罪と祝福の日
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*飛段
頭がぼんやりとする。
あれから何時間眠ったのか。
つうか、今何時なんだろうか。
せっかくいい夢見てたってのに。
あれ、なんの夢だったっけ。
食べ物とか出てきたから食欲の夢でも見てたか。
そういや腹減ったな。
胴体繋がってねえけど。
それにしてもやっぱり体のどこかに穴が空いたような気分だ。
春が近くなると大体こんなブルーな気分になる。
梅雨でもねーってのに。
ガラス越しに見える部屋には誰もいないようだ。
オレが寝てる間にどっか行っちまったのか。
後ろも向きたかったけど振り返れない。
改めて見ると無機質な部屋だな。
病院みたいだ。
窓はひとつしかないし、そこからしか光が差しこんでないようだ。
無駄に広いし、右側の壁と左側の壁には扉があり、オレがのってる超長いデスクには資料やら薬品やら実験に使う器材やらが載せられている。
「もうちょっと寝てようかなァ…」
見てるだけで憂鬱になる。
その時、左側の扉が開かれた。
そっちに目を向けると見覚えありまくりの影を見た。
ヨルだ。
両手に夢魔を持ち、部屋に入ってきた。
何人か殺したあとなのか目の色が朱色になっている。
おまけに目付きも冷たく鋭い。
「ヨル!」
オレが声をかけるとヨルははっとした表情でオレを見た。
それからぱっと顔を明るくさせる。
おいおい、さっきのクールさはどこに行った。
「飛段!」
そのままオレに駆け寄ろうとしたヨルが突然倒れた。
「ヨル!?」
ヨルは夢魔を落とし、耳を押さえたまま膝をついている。
オレは思い当たる。
あのベルの音色を。
床に落ちた夢魔が液化した時だ。
右側の扉がゆっくりと開かれ、ベルのオッサンが手にベルを持って部屋に入ってきた。
口元には嫌な笑みが浮かんでいる。
「好き勝手してくれたな。廊下が血まみれだ。それにしてもよく追いかけてきたものだな。完全に撒いたつもりだったぞ。なにかの術か? 少しキミにも興味が湧いてきたよ」
「て…め…」
ヨルはそいつを見上げ、睨みつける。
ベルのオッサンはフンと鼻で笑い、またベルを、リーン、と鳴らした。
「ぅああああ!!」
ヨルは悲鳴を上げる。
オレに影響がないってことは、この容器が耐性を持ってるからか。
ヨルはうつ伏せに倒れた。
「ヨル!!」
角都はまだ来ないのか。
もしかして来てないとか。
「ぐぅ…っ」
ベルのオッサンはヨルに近づき、背中を踏みつけた。
「ここまで効き目が出たのはキミが初めてだ。このベルは元々人間にとって不快な音波で相手の動きを封じるだけのものに過ぎない。だが、キミにとっては相性が悪い代物のようだ」
ヨルの耳が良すぎるんだ。
聞きとれない音まで本人の意思関係なく聞きとっちまうから余分にダメージを食らってしまう。
クソッ、せめて耳栓してこいよバカヤロウ。
「飛段を…返せ…」
そう言ってヨルはベルのオッサンの右足首をつかんだ。
オレの心配するくらいなら自分の心配しやがれ。
「はぁ? 聞こえないな」
右手を踏みつけられると同時に、ゴキッ、と嫌な音が聞こえた。
「うぐぅ!!」
指の骨を折られたようだ。
「バケモノの分際で気安く触れるな、バケモノが! バケモノが! バケモノが!!」
背中を踏みつけられ、腹を何度も蹴られる。
「汚ねえ足で踏んでんじゃねーぞコラァ!!」
オレが叫ぶとベルのオッサンの足が止まった。
それから顔だけこっちに向けられる。
「黙ってろと言っただろ。生きたまま頭部を解剖されたいか」
「てめーは…」
「ああ?」
「てめーは…、飛段を…どうする気だ…?」
それを聞いたベルのオッサンは嗜虐的な笑みを浮かべた。
「決まっているだろう。不死の体だぞ。どれだけ貴重かわかってないのか? 不死の解剖。不死の実験。不死の解明。不死の薬。不死の兵隊。不死のエトセトラ。研究でやるべきことは山ほどある。私達はそれらを国に売って金を手にする。現に、他の研究で今までの実験体達を犠牲に金を手にしている」
