銀の兎を追いかけて
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はっと目を覚ますと、天井が目に入った。
横を見ると、オレの顔を見て驚いている飛段がいる。
「お! 起きたか、ヨル!」
オレはわけがわからないまま上半身を起こした。
いつの間にか、布団で寝かされていたようだ。
とすると、ここは宿か。
窓際には角都が座り、こちらを見ていた。
窓の外は真っ暗で、雪が降っている。
「おまえ、待ち合わせ場所で倒れて冬眠してたんだぜェ」
なんかやけに暑いほど温かいと思えば、布団の中には大量の湯たんぽが入れられ、毛布も10枚ほど重ねられていた。
しかも、すぐ傍にはストーブもある。
「…ウサギと帽子屋はどうしたんだろうな…」
「ん?」
「いや…」
オレは気になったことを呟き、くくっと笑った。
それから大きくため息をつき、飛段の肩に自分の腕を組んでうなだれる。
「疲れた…」
「疲れたって、おまえただ寝てただけだろ」
ただで寝てたわけじゃない。
それはあとで説明してやろう。
「悪いな角都、宿とらせちまって…」
「…今日くらいはいいだろ」
角都はそう言って窓の外を見た。
窓の外は、夏でもないのに花火が上がっている。
オレが首を傾げたとき、飛段は言う。
「あ、ヨル、角都、あけおめ!」
「…は?」
「ことよろ!」
「お、おう…?」
時計は0時を過ぎていた。
そうか、昨日は大晦日だったのか。
思い出したオレは、飛段と角都に「あけましておめでとう」と新年のあいさつを交わしたあと、じっくり花火を見ようと窓に近づく。
すると、窓の下に、なにか白いものが駆け抜けた気がした。
「大変大変! ああ、また遅刻だ! また帽子屋に叱られる! 時間がない時間がない! 茶会に遅れてしまう!」
.END