夏の桜
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*飛段
マズいことになった。
オレ達を縛ってる間、角都はあっさりと賞金首を仕留めて戻ってきたし。
クソ、もうちょっと早く逃げろよあいつも。
それでなにがマズいかって、宿に戻った途端、角都が「この町から発つ」とか言いだしやがったからだ。
もちろん説得に試みるオレ達。
「角都! なにもいきなり出発しなくてもいいじゃねーか! もう夕方だぜ!? 今日はゆっくり体を休めて明日にしよーぜ! オレ達だって疲れてんだし!」
「貴様らは、ただオレの邪魔をしただけだろ。ふざけたことを抜かすな」
ヨルの言葉も一蹴されてしまう。
「だってそれは…!」
ここでオレは言葉を止めた。
正直に言ったら計画がバレてしまう。
オレとヨルは「どうする?」と互いに目を合わせる。
「じゃ…、じゃあ、町を出る前についてきてほしいところが…」
「くどい」
オレは内心で舌を打った。
せっかく目元に濃いクマを作りながら昨日完成させたってのに、一目も見ずに町を去ろうってか。
そうはさせてたまるか。
オレ達の努力を水の泡にするわけにはいかない。
どうやってあの場所につれていこうか。
日付が変わるまでまだ6時間はかかる。
どうする。
どうする。
どうする。
どうする。
とにかく頭の中をできるかぎりフルに回転させた結果、オレは考えついた。
というか、それを思いついた時にはすでに行動に出ていた。
角都の傍にあるアタッシュケースを手に取る。
「?」
角都と、「まさか」と顔を真っ青にしたヨルがオレを見上げた。
そう、オレは頭脳より体力派だ。
これしかない。
「こ…、これはもらってくぜェ!!」
オレはすぐに窓ガラスを突き破って宿を出た。
屋根の上を飛び移りながらとにかく全力で走る。
我ながらすごい良案。
ゴールはあの場所に6時間後到着出来ればいい。
ドンッ、と背後から凄い音が聞こえた。
「飛段…!!」
移動しながら、おそるおそる振り返ると、縫い目から地怨虞漏れまくりの角都が追いかけてきた。
「うわぁ…」
逃亡は簡単じゃなさそうだ。
「!」
真上を見上げると、いつ間にかオレの頭上を飛んでいた頭刻苦が口をパカッと開けた。
「マジかよ!!」
頭刻苦の口から炎が吐きだされると同時に、オレは大きくジャンプした。
「あちちちち!!」
外套に火の粉が燃え移り、オレは慌てて外套を脱ぎ捨てた。
続いて背後に迫ってきた偽暗が口から稲妻を吐き出す。
「うおおおお!!」
オレは逃げながらそれをかわしていった。
巻き添えを食らってる民家が次々と爆発する。
「痛っ!」
偽暗の稲妻がオレの手の甲をかすり、オレは思わずアタッシュケースの取ってから手を放してしまった。
「しまった…!」
アタッシュケースが民家と民家の間に落下していく。
地面に直撃するかと思ったとき、
「!!」
素早い影がそれをキャッチし、ジャンプして屋根の上に飛び乗った。
「ヨル!」
「大胆に行動してくれるな! 大体、ひとりであいつから逃げ切れるわけねーだろ!」
ヨルはオレに近づき、アタッシュケースを渡すと同時にオレの手の甲に噛みついた。
「!」
その時、とんでもない殺気が迫ってきたのがオレでもわかった。
角都だ。
「殺す…!!」
オレ達2人に戦慄が走り、同時に瓦が割れるほど屋根を蹴り、ヨルと並んで再び逃走を開始した。
「誕生日祝いのはずが、オレ達の命日になりそうだ!」
「飛段! てめーがそれを言うか!」
ヨルは自分の外套の中にアタッシュケースを入れ、外套の下でそれを抱えて走りながら背中から分身蝙蝠を出した。
分身はヨルとオレだ。
アタッシュケースを隠したのはアタッシュケースが持てない分身ととけこむためか。
「これでしばらく時間稼ぎが…」
瞬間、爆発音とともに分身が10人近くやられた。
黒煙から姿を現した角都は完全にキレている様子だった。
遠距離モードになりかけている。
「悪い、マジで自信なくなってきた」
「それでもやるしかねーだろ、ヨルちゃんよォ」
死なばもろとも。
.