イカレてやがる。
ヨルが歯ぎしりするのが見えた。
ヨルがそういうのを誰よりも嫌悪していることをオレも角都も知っている。
ベルのオッサンはヨルに指さす。
「貴様もその一員に迎えてやろう。時折見せる珍しい目の色も、先程の双剣も、探求心をそそられるものだ。その前に、不死身君のパーツを返してもらわなければな」
「ぐ!」
ベルのオッサンは再びヨルの背中を踏みつけた。
それでもヨルは息苦しそうに蔑むように言う。
「お断り…だ。てめーの…くだらねえ研究のために使われるほど…、オレ達は安い存在じゃねえ」
ベルのオッサンは「ハッ」と笑い、ヨルの腹を蹴りあげる。
「存在だと? いつからバケモノが存在していい世界になった? キミ達は存在してはならない! 誰もが望むことだ! それを我々研究者たちがわざわざ拾って世の中の活用に使ってやるんだ!」
勝手なことを抜かすな。
体があったら殴りかかってるところだ。
ブチ殺してるところだ。
儀式だけで済まさねーところだ。
「!」
ヨルの顔を見たオレは体があったら仰け反っていただろう。
ヨルはわかりやすいほど青筋を立たせ(たぶんブチ切れてる)、朱色の瞳を見せ、口からは牙を覗かせていた。
「存在してはならない? 誰もが望む? いるわけねーだろそんなモン!!」
左手で白衣の裾をつかんで思いっきり手前に引っ張り、右手でコブシを構えた。
「あ」と思った時には、ゴッ、とベルのオッサンの右頬に強烈な鉄拳が叩きこまれた。
腕が繋がってたらグッジョブと親指を立てるのに。
あれ、そういえばあいつ指折れてなかったっけ。
「てめーこそ、好き勝手に決め付けてんじゃねえ!!」
横に倒れたベルのオッサンにすかさずヨルはまたがり、その顔を両手のコブシを交互に振りながら殴りつけていく。
オッサンは持っているベルを何度も鳴らしたが、ヨルの手は鼓膜から血が流れようが止まらない。
普通の人間なら人格壊してるところだろうが、ヨルから聞いた話じゃ、朱族の脳は丈夫にできていて人格が崩壊することはないらしい。
「オレは、そいつの、存在に、感謝、してるし、存在、し続ける、ことを、望んでる!」
ヤバい。
抱きしめてやりたくなるほど嬉しいこと言ってる。
一度、ヨルの手が止まる。
「恩着せがましいてめーの言い分並べるなぁ!!」
再度強烈な一撃。
しかもまた指折れた方。
顔を腫らしたベルのオッサンは白目を剥いて完全にノビた。
それを見届けたヨルは手を止めて天井を仰ぎ、ツゥ、と出た鼻血を手の甲で拭う。
「ヨル!」
オレが声をかけると、しばらくしてヨルは目をオレに向けて口元に達成感の笑みを浮かべた。
「そいつの血、飲んで回復しろよ」
「……?」
聞こえてねえのか、首を傾げた。
オレは「血!」と口の形で伝える。
「…いらねえよ、クソヤロウの血なんざ…」
そう言って仰向けに倒れた。
ダメージがよっぽどデカかったようだ。
「おい!!」
マズい。
ここで増援が来たら救いようがない。
そう思ったら左側の扉が開かれた。
体繋がってねえけど口から心臓が出かける。
「もう終わったのか」
現れたのは角都だった。
「びっくりさせんなァ!! そしてもっと早く来やがれェ!!」
「体をすべて集めてやってんだ。感謝しろ」
角都はヨルに近づき、ヨルと自分の懐から巻物を取り出して開け、口寄せする。
出現したのはオレの体だった。
しかも全部そろってる。
着替えも大鎌も杭も。
「そろったな。念入りに捜したようだ」
角都はオレをガラスの容器から取り出し、地怨虞で体を一部一部繋げてくれる。
「なあ、ヨルの奴、死んでねーよな?」
「貴様が言うな。意識を失っているだけだ。すぐに目を覚ますはずだ。貴様こそ、妙な薬を打たれたり埋め込まれたりしていないだろうな?」
「あ、ああ」
「そうか。それならいい」
もしかして角都なりに心配してくれたのだろうか。
いつもより優しい気がする。
「角都ゥ、抱きしめていいかァ?」
「……あとにしろ」
ハグOK!?
