小さな日記
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それは暁メンバーが朝食を食べていた時だった。
デイダラは立ち上がり、メンバー(特に不死コンビ)を睨みつけた。
「このアジトの風呂は共同だ。だから、別のことで使用したなら後片付けしろ。臭ェんだよ! うん!」
昨夜、不死コンビのあとに浴室に入ったデイダラは、浴室内の匂いにいちはやく気付いた。
顔をしかめるほどの匂いとは裏腹に、浴室内はどこかピンクな雰囲気までも漂っていた。
浴室がこうなったのは一度や二度ではない。
浴室に響く喘ぎ声ならまだ許せるが、共同で使うところはきっちりと片付けてほしい。
明らかに自分達のことを言っているのだと察知した不死コンビは気まずそうに互いの目を合わせた。
「だったら先にデイダラが入ればいいだろォ」
「一番風呂を横取りするのはいっつもおまえだろが、飛段!」
ついでに、それにナチュラルについていく角都も問題である。
バイトから帰ってきたばかりなのに元気なものだ。
「つうか、食事中にする話じゃねえだろ」
サソリは眉を寄せて「すぐに黙れ」と言いたげに向かい側のデイダラを睨みつける。
「旦那は食事食べないだろ。うん」
(ていうか、なんで食堂にいるんだ? うん?)
食事中のデイダラが見たいからに決まっている。
*****
その夜、飛段と角都は浴室にいた。
一足早い行為が終わったあと、角都は今朝デイダラに言われたことを思い出し、換気扇をつけて出ようとする。
飛段は湯船に浸かったままそれを止めた。
「待てよ。それより速攻で消臭できるモンあるぜェ」
飛段が取り出したのは、湯のもとだ。
袋を破り、サラサラと湯船に振りかけた。
すると、湯船の湯はほんのりと桜色に染まった。
桜の匂いも香る。
これなら行為後の臭いも消せる。
「もっと早く出せ」
角都は桜色に変わった湯船に浸かった。
そんなに広くないため、飛段を膝の上にのせ、己の胸に背をもたせかけさせる。
「この湯のもと、どこで手に入れた?」
「オレの里のモンだよ。あんま使いたくなかったけど、この際仕方ねえだろ」
箱であるらしい。
親から送られてくるそうだ。
「他にもあるぜェ。森林、ひのき、ラベンダー、ミントに薔薇とか…」
「ほう」
飛段は両手のひらで湯を掬い、その香りを嗅ぐ。
「けど、どれも本物じゃねえな。この桜だって、角都と一緒に歩いた桜並木ほどの匂いじゃねえ…」
角都はその時のことを思い出し、「そうだな」と小さく呟き、「だが」と続ける。
「本物の時のことを思い出させてくれる」
2人で歩いた森林、2人で入ったひのきの湯、2人で歩いたラベンダー畑など。
「ゲハハッ。じゃあ、これも悪くねえなァ…」
それなら、もっと他の湯のもとも送ってくれるように頼んでおこうか、と飛段は心に決め、角都と2度目を再開した。
*****
デイダラは苦渋に満ちた顔をしていた。
「どうした。今日はひのきだぜ?」
湯船に浸かるサソリは平然としている。
「オイラ、今日はシャワーだけでいい。うん」
(あの2人がヤったあとって、決まって湯のもとが入ってるから入りたくねーんだよ。うん)
知りたくなかったお決まりごと。
それでも、せっかくのひのき湯も浸かれないのは口惜しいデイダラだった。
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