ご主人様はアイツのもの
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飛段が角都の家に暮らし始めてから、半年が経過した。
2人でも言い合って喧嘩する時もあればまた仲直りする時もあった。
それはオレとかくずも同じだ。
オレ達のコイナカぶりはかなり似ているようだ。
ペットは飼い主に似るとか言うくせに、互いの恋人に似てどうする。
逆だろ、普通。
ある日、オレは腹を壊した。
かくずとの“子作り”が終わったあとだ。
尋常ない腹痛にオレは呻き、のたうった。
気付いた角都がオレを抱き、飛段とかくずも連れて近くの動物病院へと足を運んだ。
診察室で見てもらった時だ。
医者が目を丸くした。
それからオレは診察台の上にのせられ、いきなり医者に「さあ踏ん張って」と促された。
まさかここで排泄しろとでも言うのか。
角都と飛段とかくずが見守る中で。
それでもこの痛みはさすがに我慢できない。
楽になれるなら恥なんて捨ててやる。
「うおおおおおお!!」
オレは力んだ。
叫んだ。
あ、なんかでた。
「は!!?」
白いものと黒いものが出てきた。
これは病気だろうか。
そう思ったとき、その2つのころころとしたものと目が合った。
それはうずくまって出てきたらしい。
「ハァ――――!!?」
ちっちゃいオレとちっちゃいかくずだ。
「おめでとうございます。たったいま2匹生まれました」
医者は笑顔で角都達に言った。
角都と飛段は茫然としていたが、そいつらが傍に寄ってくると笑みを浮かべて抱き上げた。
「スゲー! おまえオスなのに産めるのか!」
「頑張ったな、ひだん」
いやいやいや、オレ完全にオスだし、角都もなにかツッコめよ!
「まさか本当に産むとは…」
「そもそも子作り教えたのはてめーだろ!!」
明らかに驚いているかくずにオレはがなった。
珍種だからってメスの特権があっちゃダメだろ。
生まれたばかりの2匹は、角都達からオレとかくずに駆け寄ってくる。
クソ、カワイイ。
角都達より一足先に母親(?)と父親になったオレとかくず。
チビ達はその場ですぐに“こかく”と“こひだ”と名付けられた。
ここは角都の部屋。
こかくとこひだは角都と飛段の手の中でじゃれている。
「ひだんにも産めたんだ。おまえも頑張れ、飛段」
「頑張ればできるような気がしてきたぜ、角都」
寄りそう2人に、ツッコミは不要だ。
「…今更だが、本当におまえの主人を譲ってよかったのか?」
「ホント今更だな。いーよ、オレ、飛段のこと好きだし。逆に、別れたら呪う。…それに今はおまえもチビ達もいるし」
「もっと増やすか?」
「角都がエサ代でうるさく言うだろォ?」
「残念だ。都合のいい日にするしかないな」
「それでもまだやるか」
「オレ達はコイナカだろう? ひだん」
耳元でそう言ったかくずにオレは思わず赤面する。
オレを可愛がってくれるご主人達と、オレに夢中になってくれるコイナカと、その間に生まれたチビ達。
オレと角都の2人きりだった部屋はだいぶ騒がしくなったし少し狭くなっちまったけど、こんなペットライフも悪くねーや。
な? かくず。
永遠に続くならオレは今度はマジ本気で誓ってもいいぜ。
なにって、今度は子分じゃなくて…、ほら、さっきおまえが言ってたろ…ゲハハッ。
.END