リクエスト:偽りの恋唄
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角都は船着き場から這い上がり、口布を取って口の中に入った水を吐きだした。
「ごほっ」
水だけでなく血も吐き出す。
(仮面は…、割れていないな…)
心臓が潰れる感触はなかった。
皮膚を切られただけで済んだようだ。
「あの男…、まさか…」
角都は長年の記憶のほんの一部を思い出した。
あの琵琶の男とはどこかで会ったことがある。
角都に恨みを持つ者はいくらでもいる。
そんな理由で襲いかかってくる者は返り討ちにしてきた。
おそらく、あの琵琶の男もそのひとりだろうと角都は考える。
編み笠から見せたあの両目の傷痕は己がつけたものだとすると。
『たとえ光を失おうとも、貴様だけはオレと同じ苦しみを与え、必ず殺してやる!!』
「…ああ、あいつか…」
面影も一致する。
両目から流血しながらも崖から飛び下りてそのまま逃げ延びたか。
「…恨みは買うものではないな。損をするだけだ」
頭巾をしぼって再び被り、角都は飛段とカタリを再び探す。
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