空の巻物
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(ヨル語り)
夕方頃に角都のバイトが終わったのはいいが、ここは町から離れた山奥だ。
今夜はそのまま野宿となった。
オレ達は焚き火を囲み、魚が焼けるのを待っていた。
オレは別に食わなくてもいいが、今日はたくさん釣れたから、どうせ余るだろうと見越して付き合うことにした。
角都はビンゴブックをチェックし、飛段は胡坐をかいて焚き火を見つめ、オレはその場に仰向けに寝転がって夜空を眺めていた。
「3つ目…」
思わず漏らしたその言葉に飛段がこちらに顔を向ける。
「なに数えてんだ?」
口にしたオレが悪い。
無視できず、正直に答えた。
「流れ星」
すると、飛段もオレの隣で仰向けに寝転がる。
「スゲーなァ。3つも見つけたのか」
「オレの里の方が、もっとたくさん見つけられるぞ」
寂しいとこだし、その分夜空をよく見渡せた。
ヒマな時はアジトの民家の屋根で寝転んで1人で意味なく数えてたことがある。
流れ星に願い事すれば願いが叶う、なんて世間の言い伝えは最近知ったばかりだ。
それからオレは流れ星を見つけては願い事をしている。
「そんなに見つけたら願い事叶え放題だな」
飛段にとってこれは異教には入らないようだ。
「飛段なら、なにを願う?」
「当然、ジャシン教を世界に知らしめることだ!」
一応聞いてみたが、まったくの予想通りだ。
星にとっても迷惑な願い事だな。
「角都は?」
オレは顔だけ角都に向けて尋ねた。
角都はビンゴブックから顔を上げずに答える。
「くだらん。星に願って金が降ってくるなら、こんな仕事もやっていないだろう」
いちいちクソ真面目に返してくれるな。
それはオレだってわかってんだよ。
「ハァ、面白みのねージジイだぜ。夢を持てよな」
「そういうおまえも、ロクな夢じゃねーけどな」
そうツッコんだとき、4つ目の流れ星が目の端に映った。
「はい、4つ目」
「あ、オレ見てなかった!」
星の流れは一瞬だ。
その一瞬の願いをのせたそれは、どこへ流れていくのか。
手紙みたいに神様とやらのもとにでも届くのか。
だったら、飛段の願いは受け取ってもらえないだろうな、と苦笑する。
「4つもなに願ったんだよ」
その質問にオレは飛段に顔を向けて笑みを見せる。
「オレはどれも同じ願いだ」
「それ、叶ってんのかァ?」
飛段は夜空を見上げ、目を動かして流れ星を探す。
オレも夜空に顔を向けて答えた。
「ああ、今のところ、ずっと叶ってる」
「今のところ?」
「飛段、願い事は口に出したら叶わねーんだぜ」
「ふーん。…って! オレ願い事おまえに話しちまったじゃねーか!」
慌てる声にオレは「ははっ」と笑った。
「オレの耳でも聞きとれなかったことにしてやるよ」
大体、本人は気付いているのかないのか、飛段の願いは普段口に出してる。
「いーや、絶対聞いただろ! すぐに忘れろ!」
「はいはい、忘れた忘れた」
「バカにしてんだろ! ヨルも願い事話せよ!」
「嫌だ。って、なんだコラ! やめろ!」
いきなり上半身を起こした飛段がオレの頭をつかんで揺すった。
そんなことで記憶がこぼれたらオレの頭自体ヤバいだろうが。
これにたまらずオレは飛段の手をどけようと抵抗する。
「おい、このバカどけるの手伝えよ、角都!」
オレは助けを求めたが、角都はビンゴブックを閉じて口布を外し、いい具合に焼けた魚にかぶりついた。
「おいコラ!」
オレは歯を剥いて怒鳴る。
「あ!」
突然飛段が空を見上げて声を上げ、オレも反射的に上を見上げた。
確かに、5つ目の流れ星が流れた。
「オレも見つけたぜ!」
そう言う飛段の顔は嬉しそうだ。
「…願い事は?」
「!! ……するの忘れた」
がっくりと肩を落とすそいつに、今度は大口を開けて笑ってやった。
「貴様ら、食わんのか?」
角都はもう3本目だ。
オレと飛段は焼けた魚に手を伸ばし、かぶりつく。
「オレ、味には疎いけど、これちょっと焦げてねえ?」
「貴様らが星に夢中になっているからだろう」
「ヨルが願い事言わねーからァ…」
星の数だけ、こいつらと一緒にいられますように。
まあ、こんな赤面ものの恥ずかしい願い、絶対2人には教えてやらねーよ。
「あ、6つ目。…今日はよく流れるな…」
星は聞くだけで喋らないから都合がいい。
.
