理想体であるために
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飛段の部屋を訪れた角都は、ベッドの上で三角座りしてしょげている飛段を見つけた。
床には暁の外套が脱ぎ捨てられてある。
「どうした? だいぶ落ち込んでいるな」
角都の存在に気付いた飛段は膝から顔をあげ、ムリヤリ笑みを作った。
「な…、なんでもねーよ…」
「…どんよりした空気を出すな。鬱陶しい…」
角都は飛段に近づき、ベッドに片膝をついて飛段に手を伸ばして後頭部をつかみ、自分側に引き寄せてキスをする。
飛段の目が合い、そのまま飛段の腹に手を這わせた。
その行為に焦りを見せる飛段。
(は…、腹が…)
腹の肉付き具合がバレてしまう前に、飛段は角都の手を両手でつかんで阻止する。
「ま…、待て、角都」
「なんだ、焦らすな」
顔を上げた角都は怪訝な表情を浮かべている。
「や、焦らしてるわけじゃ…」
「じゃあなんだ?」
太ってるからとは言いたくない。
どうしていいものかと考えたとき、飛段は本音を込め、視線を上げて答える。
「きょ…、今日はちょっと…、は…、恥ずかしいから…」
「それは策略か? それとも天然か?」
角都は両腕を広げ、力いっぱい抱きしめる。
まったくの逆効果だった。
(ぎにゃ――――!!)
内心で叫びながら、飛段の頭はパニックになる。
そして、
ドスッ!!
「!!」
始めようとする角都の腹に、ストレートを打ち込んでしまった。
見事にみぞおちにヒットしてしまったようだ。
いきなりの不意打ちに角都の体がよろめく。
「あ、わ、悪い!!」
角都の体から離れた飛段は、両手を合わせて頭を下げた。
「なんのつもりだ…」
低い声とともにこちらを睨みつける角都にビクリとしながらも、飛段はどもりながら答える。
「き、今日は体の調子悪いんだ…。ゆっくり休みたいから…、その…」
「……………」
角都はベッドからおりて扉へと向かう。
「…具合が悪いなら仕方がない。出直そう」
「悪いな…」
角都はそのまま飛段の部屋を出て行った。
扉が閉まると同時に飛段は仰向けに倒れた。
「オレだって、この腹さえなけりゃヤリヤリしてぇよォ、角都ゥ…」
憎々しげに己の腹を強くつかんだ。
見た目はぽっこりとしてはいないが、指摘されると誰しも気にするものだ。
「……明日からダイエットしよう…」
飛段は小さく呟き、今日はそのまま眠りにつくことにした。
隣に角都がいないのは久しぶりだ。
次の日から、飛段の厳しいダイエットが始まった。
自らに鞭を打つように、朝早く起き、朝食のバナナ食べたあとはランニングだ。
「吐く…」
昼、玄関で汗だくになって倒れている飛段をデイダラが発見した。
デイダラは脱水症状を起こしかけている飛段に水を渡す。
「朝から昼まで走るからだ、バカ。うん」
運動にも度がある。
食堂には鬼鮫とイタチとデイダラと飛段が集まった。
角都やリーダーは先に済ませていた。
昼はハンバーグだ。
鬼鮫の手作りである。
だが、飛段の目の前のハンバーグやスープは3分の1だけだ。
「飛段さん!? どうしたんですか!?」
鬼鮫は仰天だ。
涙目になって食べている飛段の代わりに、イタチが経緯を説明する。
「だから朝いなかったんですね…」
哀れな目を向ける鬼鮫。
「そんな目でオレを見るな…」
視線に気付いた飛段は食べながら唸るような声を出した。
*****
角都とサソリは並んで廊下を歩いていた。
「ダイエット?」
角都は横目でサソリを見る。
「鬼鮫の話だと、かなり無茶なダイエットしてるらしいぜ」
その話に、角都は昨夜の飛段の行動の理由を察した。
それからため息をつく。
「そんなくだらないことで…」
「好きな奴に、醜い脂肪見せたくねーんだろ。だから今日はタンクトップだ」
そんな貴重な姿はまだ見ていない。
角都とサソリがデイダラの部屋の前を通過しようとしたとき、
「はぁ…っ、デイダラァ…、オレ、もう…」
「「!!?」」
扉越しから聞こえてきた息も絶え絶えな飛段の声に反応した角都とサソリ。
同時に立ち止まり、その扉に顔を向ける。
「オイラだって…、こんなこと…」
「あ…、でも…、してるとだんだん気持ち良く…」
「この、ドM…」
((デイ飛―――!?))
表情には出さないがかなり仰天している角都とサソリ。
戸惑いながらも最初にサソリが鍵穴を覗いた。
「…見えるのか?」
「黙ってろ」
鍵穴から部屋を窺ったサソリはどこかホッと表情を緩ませた。
「なんだそういうことか」
「見せろ」
サソリを軽く押し退け、角都も鍵穴から部屋の中を窺った。
部屋には、ばてた顔で腹筋をしている飛段と飛段の足首をつかんで手伝っているデイダラが見えた。
支えるのがしんどいのか、デイダラも疲れた顔をしている。
「飛段、ここでやめとかねーか? うん」
「まだだ。もう100回!」
「違った意味で腹が割れるぞ」
「うるせー! 脱☆脂肪フラグ!!」
「「……………」」
その時、オッサン2人がどんな顔していたかはご想像に。
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