リクエスト:歌声よ届け
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全国ライブ当日の夜、AKATSUKIはライブ会場にいた。
AKATSUKIが待機している楽屋にやってきたペインから知らされたのは、角都はまだ目覚めないということだった。
飛段は「そっか」とだけ答えた。
真剣な瞳は宙を見つめ、飛段は「それでもやるしかない」と自分にも言い聞かせるように呟いた。
デイダラは飛段に近づき、肩を叩いて笑みを見せる。
「飛段、絶対成功させよう。オイラ達のアートってもんを、全国に聴かせてやろうぜ。うん」
イタチとトビも、デイダラに続いて飛段の傍に近寄った。
「おまえの歌声がメインだ」
「オレ達も全力出しますから! 燃え尽きるまで!」
「おう」
AKATSUKIの気持ちは一つになった。
それはペインにも伝わった。
ペインは口元に緩やかな弧を描き、4人に言う。
「もうすぐ時間だ。スタンバイしろ」
「はい」とAKATSUKIは声を揃えた。
やる気充分である。
AKATSUKIは楽屋を出る前に同時にコブシを軽くぶつけ合い、ライブ会場へと向かう。
ステージに上がる前に、飛段はリストバンドにキスをした。
*****
ライブ会場には大勢の観客が集まっていた。
ステージのすぐ前にはテレビ局のカメラが数台設置されている。
幕が開け、会場内は歓声に沸いた。
真っ暗なステージの真ん中にスポットライトが当てられ、AKATSUKIのリーダーである飛段が照らされた。
飛段は笑みを浮かべ、マイクを片手に会場内の客に言う。
「来てくれてありがとう! オレは今日、喉潰す覚悟でここにいる。だから、今夜は盛り上げていくぜェ!!」
飛段がコブシを振り上げ、客もコブシを上げて叫ぶ。
「続けて叫んでくぜェ!!“シャウト”!!」
トビのドラムから始まり、ギターとベースが同時に弾かれ、ステージにすべてのライトが当てられた。
飛段は角都のもとまで届くようにと声を張り上げる。
“シャウト”を終えたあとは、続けてアルバムの曲をライブバージョンでいくつか歌い終え、最後はファーストアルバムで最も人気だった曲で一度はその場を終えた。
ここからが本番だ。
AKATSUKIがステージの裏へ消え、会場はアンコールを求めた。
手を叩きながら「アンコール」と繰り返している。
AKATSUKIはこれを待っていた。
少し間を開けてからステージへと再び上がる。
会場は再び歓声で沸いた。
「アンコールありがとな! 最後の最後に、まだ公開されてない新曲を聴かせてやるぜ! 作詞したのがオレだから、ちょっと恥ずかしいけどな!」
会場は驚きの声に包まれた。
初めて飛段が作詞した歌がこれから歌われるからだ。
「気に入ってくれたらスゲー嬉しいな…。それじゃあ行くぜ。“キズシルベ”」
飛段はもう一度リストバンドにキスをする。
デイダラのギターとトビのドラムから始まり、イタチのベースが弾かれ、飛段は歌いだす。
*****
病室に2時間前にやってきたペインは一向に目覚める気配を見せない角都を見下ろした。
「聴こえてるか? 角都」
ベッド脇のテレビには飛段の姿が映し出されていた。
飛段は新曲を歌いだす。
冷たい夜 冷たい傷
ヘッドフォンから流れるmusic
この世界を隔てた カラッポだったオレ
外側が傷だらけのまま このままでいいと
諦めてた 諦めてたのに
「ありがとう ふさいでくれて」
「ありがとう 見つけてくれて」
キズシルベ
旅の終わり
この道は赤だけじゃない
色んな色を教えてくれた
おまえのために オレは望む色を
おまえのために…
キズシルベ
オレはここにいる
独りの再出発はありえない
おまえを失えば ここまで
置いてくな 置いてくなよ
オレの気持ちごと
それは飛段の角都への言葉だった。
「飛段…」
テレビを見つめながらペインが呟いたその時だ。
目の端に、なにかがピクリと動いた。
はっと振り向くと、角都の指がかすかに動いている。
「角都!?」
病院内にいることを忘れ、思わず声を上げてしまう。
「……飛段…」
呼吸器から角都の声が漏れる。
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