マズいことになった。
オレ達を縛ってる間、角都はあっさりと賞金首を仕留めて戻ってきたし。
クソ、もうちょっと早く逃げろよあいつも。
それでなにがマズいかって、宿に戻った途端、角都が「この町から発つ」とか言いだしやがったからだ。
もちろん説得に試みるオレ達。
「角都! なにもいきなり出発しなくてもいいじゃねーか! もう夕方だぜ!? 今日はゆっくり体を休めて明日にしよーぜ! オレ達だって疲れてんだし!」
「貴様らは、ただオレの邪魔をしただけだろ。ふざけたことを抜かすな」
ヨルの言葉も一蹴されてしまう。
「だってそれは…!」
ここでオレは言葉を止めた。
正直に言ったら計画がバレてしまう。
オレとヨルは「どうする?」と互いに目を合わせる。
「じゃ…、じゃあ、町を出る前についてきてほしいところが…」
「くどい」
オレは内心で舌を打った。
せっかく目元に濃いクマを作りながら昨日完成させたってのに、一目も見ずに町を去ろうってか。
そうはさせてたまるか。
オレ達の努力を水の泡にするわけにはいかない。
どうやってあの場所につれていこうか。
日付が変わるまでまだ6時間はかかる。
どうする。
どうする。
どうする。
どうする。
とにかく頭の中をできるかぎりフルに回転させた結果、オレは考えついた。
というか、それを思いついた時にはすでに行動に出ていた。
角都の傍にあるアタッシュケースを手に取る。
「?」
角都と、「まさか」と顔を真っ青にしたヨルがオレを見上げた。
そう、オレは頭脳より体力派だ。
これしかない。
「こ…、これはもらってくぜェ!!」
オレはすぐに窓ガラスを突き破って宿を出た。
屋根の上を飛び移りながらとにかく全力で走る。
我ながらすごい良案。
ゴールはあの場所に6時間後到着出来ればいい。
ドンッ、と背後から凄い音が聞こえた。
「飛段…!!」
移動しながら、おそるおそる振り返ると、縫い目から地怨虞漏れまくりの角都が追いかけてきた。
「うわぁ…」
逃亡は簡単じゃなさそうだ。
「!」
真上を見上げると、いつ間にかオレの頭上を飛んでいた頭刻苦が口をパカッと開けた。
「マジかよ!!」
頭刻苦の口から炎が吐きだされると同時に、オレは大きくジャンプした。
「あちちちち!!」
外套に火の粉が燃え移り、オレは慌てて外套を脱ぎ捨てた。
続いて背後に迫ってきた偽暗が口から稲妻を吐き出す。
「うおおおお!!」
オレは逃げながらそれをかわしていった。
巻き添えを食らってる民家が次々と爆発する。
「痛っ!」
偽暗の稲妻がオレの手の甲をかすり、オレは思わずアタッシュケースの取ってから手を放してしまった。
「しまった…!」
アタッシュケースが民家と民家の間に落下していく。
地面に直撃するかと思ったとき、
「!!」
素早い影がそれをキャッチし、ジャンプして屋根の上に飛び乗った。
「ヨル!」
「大胆に行動してくれるな! 大体、ひとりであいつから逃げ切れるわけねーだろ!」
ヨルはオレに近づき、アタッシュケースを渡すと同時にオレの手の甲に噛みついた。
「!」
その時、とんでもない殺気が迫ってきたのがオレでもわかった。
角都だ。
「殺す…!!」
オレ達2人に戦慄が走り、同時に瓦が割れるほど屋根を蹴り、ヨルと並んで再び逃走を開始した。
「誕生日祝いのはずが、オレ達の命日になりそうだ!」
「飛段! てめーがそれを言うか!」
ヨルは自分の外套の中にアタッシュケースを入れ、外套の下でそれを抱えて走りながら背中から分身蝙蝠を出した。
分身はヨルとオレだ。
アタッシュケースを隠したのはアタッシュケースが持てない分身ととけこむためか。
「これでしばらく時間稼ぎが…」
瞬間、爆発音とともに分身が10人近くやられた。
黒煙から姿を現した角都は完全にキレている様子だった。
遠距離モードになりかけている。
「悪い、マジで自信なくなってきた」
「それでもやるしかねーだろ、ヨルちゃんよォ」
死なばもろとも。
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