小さな日記
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飛段を探し、リビングに入った角都はその光景に出くわした。
扉を開けた途端、トビとデイダラと飛段が三角形の立ち位置で真剣な顔を見合わせている光景を見てしまう。
なぜか、飛段はズボン1枚、デイダラは外套を脱ぎ捨てていた。
他の服まで床に散らばっている。
他の暁メンバーはその周りでソファーや椅子に座りながらそれを観戦していた。
「おまえたち…、なにを…」
角都が声をかけようとしたとき、3人はほぼ同時に声を上げ、動きを合わせる。
「アウト!」と飛段。
「セーフ!」とデイダラ。
「よよいの…」とトビ。
「「「よい!!」」」
糸を巻くようにグルグルと両腕を回したあと、飛段とデイダラはチョキを、トビはグーを出した。
「イェーイ♪」
トビはその場でクルクルと回ったあと、決めポーズのように左手を腰に当て、右手でピースを作った。
その姿は誰が見ても腹が立つ。
「チッ、またかよ!」
「トビ、少しは手加減しやがれ。うん」
飛段とデイダラは己の額当てを外し、床に置いた。
「ジャンケンに手加減なんてないっスよ~」
「なにをしている?」
トビが勝利に浸っていたとき、改めて角都は3人に声をかけた。
やっと角都の存在に気付く3人と他の暁メンバー。
「見ての通り、野球拳だぜ、角都」
それはわかっている。
「また突然だな…」
そう呟いた角都の言葉にペインが答える。
「焼き肉食べ放題券の争奪戦だそうだ」
「それでおまえは全裸なのか」
正確にはタオル1枚だ。
ペインは先程勝負に負けたばかりで、イタチも参加していたが、あと1枚で負けというところで強制的に鬼鮫が阻止した。
トビを見ると、一枚も脱いでいない。
手袋も靴も、そのままである。
「おまえは全勝しているのか」
「得意なんスよ、野球拳♪」
トビは得意げに両手のピースを角都に向ける。
「最初は押してたのになァ…」
そう呟いた飛段の言葉に、角都は「ん?」と首を傾げ、トビの背後に目をやった。
「!」
それを目撃した角都は眉間に深い皺を寄せ、ズンズンと真っ正面からトビに近づき、ビビるトビに構わずその面に手をかける。
「あ、あ、ちょ、ちょっと!」
抵抗するトビだったが、あっさりと仮面を剥ぎ取られてしまう。
だが、その仮面の下には同じ仮面があった。
「……………」
角都は黙ったまま、トビの仮面を剥いでいく。
「キャ―――! イヤ―――!」
女のような叫び声を上げるトビだったが、大人しく仮面を剥ぎ取られていく。
しかし、剥いでも剥いでも剥いでも剥いでも…、トビの顔は現れない。
ゴッ!!
「おぐっ!」
苛立った角都は感情のままにトビの頭のてっぺんに拳骨を振り下ろした。
痛みに悶えるトビの背後には、ゴミ山のように積まれた仮面があった。
「それを「得意」とは言わん!」
たまねぎかっ!!
角都の鋭いツッコミとともに、トビは強制退場させられた。
トビが強制退場させられたため、残るは飛段とデイダラの一騎打ちとなる。
飛段が身につけているのはズボン1枚、デイダラは上着とズボンの2枚だ。
「飛段はあと2回で負けるな」
ペインがそう呟いたが、角都は「違う」と内心で否定する。
飛段が残り1回で負けることを角都は知っていた。
なぜなら、飛段はパンツを履かないからだ。
「角都ゥ」
自分があと1回で負けることは自身も当然知っている。
助けを求めるかのように角都に視線を送る。
「まいった」と言えばそれで負けとなるが、それで焼き肉券を諦めたくはない。
焼き肉なんて角都が節約生活をしているせいで普段は食べられないからだ。
勝負はどうでもいいが、それで飛段がメンバーの前ですっぽんぽんになることは許せない。
「覚悟はいいか、飛段。うん」
明らかに服の枚数が多いデイダラが優位だ。
デイダラが始めようとしたとき、角都が2人の間に割り込んできた。
「オレがジャンケンを代わろう」
選手交代ではなくジャンケンだけなら反則にはならないが、デイダラは納得しない。
「誰がやってもジャンケンはジャンケンだろ? うん」
力勝負ではなく、運の勝負なのだから、誰が出ても同じである。
「オレが負けたら、飛段だけでなくオレもすべて脱ぐ」
「いや、それはいい。角都が脱ぐと色々怖い。うん」
デイダラは大浴場で入浴していた時の角都を思い出してしまい、顔を青くしながら首をふるふると横に振った。
「わかったよ。その代わり、あとだしはなしだからな。うん」
デイダラが承諾したとき、観戦していたサソリは声をかけた。
「デイダラ、やめとけ。おまえの負けだ」
「旦那、オイラだって運もいいんだぜ。うん」
口癖が「うん」なだけに。
ジャンケンが始まる前に、角都は言う。
「オレはグーを出す」
「心理戦か? その手には乗らねーぞ。うん」
角都はグーを突き付けた。
「このグーがどうでるかは貴様にかかっているぞ、デイダラ」
「!!」
その時、角都のグーに殺意が纏っていることに気付いた。
(ただの脅しじゃねえか!!)
そう思ったのはデイダラだけではない。
「さあ始めるぞ」
「だからやめとけと言ったのに…」とサソリの呟き声が聞こえた。
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