罪と祝福の日
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*ヨル
飛段が先に眠りについた時だ。
「もうすぐ4月だ」とオレが言いだした時に角都は飛段の誕生日が近いことを口にした。
「誕生日? 飛段の?」
オレは首を傾げる。
それから目の前の焚き火に枯れ木の枝を放り込み、火花が散るのを見て焚き火の先で座っている角都に視線を上げた。
角都は本を読みながら答える。
「ああ。オレも去年の春頃に知った。その日が過ぎたというのに、リーダーがそういうくだらない情報をよこした」
「くだらないって…、そんなことないだろ。誕生日っつったら、そいつが生まれた大事な日じゃねーか。家族、恋人、友人はそれを祝わなきゃダメなんだろ?」
角都が呆れたような露骨なため息をつく。
「…なにで知ったかは知らんが、貴様も世間からくだらない知識をつけられたな。祭りごとが好きな人間が勝手に決めた日であって、別に強制ではない。やる必要はない。第一に、このバカは喜ばん」
「は? なんで? オレだったら嬉しいのに」
生まれた日を他人が祝ってくれるのだから。
角都は本から視線を上げ、オレと目を合わせる。
「貴様だったら、だ。奴の信仰している神がなんの神か思い出してみろ」
「……………」
ジャシン教は死の神であるジャシンを奉っている宗教だ。
普段は「くだらない」って鼻で笑うくせに、と内心で舌を打った。
「まさか、ジャシン教では生まれた日が罪の日だって?」
「貴様がジャシンのフリをして「誕生日を祝福されろ」とでも言えば、馬鹿の気も変わるだろう」
「……わざとオレを怒らせるようなこと言ってんのか?」
オレの額に青筋が立つ。
飛段はオレとの過去を知らない。
本人が眠っているとはいえ、その目の前で冗談でもその話を持ち出されると角都でもその口を黙らせたくなる。
「まあ、好きにしろ。くだらない話題のことで口論をするなら、オレがコブシで黙らせるまでだ」
角都は再び本に視線を落とす。
オレはもうなにも言わずにその場に寝転び、角都に背を向けて寝ようとした。
確かに悔しいが角都の言う通り飛段に誕生日に話は持ち出さない方がいいのかもしれない。
けど、別に「誕生日おめでとう」の言葉をかけなくても、行動で表せばどうだろうか。
よし、そうしよう。
飛段が怪しもうが、角都がうざがろうが知ったことか。
せっかく誕生日ってものを持ってるのだから、祝ってやろうじゃないか。
オレは角都のバイトの時以上にやる気になり、コブシを握りしめて小さく「よし」と呟いた。
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飛段が先に眠りについた時だ。
「もうすぐ4月だ」とオレが言いだした時に角都は飛段の誕生日が近いことを口にした。
「誕生日? 飛段の?」
オレは首を傾げる。
それから目の前の焚き火に枯れ木の枝を放り込み、火花が散るのを見て焚き火の先で座っている角都に視線を上げた。
角都は本を読みながら答える。
「ああ。オレも去年の春頃に知った。その日が過ぎたというのに、リーダーがそういうくだらない情報をよこした」
「くだらないって…、そんなことないだろ。誕生日っつったら、そいつが生まれた大事な日じゃねーか。家族、恋人、友人はそれを祝わなきゃダメなんだろ?」
角都が呆れたような露骨なため息をつく。
「…なにで知ったかは知らんが、貴様も世間からくだらない知識をつけられたな。祭りごとが好きな人間が勝手に決めた日であって、別に強制ではない。やる必要はない。第一に、このバカは喜ばん」
「は? なんで? オレだったら嬉しいのに」
生まれた日を他人が祝ってくれるのだから。
角都は本から視線を上げ、オレと目を合わせる。
「貴様だったら、だ。奴の信仰している神がなんの神か思い出してみろ」
「……………」
ジャシン教は死の神であるジャシンを奉っている宗教だ。
普段は「くだらない」って鼻で笑うくせに、と内心で舌を打った。
「まさか、ジャシン教では生まれた日が罪の日だって?」
「貴様がジャシンのフリをして「誕生日を祝福されろ」とでも言えば、馬鹿の気も変わるだろう」
「……わざとオレを怒らせるようなこと言ってんのか?」
オレの額に青筋が立つ。
飛段はオレとの過去を知らない。
本人が眠っているとはいえ、その目の前で冗談でもその話を持ち出されると角都でもその口を黙らせたくなる。
「まあ、好きにしろ。くだらない話題のことで口論をするなら、オレがコブシで黙らせるまでだ」
角都は再び本に視線を落とす。
オレはもうなにも言わずにその場に寝転び、角都に背を向けて寝ようとした。
確かに悔しいが角都の言う通り飛段に誕生日に話は持ち出さない方がいいのかもしれない。
けど、別に「誕生日おめでとう」の言葉をかけなくても、行動で表せばどうだろうか。
よし、そうしよう。
飛段が怪しもうが、角都がうざがろうが知ったことか。
せっかく誕生日ってものを持ってるのだから、祝ってやろうじゃないか。
オレは角都のバイトの時以上にやる気になり、コブシを握りしめて小さく「よし」と呟いた。
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