リクエスト:偽りの恋唄
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朝になっても飛段は戻ってこなかった。
先に布団に横になり、角都は飛段が戻ってきたことを確認してから眠りに就くつもりだった。
着替えた角都は窓から町を見下ろす。
やはり見慣れた銀髪はどこにもない。
「角都」
飛段のではないその声に角都は振り返らなかった。
背後では畳からゼツが顔を出している。
「ゼツ、あの馬鹿はどこにいる?」
窓の下を見下ろしながら角都は尋ねた。
黒ゼツは答える。
「別ノ男ト行動シテイル」
「!」
ピクッと反応した角都にゼツは「今、動揺したな」と内心で笑う。
ゼツの思った通りで、角都は危うくはっとした表情で振り返るところだった。
「フラれた?」
「殺すぞ」
「おお怖い」
白ゼツのからかいにコブシを握りしめて怒りを抑え、飛段の居場所を再度尋ねた。
白ゼツは笑いを含めて答える。
「飛段なら、別の宿で男と一泊したあと、町で男とのんびりしてるよ」
「そうか」
そう答えたあと、間髪入れずに角都は窓を蹴破って飛び出した。
それを見届けたゼツは「あらら」という顔をして割れた窓を見つめる。
「窓開けてから出ればいいのに…」
「ソンナ余裕ハナサソウダ」
「それより、ここの宿代、どうするつもり?」
宿の主人に見つかる前に、ゼツはさっさと退散することにした。
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