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倉庫(説明必読)

カゲが長袖来てる理由をリストカットを隠すためだと勘違いした夢主の話。の、冒頭。
デフォルト名安堂月華。
以下本文↓


『あの、さ、』

席替えをした数日後のことだった。夏休みが終わり、まだ暑さの残るこの日は昼休みになんだかんだ一緒にいる穂刈も鋼も防衛任務でいなかった。だからといって、他のクラスの奴の所に行くような面倒をする気にもならなかった俺は適当に弁当をかき込んで、机に突っ伏して昼寝を決め込むことにした。机の上を片付けて、いざ、昼寝をしようと思ったその時、隣の席の女が声をかけてきた。正直驚きはしなかった。新しくこの席になってから、この女はずっと俺に向けて感情を刺していたから。

「んだよ。」

腕を枕にして机に伏した体勢で、俺は返事をした。無視を決め込んでもいいかと思ったが、女の刺してくる感情は今までも経験のあるものだった。恐らくこれは不安、心配。そういった感情だとなんとなく分かった。だがそれを何故こいつが俺に向けて刺してくるのか、その理由は全く見当がつかないが。

『気を悪くせずに、聞いて欲しいんだけど。答えたくなければ、答えなくてもいいんだけど…。』

「だから、なんだよ?」

『っ。あ、の。影浦くん、って夏休み前から、今もずっと長袖着てるよね?暑く、ない?』

意を決した、そんな雰囲気で俺に尋ねてきたそいつの質問は、正直聞き飽きていた。ボーダーにいるやつは俺のクソサイドエフェクトのことを知っていてなんなら当たり前のような受け入れてやがる。だが、それを知らない奴らには度々これと同じような質問をされる。

「んなこと、お前に関係あるかよ。」

『ご、ごめん。ホント、ごめん...。無神経だったね。』

「あー...?」

だから、いつもと同じように返した。そうすれば、腹を立てて俺から離れていくか、興味を失うか、いつものようにそんな反応が帰ってくると思った。だが、そいつは...確か安堂月華とかいう名前だった気がするその女は、そのどちらとも違う反応を示した。

「何が言いてぇんだ?」

『え!や、あの。』

突き放すように答えた俺に、それまで以上に向けられる感情。それは、怒りや敵意のようなより突き刺さるような不快感の強いものではなく、それまでにも受けていた、不安や心配、刺さるというよりは重いとか、鬱陶しいとかそういう類のものだった。まあ、不快であることに変わりはないが。体を起こしながら少し睨むように視線を向けながら言えば、狼狽える女。だが目に見えてビクつくというよりは、ただ言葉を探しているような感じに見える。

『えっと、ホント、違ってたらごめんね?』

「だから、言いてえことがあるならさっさと言え。」

『うっ、はい。...影浦くん、悩みとかある?困ってることとか、ない?』

「は...?」

今度は首ごと、結局身を起こして思わず顔そちらに向けて尋ね返す。はっきり言って意味がわからねぇ。どういう流れで、そんな質問になんだよ。

『な、ないならいいんだ!変なこと聞いてごめん。ただ、そういうのあるなら、話だけなら聞けるかなって。いや、でも、そもそも急にこんなこと言っても話せることなんてないよね!ごめん、ホント、』

「お前、何言ってやがる?つーか、勝手にベラベラ喋んな。意味わかんね。」

『...ごめん。忘れて。』

突然饒舌になったそいつは、何度目かの謝罪を口にしてから急に押し黙った。結局何が言いたいか俺には分からないが、気まぐれに聞いたという風でもなかった。なんかすげーモヤモヤする。

「別に怒ってねーから。」

『...え?』

「単純に、お前が何言いてえのかわかんねぇ。別に俺は特に何もねぇのに、お前がそう思った理由はなんだ?」

『あー…、えっと、』

自分が聞いておきながら、俺が尋ねれば困ったように言葉を濁すこいつに苛立ちが募る。
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