リクエスト:ドナドナの子牛達
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人目を避け、オレ達は死体を運びながらいったん町を離れ、換金所へと向かう。
角都がボスと右腕の音の死体、オレとヨルは客に混じっていた賞金首をひとりずつだ。
体がデカいから角都のように持つと手が痺れる。
あいつ、2人も持って重くないのだろうか。
手の痺れを誤魔化すために角都に尋ねる。
「よくヨルの背中の札、剥がせたよなァ」
角都がワイヤーを避けて床に着地したとき、左手と片膝をついていた。
あの時に、左手を切り離し、舞台の床下に潜らせたのだろう。
その左手はヨルのところへ向かい、角都と右腕の男が戦っている隙にヨルの腕を解放し、解放されたヨルは分身蝙蝠で自分の姿を作って入れ替わったのだろう。
オレは闘いに集中していたため、それに気付かなかった。
わからないのは、どうやってヨルの背中の札を剥がしたかだ。
触れれば電撃が走るのに。
「サラシごと剥ぎ取った」
角都は躊躇なく答えた。
「剥ぎと…」
「あとで新しいの買えよテメー」
ヨルの外套の下は服の背部が破けた状態になっているということだ。
助けてもらった身なので、ヨルは怒るに怒れないのだろう。
不機嫌になったヨルは先へ先へと進んでいく。
換金所がどこかも知らないクセに。
「角都、ヨルが分身じゃなかったら、どっちを助けてた?」
ふと、気になって尋ねてみた。
まあ、答えはヨルの方だろう。
オレと違って、ヨルは首を刎ねられたらそれまでだ。
「……あの時は、敵を油断させるためにわざと貴様を助けた」
だろうな。
「どちらも本体だった場合…、オレはどちらも助けていた」
「…!」
「「手を出すな」とどちらかが言わない限りな」
角都の目がこちらを見る。
「は…、ハァ? オレ不死身だぜ?」
「オレは効率よく任務をしたいだけだ。貴様の首が飛ぶたびに縫うのに時間を食う必要はない。幸い、オレの手は切り離すことも伸ばすこともできるからな。貴様らがお互い反対の位置にいても、難しいことではない」
「……………」
オレは思わず立ち止まった。
角都は構わず先へと進みながら言う。
「ただし、だからといって甘えるな。足手まといはいらん。オレの足を引っ張るなら、殺すぞ」
遠くでヨルが「角都、どっちだ?」と振り返って尋ねる。
角都は「あと少しで右に曲がる」と返した。
オレは少し遅れて追いかけながら言う。
「だから、それをオレに―――」
思わず口元に笑みが浮かんだ。
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