小さな日記
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飛段は腹の減りのあまり、焚き火で焼かれていた、細い枝に刺さったイノシシの足を手に取り、間髪入れずにかぶりついた。
「熱ち―――!!!」
火傷するのは当然である。
飛段が猫のようにエサに飛び付いたところから、角都は一部始終逃さず見ていた。
「はぁ…」
呆れてため息をつく他ない。
すぐに角都から手渡された水筒の水を含んだ飛段だが、未だに舌には火傷の痛みが走り続け、舌の皮はベロベロになっていた。
痛さと気持ちの悪さに露骨に顔をしかめている。
「う~」
思わず地面に投げてしまったイノシシの足を睨みつける。
「自業自得だろう」
そう言った角都に目付きの鋭い視線を移す。
「にゃんりゃと(なんだと)!?」
舌が回らず、間抜けな言い方になってしまった。
「……………」
角都は無表情で飛段の顔を見つめ、ある提案を出した。
「飛段、オレの名前を言ってみろ」
「?」
「いいから」
首を傾げる飛段を促し、飛段は眉間に皺を寄せたまま言葉にする。
「かくでゅ」
「…もう一度」
「かくじゅ。……にゃんりゃよ(なんだよ)。意味あんにょか(意味あんのか)?」
角都は、訝しげな飛段と目を逸らしたまま答える。
「どうでもいい言葉でも、発していれば舌の治りも早い」
適当を並べたものだ。
だが、飛段はあっさりと信じた。
「へぇ、そうにゃのか。てぉころで、にゃんでそっち向いてんりゃ(ところで、なんでそっち向いてんだ)?」
「いや…」
角都は必死に萌えと笑いを隠していた。
「圧害」
「あちゅがい」
「頭刻苦」
「じゅこっく」
「死司憑血」
「しじゅ…ひょうけ…」
自分の技名はもとから言えない。
「ひゃあっ、ひた噛んでぁ(舌噛んだァ)」
終いには舌を噛む始末だ。
(カワイイ…)
角都の言葉遊びはまだまだ続きそうだ。
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