罪と祝福の日
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*角都
なんとも悪趣味な光景だ。
地下は牢獄の檻が使われ、実験体どもが放りこまれていた。
人間も動物、どれも異形の姿をしている。
体には鉄を埋め込まれたり他人の体の一部を繋ぎ合わせられている者もいた。
そしてどれも死んだ目をしている。
胸糞が悪い。
オレの存在に気付いた檻の中の1人が檻の柵に近寄り、言葉にならない言葉を発しながらオレに手を伸ばした。
「あー、ぅー」
「……………」
まだ10も満たないガキだ。
片方の顔だけ老人のようにただれ、髪も白い。いつからここにいる。
生まれた時に母親に売られでもしたか。
なら、自分の生まれた日を知りもしないだろう。
「うー」
ガキはオレの服の裾をつかむと汚れた顔で笑みを浮かべた。
この状況で笑うか。
そう言えば、こういう場所に閉じ込められていた過去を持つ煩わしい2人も、今ではこのガキ以上に笑っているな。
『オレだったら嬉しいのに』
ヨルは誕生日を持っていない。
だからどんな日でも己の存在を祝ってくれると尚更嬉しいものなのだろう。
馬鹿が。
必要性がないと言ったオレの言葉をよく考えてみろ。
毎日煩わしいほど祭りのように騒ぎたてる馬鹿共が。
その時、耳に当てたイヤホンから雑音が鳴った。
“あーあー、角都、聞こえるか?”
ガキはまだオレの裾を放さない。
オレは舌を打ち、「なんだ?」と苛立ちを込めて返事を返した。
“なに苛立ってんだよ。飛段の体は見つかったのか?”
「まだだ。なんだ、早速喚く頭でも見つけたか」
するとヨルは言いづらそうに口を濁す。
“いや…、頭部じゃねーんだけどさ…”
「?」
“尻を発見したんだけど、どう持てばいいと思う…?”
困り果てた声だった。
もうオレだけ帰っていいか。
「なんのために巻物を渡したと思っている。その中に収納すればいいだけのことだ」
“あ! そっか! さすが角都、頭い…”
ブツッとオレから無線を切ってやった。
それから裾をずっとつかんでいたガキの手を払う。
「ぅー」
「くだらん。……貴様らもそういう馬鹿に出会って経験してみるか? 少しは人間らしい感情を思い出すかもしれんぞ」
この日をくだらない日にするのも悪くはないだろう。
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なんとも悪趣味な光景だ。
地下は牢獄の檻が使われ、実験体どもが放りこまれていた。
人間も動物、どれも異形の姿をしている。
体には鉄を埋め込まれたり他人の体の一部を繋ぎ合わせられている者もいた。
そしてどれも死んだ目をしている。
胸糞が悪い。
オレの存在に気付いた檻の中の1人が檻の柵に近寄り、言葉にならない言葉を発しながらオレに手を伸ばした。
「あー、ぅー」
「……………」
まだ10も満たないガキだ。
片方の顔だけ老人のようにただれ、髪も白い。いつからここにいる。
生まれた時に母親に売られでもしたか。
なら、自分の生まれた日を知りもしないだろう。
「うー」
ガキはオレの服の裾をつかむと汚れた顔で笑みを浮かべた。
この状況で笑うか。
そう言えば、こういう場所に閉じ込められていた過去を持つ煩わしい2人も、今ではこのガキ以上に笑っているな。
『オレだったら嬉しいのに』
ヨルは誕生日を持っていない。
だからどんな日でも己の存在を祝ってくれると尚更嬉しいものなのだろう。
馬鹿が。
必要性がないと言ったオレの言葉をよく考えてみろ。
毎日煩わしいほど祭りのように騒ぎたてる馬鹿共が。
その時、耳に当てたイヤホンから雑音が鳴った。
“あーあー、角都、聞こえるか?”
ガキはまだオレの裾を放さない。
オレは舌を打ち、「なんだ?」と苛立ちを込めて返事を返した。
“なに苛立ってんだよ。飛段の体は見つかったのか?”
「まだだ。なんだ、早速喚く頭でも見つけたか」
するとヨルは言いづらそうに口を濁す。
“いや…、頭部じゃねーんだけどさ…”
「?」
“尻を発見したんだけど、どう持てばいいと思う…?”
困り果てた声だった。
もうオレだけ帰っていいか。
「なんのために巻物を渡したと思っている。その中に収納すればいいだけのことだ」
“あ! そっか! さすが角都、頭い…”
ブツッとオレから無線を切ってやった。
それから裾をずっとつかんでいたガキの手を払う。
「ぅー」
「くだらん。……貴様らもそういう馬鹿に出会って経験してみるか? 少しは人間らしい感情を思い出すかもしれんぞ」
この日をくだらない日にするのも悪くはないだろう。
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