してるってことだ。だから実はミアの知識量は半端じゃねえことも、何が相手に足りないのか把握した上で本を介して教えることが出来る〝先生〟タイプだってこともそん時に知って、なんつうか、仲間意識を感じた。
謎を謎として放置できねえ、知りたいことはできる範囲で知りてえ。そんな幼少期を過ごしてきた俺としちゃ、ミアの『何でも知ってる雰囲気』はそれだけで魅力的に見えた。
無事に下忍となって、時々ある下忍向けの雑務をやってる時、「あ、この部分ミアがやってたんだな」って分かることがあった。こういうのはサボりがちにされやすいっつうのに、次に使うヤツのことを考えて、探してるモノを見つけやすく収納したり分別されたりしてある本棚や資料置き場。真面目に取り組んでるのが分かる一面で、どんな任務だろうが蔑ろにしねえのも好感が持てた。
──そんでもって本当に使い勝手が良くて、逆にアイツの手が入ってない場所での雑務任務の時には持ち前の「めんどくせー」が出るくれえ、その手腕に慣れちまった自分がいるのに気づいた時にはまだ、仲間としてミアを見てた、──と思う。
それは俺が中忍になって一層加速した。何せ中忍になりゃそれなりに書類仕事も増えるってもんで、あの楽さっつうか、必要な資料やら何やらがすぐ見つかるってことはそれだけ早く仕事が終わる。その良さを知っちまってる身としちゃ、元々面倒くさがりの性分を抜いても『ほしい』力の一つだ。
早く助けてくれねえかなあーって思っちまうくらいには、ミアのあの、書物管理を欲してる自分がいて、続々と中忍になった同期連中全員、俺と同じ考えをするようになるのに時間はかからなかった。
何せ修行中で里外にいるナルトを抜いたら唯一中忍になれなかった、かつアイツの書類仕事の腕を下忍時代に(俺よりも)散々味わった後じゃ──。
「あー!もう!本当こっちの本棚、使いづらいったらありゃしないわ!何でミア、中忍になってないのよー!」
中忍以上しか使っちゃいけねえ書庫から戻ってきたいのの一声に乗っかるように、あちこちから同意がくるんだからよ。
「本当。頭では分かっているし、量自体は少ないから見つけやすいとは言っても、限度があるんじゃない?って思っちゃうわよね」
「俺、中忍になったことは後悔してねえんだけどよ。書類系だけはマジ無理。下忍の時よりやりづれえし分かんねえ!」
「キ、キバ君……そんなことは……多少は、仕方ないと思うよ?」
「そうだな。何故なら下忍の時のような整理のされ方をしていない」
「正直一緒になって中忍になりたかったけど、棄権しちゃったから仕方ないわよね」
うんうんと頷く一同に苦笑していると、のほほーんと聞いていたいつも通りのチョウジが、ある種俺達にとっての爆弾発言をした。
「でもミアってさ。最近任務してないっぽいよ。外で見たことないから」
『……はあっ!?!?』
任務をしてねえってことは忍びを辞めたんか!?って一瞬思考を掠めたが、んな訳ねえとすぐに消し去る。そりゃ、確かに仲が良いとは言いがてえけど、辞める時は誰かしらに言うはずだと思ったし、つかそれ以前に忍び不足の今、誰かが辞めたらすぐ話に上がってくるから可能性はゼロじゃなくても限りなく低い。
つうことは何か事情があると思ってると、ふと気づいたというようにサクラが話を引き取った。
「そういえばあの子と一緒に組んでた人達、最近病院に通ってるの見たわよ。中忍試験でも棄権してたし、何かケガしてるとか……?」
「それなら綱手様経由でサクラ、アンタが知らないのは変でしょ。女性忍者で同期よ?何かしら説明するはずじゃない?」
ケガ。病院。サクラは知らねえ、けど五代目が知ってそうなこと。
──トラウマ、か?代理戦争とも呼ばれる中忍試験は過酷になりがちで、命を失ったり、そうでなくても再起不能になるヤツもいると聞くから、あり得そうだ。
もしくは今回の中忍試験で受からなかった木ノ葉の下忍はミアのいたチームだけで、ソイツらが再起不能になっちまってたらあぶれちまう。それが解決するまでは待機命令が出てる可能性も捨てきれねえ。
「おい、サクラ。五代目にそれとなく話、聞くことできるか」
「聞いてみることは多分できるけど……」
医療忍者として、多分俺と同じ答えになったサクラが言い淀む。火影以前に医療忍者としての守秘義務を出されたら強く出れねえから、だろうな。
