悪党共は盃を交わす
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それはある町で起きた。
雨の降る夜の町では騒ぎとなっていた。
角都と飛段が町の中心で殺し合いをしていたからだ。
騒ぎを聞きつけた野次馬達は遠巻きにそれを眺めていた。
「角都ゥ!!」
額から血を流しながらも、宙へとジャンプした飛段は歯を食いしばって大鎌を振り上げ、角都目掛けて容赦なく振り下ろした。
見上げる角都は右腕を硬化させ、それを受け止め、ギィンッ、と金属音が辺りに響いた。
2人は睨み合ったまま動きを止める。
「…それが貴様の答えか、飛段」
低い声をより一層低くした角都が尋ねる。
飛段は唸るように答えた。
「ああ。当然だ、クソジジイ。オレはてめーの相方であって部下じゃねえんだ。いつまでもオレがへーこらと言うこと聞くと思うなよ、ハゲ」
「……………」
嘲笑を浮かべた飛段に角都はなにも言い返さない。
飛段の前髪はすっかり雨に濡れてすべて下り、額に張り付いていた。
角都の頭巾も外套と同様雨水が染み込んで中の髪も濡れている。
一時の静寂ののち、角都は左手のコブシを振るった。
「!」
反応が遅れた飛段の右頬に角都のコブシが直撃する。
「ぐあっ!」
横に吹っ飛んだ飛段の体は濡れた地面に転がった。
目眩に襲われ、飛段は仰向けに倒れたまま息を荒くさせる。
「ジジイ…!」
角都は飛段の脇に近づき、飛段の顔を冷たい目で見下ろした。
「オレの相棒であった男はここで死んだことにする。どこへなりと行ってしまえ」
飛段は倒れたまま角都を見上げて睨みつけ、大鎌の柄を悔しそうにぎゅっと握りしめた。
「…死んだことにするって…、だから、それをオレに…」
いつものセリフを言おうとすると、それを遮るように角都は前屈みになって飛段の胸倉をつかみ、力強く引っ張って血と雨水の染み込んだ外套を脱がし取り上げた。
飛段の体はその拍子にうつ伏せになる。
「これは返してもらう。2度とオレの前に現れるな」
そう言い捨て、角都は飛段に背を向けて歩きだす。
「角…」
その背を見つめる飛段は名を呼ぼうとしたが、途中でぐっと堪え、歯を噛みしめて顔を伏せた。
遠巻きに眺めていた野次馬達は角都が通る道を開け、騒ぎが終わったとみると関係がないように誰もがそれぞれの家路へと歩きだす。
飛段はコブシを地面に叩きつけたあと、フラフラと起き上がって大鎌を拾い、もうすでに見えなくなった背中に向かって叫ぶ。
「…クソ…! 次会ったら、殺してやらァ!!」
去っていく野次馬達の中には、そんな飛段をじっと見つめる者達もいた。
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