堕天使からの贈り物
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あちら側の世界で、角都は会社に行くために歩道を歩いていた。
たまに辺りを見回し、銀髪の姿を捜す。
そして、横断歩道で立ち止まり、それを見つけた。
(飛段…)
飛段の口元が微かに動いた。
騒音のせいで聞こえない。
そのあと、目を逸らされた気がする。
顔がほんのり赤いのがわかった。
信号が赤から青へと切り替わる。
信号待ちしていた者達が一斉に進み出した。
角都もそれに混じって歩きだす。
飛段との距離がだんだん縮まっていく。
だが、目を合わせようとはしない。
その仕草から、己のことを覚えていることはわかる。
だが、嫌われていないかと不安になった。
そう考えているうちに飛段とすれ違ってしまう。
あちら側の飛段の言葉を思い出し、咄嗟に飛段の右手をつかんだ。
ちょうどいい位置にあり、つかみやすかった。
飛段が驚いて振り返る。
角都は飛段の右手を握ったまま、その顔を見つめた。
「飛段」
同時にその体を強く抱きしめた。
「か…くず…」
「ああ」
飛段は嗚咽を堪えている。
それでも、気持ちを伝えた。
「オレ…。おまえが好きだ…」
「ああ。…オレもだ」
飛段の瞳から涙がこぼれ落ちたのを見た角都は、さらに強く抱きしめる。
やがて飛段もその背中に手を回して力を込めた。
(追いかけてばかりですまなかった。やっと捕まえたぞ)
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