「状態にもよるだろうけどよ。アイツがもし中忍試験でトラウマができたってんならフォローする。チームに関しちゃ医療の心得があるサクラが一緒なら何とかできるだろうし。説得して任務、してもらうこと出来ねえか?例えば──アイツが好きな本に関するやつとか」
これは一種の賭けになる。愛弟子とはいえ火影として仕事の割り振りはきちんとやってる人だ、傍目から見て贔屓とされるようなことは極力しねえし、できねえ。けどもしこの意見が通れば、ミアはまだ忍びであるってことだ。
俺らの会話を聞いてた連中も、サクラに頼み始める。自分達に協力できることなら何でもするっつって。
ただ──予想に反して、ミアは任務を受けてた。それこそ俺がサクラに提案した、書庫整理っつう、本に関わっていられる形で。それが一番の薬でリハビリ任務になるという、他ならぬ五代目の考えらしい。
時々、チームメイトがいない者同士ってことでサクラと外に出る任務をやらせてみても、本の輸送だとか購入だとか、とにかく『本』にまつわる任務じゃねえと目が虚になって気配も大きく乱れるっつう状態。明らかにトラウマを抱えたヤツ特有の症状──安全や安心を感じるナニカがねえと不安になるっつうものが出てるとサクラから聞いた。
それなのに誰にも話さねえ上に、最初にカウンセリング担当をした五代目にすら二回目以降は「大丈夫です」の一点張りだっつうんでどうすることも出来ねえ。唯一の救いとしてアイツ以上に本に長けた忍びはいねえから、俺達同期全員で五代目に嘆願した。
後輩の下忍には悪いがバンバン出てもらって、ミアには傷が癒えるまで──少なくとも誰かに、中忍試験での出来事を話すまでは書庫担当にしてくれって。幸い五代目もあの、司書顔負けの整理整頓された本棚やこっちが求めた書類や書物、つまり情報を瞬時に引き出す忍びはいねえし、今後の人材育成も踏まえて必要な存在だって認めて承諾してくれたんでホッとした。
まだ繋がりは途絶えてねえことに俺は、確かに安堵したんだ。──それが意味することをあまり深く考えずに、ただ仲間が無事でいられることが嬉しいんだと思ってた。
けど俺は、アイツが本当は面倒見が良くて頭もいいヤツだってことを知ってる。なんせ所構わず本を読んじまうせいで、俺ら悪ガキ四人組と同じ補習組として扱われるっつうのに、ナルトやキバの出来具合をこっそり確認してたと思ったら、自分の課題そっちのけで教え始めちまうくらいのお人好し。
ただ人に教えられるってことは、その内容を理解してるってことだ。だから実はミアの知識量は半端じゃねえことも、何が相手に足りないのか把握した上で本を介して教えることが出来る〝先生〟タイプだってこともそん時に知って、なんつうか、仲間意識を感じた。
謎を謎として放置できねえ、知りたいことはできる範囲で知りてえ。そんな幼少期を過ごしてきた俺としちゃ、ミアの『何でも知ってる雰囲気』はそれだけで魅力的に見えた。
無事に下忍となって、時々ある下忍向けの雑務をやってる時、「あ、この部分ミアがやってたんだな」って分かることがあった。こういうのはサボりがちにされやすいっつうのに、次に使うヤツのことを考えて、探してるモノを見つけやすく収納したり分別されたりしてある本棚や資料置き場。真面目に取り組んでるのが分かる一面で、どんな任務だろうが蔑ろにしねえのも好感が持てた。
──そんでもって本当に使い勝手が良くて、逆にアイツの手が入ってない場所での雑務任務の時には持ち前の「めんどくせー」が出るくれえ、その手腕に慣れちまった自分がいるのに気づいた時にはまだ、仲間としてミアを見てた、──と思う。
それは俺が中忍になって一層加速した。何せ中忍になりゃそれなりに書類仕事も増えるってもんで、あの楽さっつうか、必要な資料やら何やらがすぐ見つかるってことはそれだけ早く仕事が終わる。その良さを知っちまってる身としちゃ、元々面倒くさがりの性分を抜いても『ほしい』力の一つだ。
早く助けてくれねえかなあーって思っちまうくらいには、ミアのあの、書物管理を欲してる自分がいて、続々と中忍になった同期連中全員、俺と同じ考えをするようになるのに時間はかからなかった。
何せ修行中で里外にいるナルトを抜いたら唯一中忍になれなかった、かつアイツの書類仕事の腕を下忍時代に(俺よりも)散々味わった後じゃ──。
「あー!もう!本当こっちの本棚、使いづらいったらありゃしないわ!何でミア、中忍になってないのよー!」
中忍以上しか使っちゃいけねえ書庫から戻ってきたいのの一声に乗っかるように、あちこちから同意がくるんだからよ。
