リクエスト:頬も林檎色
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翌朝、オレ達3人は洗面所で並んで歯を磨いていた。
ヨルの歯のことだが、抜けた部分にはすでに新しい歯が生えていた。
「生えかわりだったのかもしれない。だから古い歯に虫歯ができたのかもな」
黒の歯ブラシで歯を磨くヨルはそう言った。
ピンクの歯ブラシで磨くオレは、「ドリルは壊したのにか」と呆れた声で言い返す。
「朱族とは本当にいい加減な存在だな」
緑の歯ブラシで歯を磨く角都もそう言って呆れていた。
ヨルはムッとした顔をする。
「オレだって好きでこんな体になったわけじゃねーんだからな。とにかく、これでまた血は飲み放題、りんご飴食べ放題だ」
そう言って笑みを浮かべた。
懲りない奴だな、ホント。
「痛って」
奥歯を磨いていたとき、唐突にそこに痛みが走った。
2人の視線が鏡を通してオレに向けられる。
「なんだ?」
オレは水で口をゆすいで吐き出し、口端に人差し指を引っかけて目の前の鏡で自分の口の中を見る。
奥歯にひとつ、黒いものを付着させた歯を見つけた。
「虫歯かァ? ハッ!!」
2人の目が鋭く光ったのを見てしまった。
「いやいや、たぶん今朝食べたおにぎりのノリが…」
その時、角都の人差し指がオレの頬を突いた。
瞬間、歯に激痛が走る。
「ぎゃあああああ!!」
宿中に響くほどの叫び声を上げてしまった。
「…歯医者に行かねーとなぁ?」
「今すぐにだ」
オレは窓から飛び降りて逃げようとしたが、コウモリの群れに行く手を阻まれ、角都の地怨虞に捕まってしまった。
「助けてジャシン様ァァァァ!!」
かくしてオレは、昨日行った歯科医院で恐怖を味わうことになった。
こんな目に遭いたくなかったら、歯はしっかり磨いとけよ。
身内も敵にまわるからな。
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