ご主人様はアイツのもの
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それから日をかけて、オレとかくずは“角都と飛段コイナカ作戦”を実行していた。
2人のどちらかの持ち物をどちらかのカバンの中に忍ばせたり、外国語の時間にそれを隠したりして一緒に探させたり、飛段のところに行って角都と合流させたり。
なんか、オレも慣れてきた気がする。
いやいや、慣れちゃダメだろ。
今にでも自分のご主人をとられるかもしれないのに。
「よくやった」、「次はこれで行くぞ」、「ひだん、やるぞ」。
あいつはそう言ってオレを動かすんだ。
角都と同じ、心地のいい声で。
「かくず、いつものでいいのか?」
「ああ」
オレはまた飛段の持ち物を角都のカバンの中に隠す。
こうしても、2人は大学内で返し合うのはわかってる。
あれから1週間以上が経過しても、2人はまだ大学内でしか会わない。
どちらかが家に誘う気配もなければ、一緒に帰る気配もない。
ムダなんじゃないだろうか。
というか、本当に飛段は角都のことが好きなのだろうか。
少し奥手すぎやしないか。
なぜ自分から動こうとしないのか。
日に日にオレの疑問は積もっていく。
そして耐性のないオレは正門で待っていたかくずに尋ねた。
「…あいつは奥手というより、慣れていなくてどうしていいかわからないだけだ。立っているだけで女の方から寄りついてくる魅力があるからな。しかも相手は男。戸惑いもあるだろう」
「角都もよほど戸惑うと思うけど」
しかし、飛段がそういう奴なら2人がくっつくのはまだまだ先な気がする。
角都だって、奥手とは言わないけど自分から女を誘うガラでもないだろう。
飛段と同じだ。
立ってるだけで女が寄りついてくる。
どっちもずっと定位置に立ったままじゃ変化なんて起こるわけがない。
最悪、角都が卒業してもこの作戦が続けられてしまうのでは。
「…たとえ先が長くても、オレ達はやるしかない」
「あのさ、思ったけど、嫌じゃないのかよ? 主人取られて」
オレは凄く嫌がったのに。
こいつもでいだらと同じなのか。
「オレの場合、主人とペットという関係ではないが…、あいつはオレの恩人だ。借りは作らん。奴の想いを叶えてやる」
「……そういう考え方か…」
律儀な奴だよ、ホント。
けど、もし想いを叶えたら、おまえはそのあとどうする気なんだ。
それは聞かなかった。
けど、その時に聞いておけばよかったと、オレはあとで後悔することになる。
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