リクエスト:汝の隣人を愛せよ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日の朝、角都は「ちゅっ」という可愛らしい音に目が覚めた。
横目で見ると、ベッドの脇に立っている飛段が頬にキスしていた。
目が合った飛段は笑みを浮かべる。
「おはよー、角都ゥ」
「ひだ…」
その天使のような笑みに朝から妙な気を起こしそうになる。
飛段を抱き寄せようと腕を伸ばすが、「早く起きろよ」と言って飛段はさっさと部屋を出て行ってしまう。
「…?」
時計を見ると、朝の7時だ。
「………!!」
瞬時に角都の脳が覚醒した。
ガバッと半身を起こし、飛段が出て行った開けっぱなしの扉を凝視する。
(何~~~!? あの飛段が早起きだとっっ!!?)
飛段のいつもの起床時間は、叩き起こさなければ10時は余裕で過ぎる。
「な…、なにがあったんだ…」
驚きを隠せずにいると、
「ぎゃ―――!!!」
デイダラの叫びがアジト中に響き渡った。
角都はベッドから飛び起き、デイダラの部屋へと向かう。
そこには、デイダラの頬にキスしようと唇を近づける飛段と、「嫌だ嫌だ」と両手で飛段の顔を抑えて必死に抵抗するデイダラがいた。
「…なにをしている?」
飛段がデイダラを襲っているようにしか見えない。
「あ! 角都! 助けてくれーっ!」
デイダラは飛段を抑えながら角都に顔を向けて救いの手を求める。
角都は飛段に近づき、腰布をつかんでデイダラから引き剥がした。
「飛段、なんのつもりだ?」
「なにっておはようのチューだろ!?」
照れもせずに断言する。
角都は雷に打たれたかのようなショックを受けた。
「……なん…だと?」
少し遅れて、ようやく声が出る。
「だって、ジャシン様は「他人に愛を注げ」って言ったしィ。起こす時はおはようのチューが一番かと…」
「それなら叩き起こされた方がマシだ!! うん!!」
デイダラはタオルケットを頭から被ってガタガタと震えている。
「おまえ、まさかそれ、暁のメンバー全員にやるつもりだったのか?」
角都が問うと、飛段は「当たり前じゃん」と答えた。
角都を抜いて暁メンバー勢ぞろいで飛段を殺しにかかるだろう。
サソリにもやるのでは、と心配になったデイダラは飛段に言う。
「ひ、飛段、角都以外でそれは迷惑だと思うぞ。うん」
「迷惑」という言葉を聞き、飛段はピクリと反応した。
眉をハの字にして反省する。
「そっか…。迷惑ならやらねえ…」
「飛段?」
やはり、いつもの飛段ではない。
飛段は顔を上げ、扉へと向かって振り返り、角都とデイダラに言う。
「朝食、作っといたから食堂に来いよ」
そう言って廊下へと出た。
残った2人はわが耳を疑った。
((飛段が朝食を…!!?)
飛段が朝食を作っている姿など、角都さえ見たことない。
*****
食堂に集まった暁メンバーは、テーブルに並べられた人数分の朝食を見て顔を青ざめていた。
皿の上には、泥状の黒い物体が載っていたからだ。
絵にするとモザイクがかかるほどだ。
おまけに、妙な異臭までする。
「う…」
角都がマスク越しからでもわかるほどの臭いだ。
「たんと食べてくれ! 兵糧丸とか、栄養のつくもの全部鍋にブチ込んで焼いたモンだァ!」
栄養つくどころか食べ物に精気を吸われそうだ。
あと、鍋で焼くとは言わない。
「オレちょっと片付けしてくるなァ」
そう言ってキッチンの方へと向かった。
「角都さん食べてくださいよ。相方でしょう」
鬼鮫が顔を向けるが、角都は目を合わさずに答える。
「断る。愛の受け止め方にも限度がある」
「あいつ…、オイラ達は不死身じゃねーぞ。うん」
「おい、ゼツ。食べろ」
サソリが言うが、ゼツは首を横に振る。
「食当たり起きそう」
「炭ハ食ベナイ」
同時に、全員はペインを押さえつけた。
「な、なにをする気だ!?」
「神なら食べられるだろ。うん」とデイダラ。
「ペイン、オレ達を救ってみろ」とイタチ。
「おまえならできる」と角都。
「あなたは神よ、ペイン」と小南。
サソリとゼツは全員分の朝食を持ってきて、一気にペインのこじ開けられた口に流し込んだ。
.