リクエスト:一杯飲まされ
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午前4時、店を閉め、振り返ると飛段はカウンターで伏せて眠っていた。
顔は耳まで真っ赤になっている。
もともと酒の耐性が強い方ではなく、女性客たちに勧められるままにカクテルを飲んだ結果だ。
奢りだからと調子に乗るからだ、馬鹿が。
そのままお持ち帰りされそうになったのをオレが止めた。
あとで「なんで止めなかった」と責められるのが鬱陶しいだけだ。
肩を揺すっても起きる気配がない。
ため息をついたオレは上着をかけてやり、その際に飛段のポケットから携帯を抜き取った。
携帯を開いた瞬間、ロックを解除しろの文字と出くわす。
前にも同じことがあり、その際も飛段の携帯を開いてロックの解除を試みたが、2時間ねばった挙句諦めた。
誕生日、名前、働いていた事務所の名前、ペットの名前など、履歴書や本人の口から出た言葉はほとんど打ちこんだが、やはり簡単には解除できそうにない。
「馬鹿のくせに…」
理不尽な怒りが湧いてくる。
幸せそうに眠る奴を見ると、怒りがプラスしてその頭をしばきたくなる衝動に駆られてしまう。
もういっそのこと、この携帯をゴミ箱に捨てるかトイレに流すかしてしまった方が早そうだ。
しかし、ここまで来てそんな簡単な方法に出るのもなぜか癪だ。
「見ろ! 貴様の携帯のロックを解除してやったぞ!」
「そ、そんな…、なんでわかったんだァ!?」
「オレの手にかかればちょちょいのちょいだ、愚かな馬鹿め!」
データを消去しました(しかも、関係のないデータまで全消し)。
「わ―――ん!」
「さっさと出て行け!」
蹴。
塩撒き。
想像して思わず口元に笑みが浮かんでしまう。
(ああ…、やりたい…。すごくやりたい…!)
平和な生活30余年。
今更だが、己がドSであったことが発覚。
嫌な夢でも見ているのか、飛段はいつの間にか青い顔をしながら「うーん」とうなされていた。
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