小さな日記
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角都と飛段がコンビを組んで間もない頃の話だ。
冬のある日、2人は仕事も終えて宿に宿泊していた。
角都は低い机の前に胡坐をかいて座りながら帳簿をつけ、その背後で飛段は静かな寝息を立てながら温かな布団を被って爆睡している。
今回のバイトのあと飛段の儀式に付き合わされたが、それなりの金は手に入れることができた。
「よくもまあ、寒い中で儀式などできるものだ」
角都は肩越しに飛段を見て呟いた。
今回は雪の上の儀式だった。
白い雪の上に赤い血が描かれ、飛段は「寒い」と一言も言わず祈りに集中していた。
雪は空からも降ってきた。
静かに積もりゆくそれは、飛段を白に染めていった。
それでも飛段はなにも言わない。
状態が状態なだけに、本当に生きているのかと疑ってしまう。
確かめるために角都は飛段に近づき、その頬に触れた。
すると、儀式中に初めて飛段の口が開く。
「あったけーな、角都」
そう言って微笑んだ飛段に、角都はわずかにうろたえた。
てっきり、「儀式の邪魔をするな」と文句を言われるかと思ったからだ。
角都は手のひらを見つめ、飛段の冷たさを思い出し、そしてため息をついた。
(なにを思い出しているんだ、オレは…)
「!」
不意に気配を感じ、振り返った。
そこには布団から半身を起こした飛段がいた。
「起きたのか」
飛段は返事を返さず、角都に振り向き、四つん這いで近づいてきた。
「お、おい」
「寒い…」
飛段は眠そうな声を出し、角都に近づくと、膝の上にのそりとのってきた。
そこで体を丸くさせ、再び眠りに入る。
「…飛段?」
(寝惚けているのか?)
かつて、今まで組んだ相棒の中でこんな行為をでたものは当然いなかった。
先程まで布団に入っていたため、飛段の体は温かく、冷えていた角都の脚を温める。
跳ねのける気にもならない。
「なにが「寒い」だ、馬鹿が」
*****
「それ以来、ここはオレのお気に入りの場所なんだぜェ♪」
「たまに足が痺れてしんどい時もあるがな」
(恋人同士っつーより、傍から見たら、おじいちゃんとネコだな。うん)
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