「本当。頭では分かっているし、量自体は少ないから見つけやすいとは言っても、限度があるんじゃない?って思っちゃうわよね」
「俺、中忍になったことは後悔してねえんだけどよ。書類系だけはマジ無理。下忍の時よりやりづれえし分かんねえ!」
「キ、キバ君……そんなことは……多少は、仕方ないと思うよ?」
「そうだな。何故なら下忍の時のような整理のされ方をしていない」
「正直一緒になって中忍になりたかったけど、棄権しちゃったから仕方ないわよね」
うんうんと頷く一同に苦笑していると、のほほーんと聞いていたいつも通りのチョウジが、ある種俺達にとっての爆弾発言をした。
「でもミアってさ。最近任務してないっぽいよ。外で見たことないから」
『……はあっ!?!?』
任務をしてねえってことは忍びを辞めたんか!?って一瞬思考を掠めたが、んな訳ねえとすぐに消し去る。そりゃ、確かに仲が良いとは言いがてえけど、辞める時は誰かしらに言うはずだと思ったし、つかそれ以前に忍び不足の今、誰かが辞めたらすぐ話に上がってくるから可能性はゼロじゃなくても限りなく低い。
つうことは何か事情があると思ってると、ふと気づいたというようにサクラが話を引き取った。
「そういえばあの子と一緒に組んでた人達、最近病院に通ってるの見たわよ。中忍試験でも棄権してたし、何かケガしてるとか……?」
「それなら綱手様経由でサクラ、アンタが知らないのは変でしょ。女性忍者で同期よ?何かしら説明するはずじゃない?」
ケガ。病院。サクラは知らねえ、けど五代目が知ってそうなこと。
──トラウマ、か?代理戦争とも呼ばれる中忍試験は過酷になりがちで、命を失ったり、そうでなくても再起不能になるヤツもいると聞くから、あり得そうだ。
もしくは今回の中忍試験で受からなかった木ノ葉の下忍はミアのいたチームだけで、ソイツらが再起不能になっちまってたらあぶれちまう。それが解決するまでは待機命令が出てる可能性も捨てきれねえ。
「おい、サクラ。五代目にそれとなく話、聞くことできるか」
「聞いてみることは多分できるけど……」
医療忍者として、多分俺と同じ答えになったサクラが言い淀む。火影以前に医療忍者としての守秘義務を出されたら強く出れねえから、だろうな。
「状態にもよるだろうけどよ。アイツがもし中忍試験でトラウマができたってんならフォローする。チームに関しちゃ医療の心得があるサクラが一緒なら何とかできるだろうし。説得して任務、してもらうこと出来ねえか?例えば──アイツが好きな本に関するやつとか」
これは一種の賭けになる。愛弟子とはいえ火影として仕事の割り振りはきちんとやってる人だ、傍目から見て贔屓とされるようなことは極力しねえし、できねえ。けどもしこの意見が通れば、ミアはまだ忍びであるってことだ。
俺らの会話を聞いてた連中も、サクラに頼み始める。自分達に協力できることなら何でもするっつって。
ただ──予想に反して、ミアは任務を受けてた。それこそ俺がサクラに提案した、書庫整理っつう、本に関わっていられる形で。それが一番の薬でリハビリ任務になるという、他ならぬ五代目の考えらしい。
時々、チームメイトがいない者同士ってことでサクラと外に出る任務をやらせてみても、本の輸送だとか購入だとか、とにかく『本』にまつわる任務じゃねえと目が虚になって気配も大きく乱れるっつう状態。明らかにトラウマを抱えたヤツ特有の症状──安全や安心を感じるナニカがねえと不安になるっつうものが出てるとサクラから聞いた。
それなのに誰にも話さねえ上に、最初にカウンセリング担当をした五代目にすら二回目以降は「大丈夫です」の一点張りだっつうんでどうすることも出来ねえ。唯一の救いとしてアイツ以上に本に長けた忍びはいねえから、俺達同期全員で五代目に嘆願した。
後輩の下忍には悪いがバンバン出てもらって、ミアには傷が癒えるまで──少なくとも誰かに、中忍試験での出来事を話すまでは書庫担当にしてくれって。幸い五代目もあの、司書顔負けの整理整頓された本棚やこっちが求めた書類や書物、つまり情報を瞬時に引き出す忍びはいねえし、今後の人材育成も踏まえて必要な存在だって認めて承諾してくれたんでホッとした。
まだ繋がりは途絶えてねえことに俺は、確かに安堵したんだ。──それが意味することをあまり深く考えずに、ただ仲間が無事でいられることが嬉しいんだと思ってた。