コラ、顔を赤らめるな、オレ。
「さっさとここを出るぞ。薬品を使った時限式の爆薬を設置した。建物ごとデータを燃やす」
オレの体を繋ぎ終えた角都はそう言ってヨルを肩に担いだ。
女はお姫様だっこがお決まりなんだぜ。
まあ言わないけど。
「あ、ちょっと待った。爆発ってどれくらいかかる?」
「あと10分くらいだ」
「そっか」
オレは杭を伸ばし、ノビているベルのオッサンの腹を踏みつけてムリヤリ叩き起こし、杭の先端でそいつの頬を引っ掻いた。
それに付着した血を舐めて取り込み、今度はてのひらを杭で貫いて血を床に落とし、ジャシン様のシンボルを描く。
「おい」
角都が声をかけたがオレは止まる気はない。
「10分あれば余裕余裕。5分は拷問確実だけどなァ」
まだオレ個人の復讐は済んじゃいない。
.
頭がぼんやりとする。
あれから何時間眠ったのか。
つうか、今何時なんだろうか。
せっかくいい夢見てたってのに。
あれ、なんの夢だったっけ。
食べ物とか出てきたから食欲の夢でも見てたか。
そういや腹減ったな。
胴体繋がってねえけど。
それにしてもやっぱり体のどこかに穴が空いたような気分だ。
春が近くなると大体こんなブルーな気分になる。
梅雨でもねーってのに。
ガラス越しに見える部屋には誰もいないようだ。
オレが寝てる間にどっか行っちまったのか。
後ろも向きたかったけど振り返れない。
改めて見ると無機質な部屋だな。
病院みたいだ。
窓はひとつしかないし、そこからしか光が差しこんでないようだ。
無駄に広いし、右側の壁と左側の壁には扉があり、オレがのってる超長いデスクには資料やら薬品やら実験に使う器材やらが載せられている。
「もうちょっと寝てようかなァ…」
見てるだけで憂鬱になる。
その時、左側の扉が開かれた。
そっちに目を向けると見覚えありまくりの影を見た。
ヨルだ。
両手に夢魔を持ち、部屋に入ってきた。
何人か殺したあとなのか目の色が朱色になっている。
おまけに目付きも冷たく鋭い。
「ヨル!」
オレが声をかけるとヨルははっとした表情でオレを見た。
それからぱっと顔を明るくさせる。
おいおい、さっきのクールさはどこに行った。
「飛段!」
そのままオレに駆け寄ろうとしたヨルが突然倒れた。
「ヨル!?」
ヨルは夢魔を落とし、耳を押さえたまま膝をついている。
オレは思い当たる。
あのベルの音色を。
床に落ちた夢魔が液化した時だ。
右側の扉がゆっくりと開かれ、ベルのオッサンが手にベルを持って部屋に入ってきた。
口元には嫌な笑みが浮かんでいる。
「好き勝手してくれたな。廊下が血まみれだ。それにしてもよく追いかけてきたものだな。完全に撒いたつもりだったぞ。なにかの術か? 少しキミにも興味が湧いてきたよ」
「て…め…」
ヨルはそいつを見上げ、睨みつける。
ベルのオッサンはフンと鼻で笑い、またベルを、リーン、と鳴らした。
「ぅああああ!!」
ヨルは悲鳴を上げる。
オレに影響がないってことは、この容器が耐性を持ってるからか。
ヨルはうつ伏せに倒れた。
「ヨル!!」
角都はまだ来ないのか。
もしかして来てないとか。
「ぐぅ…っ」
ベルのオッサンはヨルに近づき、背中を踏みつけた。
