あなたと暮らす朝が来るまで
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【第七話】雨を見つめて
朝から雨が降り続いていた。
屋根を叩く音がやけに大きく、家の中までしんと冷える。
風も強くて、とても外には出られなかった。
火鉢の火を見つめながら、ぼんやりと窓の外を見る。
畦道は白い雨にかすんで、遠くまで何も見えない。
少しだけ玄関を開けると、冷たい風と一緒に雨粒が頬に触れた。
行こうかと一瞬迷ったけれど、すぐに諦めて扉を閉める。
「……さすがに、この天気じゃ来ないよね」
小さく呟くと、胸の奥が少し寂しくなる。
気づけば、義勇さんの顔が頭に浮かんでいた。
あのまっすぐな瞳、名前を呼んでくれたときの低い声――
思い出すたびに、胸の奥がじんと熱くなる。
火鉢の火を見つめながら、膝を抱えて座り込む。
何かをしようとしても、手が止まってしまう。
ふと炭治郎の言葉がよみがえる。
――「前より義勇さん、表情が柔らかいんですよ。きっと、みさきさんのおかげですね」
そうなのかな――そう思った瞬間、頬がふっと熱くなる。
こんな落ち着かない気持ちは初めてだった。
義勇さんのことばかり考えてしまう。
掃除も後回しになり、ただ雨音に耳を澄ませていた。
「……明日は、晴れるといいな」
小さくつぶやく声だけが、ひとりの部屋に静かに溶けていった。
