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見た目が年寄りらしくないとはいえ、飛段とヨルのように若くはない。
周りから見れば、オレ達3人はどのように映っているのだろうか。
飛段とヨルは顔も綺麗に整っていて、男も女も釘づけになる。
対して、オレもある意味注目を浴びるが、そんな理由ではないだろう。
暁の中では鬼鮫の次に身長が高く、縫い目を隠している姿も怪しく、ガキにはよく怖がられる。
別にそれを気にしたことはない。
前までは。
ヨルが仲間に入ってからだな。
ヨルより強いうえに知識でも勝っているこのオレが、優劣でも感じているのだろうか。
確かに、オレより長く生きているというのに、ヨルの見た目は飛段とさほど変わらない。
2人並べば、友人同士か恋人同士に見えるはずだ。
オレと飛段が並べばどうだ。
周りはオレ達をどのように見るのだろうか。
オレは飛段のことをただの連れだと思っている。
本人には言わんが、オレの連れが務まるのは奴だけだ。
飛段はどうなのだろうか。
最近はヨルと話して(口喧嘩含め)ばかりでオレに対する鬱陶しさは減ったが、逆にそれに苛立つオレがいる。
そこでヨルが女だということを唐突に思い出す。
そして、感情のままに2人を殴る。
オレは一体、2人にどうしてほしいのか。
一度、己の分身を出して自分自身を殴ってみようか。
そうすれば、昔のオレが目を覚ますかもしれない。
そう考えた時点で、オレは己を愚かだと思った。
「はぁ…。馬鹿馬鹿しい」
どうやら、昔のオレは知らず知らずのうちに馬鹿2人に殺られてしまったようだ。
心臓のように補充できればいいというのに。
仕留めた賞金首の換金を済ませ、換金所を出た時だ。
「なんでテメーは指図ばっかすんだよ!」
「そう言う飛段こそ、ワガママばっか言いやがって!」
飛段とヨルが換金所の前で言い争いをしていた。
もう少し換金所で情報を仕入れて時間を潰せばよかっただろうか。
頭痛がする。
「いつもオレの血ィバカみてーに飲ませてやってんだから、ワガママくらい聞く義理はあるだろ!」
「テメーが「義理」って言葉使うなバカ!」
それはもっともなことだが、
「どちらも大馬鹿だ」
ゴッ!
「「!!」」
2人に近寄らず、両手を地怨虞で伸ばして2人の横面を殴った。
「「角都!!」」
文句を言いだす前にもう1発ずつ食らわせた。
暑いせいでオレの機嫌はすこぶる悪い。
オレの不機嫌を察した2人は目を合わせて「フン」とそっぽを向きあったあと、黙ってオレの後ろについてきた。
アタッシュケースをゼツに預け、次の賞金首を見つけ出すためにオレ達は山道を進んだ。
坂を上がりきったところで茶屋を見つけ、飛段は目を輝かせた。
「茶屋だぜ!」
オレの袖をぐいぐいと引っ張り、茶屋を指さしながら子供のようにねだり始める。
「なぁ、角都ゥ。茶屋寄ってこーぜェ。いいだろォ?」
甘え声が癇に障ったが、今回換金した賞金首は飛段が仕留めたものだ。
甘味物で済むなら安いものだろう。
「一品だけだ」
飛段は小さくガッツポーズをとり、さっさと茶屋の中へと入っていく。
「なんだかんだ言って、角都も飛段に甘いな」
そう言ってヨルは微笑んだ。
「義理というやつだ。それ以上喋れば殺す」
「だから、それをオレに…、いだだだだだ!!」
飛段のマネをしたので、右手で頭をつかんで力を込めた。
間違って頭を潰さない程度に。
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