「ここまで効き目が出たのはキミが初めてだ。このベルは元々人間にとって不快な音波で相手の動きを封じるだけのものに過ぎない。だが、キミにとっては相性が悪い代物のようだ」
ヨルの耳が良すぎるんだ。
聞きとれない音まで本人の意思関係なく聞きとっちまうから余分にダメージを食らってしまう。
クソッ、せめて耳栓してこいよバカヤロウ。
「飛段を…返せ…」
そう言ってヨルはベルのオッサンの右足首をつかんだ。
オレの心配するくらいなら自分の心配しやがれ。
「はぁ? 聞こえないな」
右手を踏みつけられると同時に、ゴキッ、と嫌な音が聞こえた。
「うぐぅ!!」
指の骨を折られたようだ。
「バケモノの分際で気安く触れるな、バケモノが! バケモノが! バケモノが!!」
背中を踏みつけられ、腹を何度も蹴られる。
「汚ねえ足で踏んでんじゃねーぞコラァ!!」
オレが叫ぶとベルのオッサンの足が止まった。
それから顔だけこっちに向けられる。
「黙ってろと言っただろ。生きたまま頭部を解剖されたいか」
「てめーは…」
「ああ?」
「てめーは…、飛段を…どうする気だ…?」
それを聞いたベルのオッサンは嗜虐的な笑みを浮かべた。
「決まっているだろう。不死の体だぞ。どれだけ貴重かわかってないのか? 不死の解剖。不死の実験。不死の解明。不死の薬。不死の兵隊。不死のエトセトラ。研究でやるべきことは山ほどある。私達はそれらを国に売って金を手にする。現に、他の研究で今までの実験体達を犠牲に金を手にしている」
イカレてやがる。
ヨルが歯ぎしりするのが見えた。
ヨルがそういうのを誰よりも嫌悪していることをオレも角都も知っている。
ベルのオッサンはヨルに指さす。
「貴様もその一員に迎えてやろう。時折見せる珍しい目の色も、先程の双剣も、探求心をそそられるものだ。その前に、不死身君のパーツを返してもらわなければな」
「ぐ!」
ベルのオッサンは再びヨルの背中を踏みつけた。
それでもヨルは息苦しそうに蔑むように言う。
「お断り…だ。てめーの…くだらねえ研究のために使われるほど…、オレ達は安い存在じゃねえ」
ベルのオッサンは「ハッ」と笑い、ヨルの腹を蹴りあげる。
「存在だと? いつからバケモノが存在していい世界になった? キミ達は存在してはならない! 誰もが望むことだ! それを我々研究者たちがわざわざ拾って世の中の活用に使ってやるんだ!」
勝手なことを抜かすな。
体があったら殴りかかってるところだ。
ブチ殺してるところだ。
儀式だけで済まさねーところだ。
「!」
ヨルの顔を見たオレは体があったら仰け反っていただろう。
ヨルはわかりやすいほど青筋を立たせ(たぶんブチ切れてる)、朱色の瞳を見せ、口からは牙を覗かせていた。
「存在してはならない? 誰もが望む? いるわけねーだろそんなモン!!」
左手で白衣の裾をつかんで思いっきり手前に引っ張り、右手でコブシを構えた。
「あ」と思った時には、ゴッ、とベルのオッサンの右頬に強烈な鉄拳が叩きこまれた。
腕が繋がってたらグッジョブと親指を立てるのに。
あれ、そういえばあいつ指折れてなかったっけ。
「てめーこそ、好き勝手に決め付けてんじゃねえ!!」
