親しき仲にも
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「脱げ」
リーダーの部屋から自分の部屋へと戻ってきた角都は、ベッドに背をもたせかけて大鎌の手入れをしていた飛段にその言葉を投げた。
大鎌の刃を小さな研ぎ石で研いでいた手がピタリと止まり、飛段は不意に染まった真っ赤な顔を上げ、角都の顔を見つめる。
「そ…、そんな…、真っ昼間だぜェ、角都ゥ」
まんざらでもなさそうだ。
昼時にも関わらず山道の茂みで始めることはたまにある。
だが、誰が通過するかもわからない部屋で昼から始めたことは一度もない。
「いいから…」
構わず角都は逃げないようにと扉の前から一瞬で飛段に近づき、
「脱げ!」
外套の襟をつかんでムリヤリ脱がした。
「おいおい! 乱暴にするなってェ! ちょっ、おいっ、あれ? 角都?」
角都は外套とズボンを脱がしたものの、風呂敷から出した衣服を着せ始めた。
「この服…」
見覚えのある服だと思えば、ギンジとキョウヤ達がいつも着ている服だ。
ボタンも上まできっちりと留められているため、息苦しく感じてしまう。
角都は「ぴったりだな」と呟いた。
「なんだよ。上司と部下のプレイでもやろうって…」
「黙れ。殺すぞ」
ゴッ!
「ぶっ!」
躊躇なく右頬をグーで殴られる飛段。
「5日後、お得意ばかりが揃った集会に出席することになった。オレ達は暁の代表だ」
イタチと鬼鮫が適任だったが、生憎、2人は2日前に遠い国の任務に出かけたところだ。
「暁のサイフ役として、暁の代表として飛段とともに出席してくれ。お偉い方の機嫌を損ねるなよ。奴らは資金協力者だからな」と先程ペインに任務を遣わされたことを思い出し、飛段に説明する。
飛段は「メンドクセェな」と言いながら上のボタンを外そうとするが、手首をつかまれて阻止される。
「…5日後のために、貴様には礼儀を覚えてもらわんとな」
「は?」
「暁の名前は伏せ、表向きはオレが裏で営んでいる企業の社長と秘書として集会に出席しなければならない。態度の悪い連中に、金を与えようと思うか?」
金の価値すらわかっていない飛段には理解できないことだ。
キョトンとした飛段だが、先程の角都の言葉を反芻し、角都から目を逸らして照れ始める。
「秘書かァ。オレが角都の秘書。なんか…、危ない響きだなァ、おい…」
ゴッ!
「ぶはっ!」
再び殴られる飛段。
「これからは敬語でオレに話しかけろ」
「ハァ? なにそ…」
ゴッ!
「れェ!?」
「「社長、なんですか、それは」だ」
飛段は3度殴られた頬を押さえ、嫌悪を浮かべた顔で角都を睨みつける。
「誰が、そんなキモいセリフ…」
パパパパン!!
まさかの往復ビンタだ。
あまりの痛みに飛段はその場に尻餅をついた。
「ふぉぉぉ~」
頬の痛みに涙目だ。
角都はその場に片膝をつき、飛段と目線を合わせて脅すように言う。
「命令だ。礼儀を覚えろ。死んでもな。失敗したら殺すぞ」
飛段は「命令」という単語に思わずゾクリと興奮を覚えてしまう。
「だからそれをオレに…」
角都の目付きがまた鋭くなる。
飛段は一度言葉を止め、続ける。
「……おっしゃるのですか」
.