悪党共は盃を交わす
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角都は青獅子組のアジトにいた。
青獅子組の組長や部下達に接待をされたあと、部屋を与えられ、今は薄暗い部屋の中、ロウソクの明かりだけを頼りに低い机で帳簿を広げている。
しばらくして、目の前の開け放たれている窓から一匹のコウモリが入っていたことに気付き、帳簿の整理をしていた手を止めて顔を上げ、右手を差しだした。
コウモリは角都の人差し指に留まり、「届けものだ」と言うように、キキッ、と鳴く。
角都がそのコウモリの足にくくりつけられた紙を解くと、コウモリは小さく飛んで角都の右肩に留まった。
「…合流したか」
紙にはヨルの字で飛段と接触したことと、今のところはプラン通りにことが進んでいると書かれていた。
最低でも2日は様子を見る必要があり、変化があればまた連絡することも。
「……………」
角都は新たに小さな紙に返事を書き、右肩に載っているコウモリの足にくくりつけた。
「…行け」
声をかけると、コウモリは再び窓から飛び去った。
それを見届けた角都はふと背後に振り返り、畳まれた飛段とヨルの外套を見た。
いつもならその外套を着た2人が己の背後で口うるさく言い合いをしたり、笑ったりしている。
久しぶりに訪れた静寂がどこか落ち着かなくさせている。
「静かなものだ…」
そう呟き、角都は再び帳簿の整理に取りかかった。
前の己だったら、そんな当たり前なことを口にもしなかっただろう。
*****
「おかえり」
屋敷の上でヨルはコウモリの帰りを迎えた。
右肩に留まったコウモリの足についた角都からの返事を解く。
“馬鹿の面倒は任せた。うまくやれ”
「……ぷっ。心配性だな」
思わず吹き出してしまった。
ヨルと角都がそんなやりとりをしている間も、飛段はいびきをかきながら与えられたひとり部屋で眠っていた。
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