横に倒れたベルのオッサンにすかさずヨルはまたがり、その顔を両手のコブシを交互に振りながら殴りつけていく。
オッサンは持っているベルを何度も鳴らしたが、ヨルの手は鼓膜から血が流れようが止まらない。
普通の人間なら人格壊してるところだろうが、ヨルから聞いた話じゃ、朱族の脳は丈夫にできていて人格が崩壊することはないらしい。
「オレは、そいつの、存在に、感謝、してるし、存在、し続ける、ことを、望んでる!」
ヤバい。
抱きしめてやりたくなるほど嬉しいこと言ってる。
一度、ヨルの手が止まる。
「恩着せがましいてめーの言い分並べるなぁ!!」
再度強烈な一撃。
しかもまた指折れた方。
顔を腫らしたベルのオッサンは白目を剥いて完全にノビた。
それを見届けたヨルは手を止めて天井を仰ぎ、ツゥ、と出た鼻血を手の甲で拭う。
「ヨル!」
オレが声をかけると、しばらくしてヨルは目をオレに向けて口元に達成感の笑みを浮かべた。
「そいつの血、飲んで回復しろよ」
「……?」
聞こえてねえのか、首を傾げた。
オレは「血!」と口の形で伝える。
「…いらねえよ、クソヤロウの血なんざ…」
そう言って仰向けに倒れた。
ダメージがよっぽどデカかったようだ。
「おい!!」
マズい。
ここで増援が来たら救いようがない。
そう思ったら左側の扉が開かれた。
体繋がってねえけど口から心臓が出かける。
「もう終わったのか」
現れたのは角都だった。
「びっくりさせんなァ!! そしてもっと早く来やがれェ!!」
「体をすべて集めてやってんだ。感謝しろ」
角都はヨルに近づき、ヨルと自分の懐から巻物を取り出して開け、口寄せする。
出現したのはオレの体だった。
しかも全部そろってる。
着替えも大鎌も杭も。
「そろったな。念入りに捜したようだ」
角都はオレをガラスの容器から取り出し、地怨虞で体を一部一部繋げてくれる。
「なあ、ヨルの奴、死んでねーよな?」
「貴様が言うな。意識を失っているだけだ。すぐに目を覚ますはずだ。貴様こそ、妙な薬を打たれたり埋め込まれたりしていないだろうな?」
「あ、ああ」
「そうか。それならいい」
もしかして角都なりに心配してくれたのだろうか。
いつもより優しい気がする。
「角都ゥ、抱きしめていいかァ?」
「……あとにしろ」
ハグOK!?
コラ、顔を赤らめるな、オレ。
「さっさとここを出るぞ。薬品を使った時限式の爆薬を設置した。建物ごとデータを燃やす」
オレの体を繋ぎ終えた角都はそう言ってヨルを肩に担いだ。
女はお姫様だっこがお決まりなんだぜ。
まあ言わないけど。
「あ、ちょっと待った。爆発ってどれくらいかかる?」
「あと10分くらいだ」
「そっか」
オレは杭を伸ばし、ノビているベルのオッサンの腹を踏みつけてムリヤリ叩き起こし、杭の先端でそいつの頬を引っ掻いた。
それに付着した血を舐めて取り込み、今度はてのひらを杭で貫いて血を床に落とし、ジャシン様のシンボルを描く。
「おい」
角都が声をかけたがオレは止まる気はない。
「10分あれば余裕余裕。5分は拷問確実だけどなァ」
まだオレ個人の復讐は済んじゃいない。
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