夕方頃に角都のバイトが終わったのはいいが、ここは町から離れた山奥だ。
今夜はそのまま野宿となった。
オレ達は焚き火を囲み、魚が焼けるのを待っていた。
オレは別に食わなくてもいいが、今日はたくさん釣れたから、どうせ余るだろうと見越して付き合うことにした。
角都はビンゴブックをチェックし、飛段は胡坐をかいて焚き火を見つめ、オレはその場に仰向けに寝転がって夜空を眺めていた。
「3つ目…」
思わず漏らしたその言葉に飛段がこちらに顔を向ける。
「なに数えてんだ?」
口にしたオレが悪い。
無視できず、正直に答えた。
「流れ星」
すると、飛段もオレの隣で仰向けに寝転がる。
「スゲーなァ。3つも見つけたのか」
「オレの里の方が、もっとたくさん見つけられるぞ」
寂しいとこだし、その分夜空をよく見渡せた。
ヒマな時はアジトの民家の屋根で寝転んで1人で意味なく数えてたことがある。
流れ星に願い事すれば願いが叶う、なんて世間の言い伝えは最近知ったばかりだ。
それからオレは流れ星を見つけては願い事をしている。
「そんなに見つけたら願い事叶え放題だな」
飛段にとってこれは異教には入らないようだ。
「飛段なら、なにを願う?」
「当然、ジャシン教を世界に知らしめることだ!」
一応聞いてみたが、まったくの予想通りだ。
星にとっても迷惑な願い事だな。
「角都は?」
オレは顔だけ角都に向けて尋ねた。
角都はビンゴブックから顔を上げずに答える。
「くだらん。星に願って金が降ってくるなら、こんな仕事もやっていないだろう」
いちいちクソ真面目に返してくれるな。
それはオレだってわかってんだよ。
「ハァ、面白みのねージジイだぜ。夢を持てよな」
「そういうおまえも、ロクな夢じゃねーけどな」
そうツッコんだとき、4つ目の流れ星が目の端に映った。
「はい、4つ目」
「あ、オレ見てなかった!」
星の流れは一瞬だ。
その一瞬の願いをのせたそれは、どこへ流れていくのか。
手紙みたいに神様とやらのもとにでも届くのか。
だったら、飛段の願いは受け取ってもらえないだろうな、と苦笑する。
「4つもなに願ったんだよ」
その質問にオレは飛段に顔を向けて笑みを見せる。
「オレはどれも同じ願いだ」
「それ、叶ってんのかァ?」
飛段は夜空を見上げ、目を動かして流れ星を探す。
オレも夜空に顔を向けて答えた。
「ああ、今のところ、ずっと叶ってる」
「今のところ?」
「飛段、願い事は口に出したら叶わねーんだぜ」
「ふーん。…って! オレ願い事おまえに話しちまったじゃねーか!」
慌てる声にオレは「ははっ」と笑った。
「オレの耳でも聞きとれなかったことにしてやるよ」
大体、本人は気付いているのかないのか、飛段の願いは普段口に出してる。
「いーや、絶対聞いただろ! すぐに忘れろ!」
「はいはい、忘れた忘れた」
「バカにしてんだろ! ヨルも願い事話せよ!」
「嫌だ。って、なんだコラ! やめろ!」
いきなり上半身を起こした飛段がオレの頭をつかんで揺すった。
そんなことで記憶がこぼれたらオレの頭自体ヤバいだろうが。
これにたまらずオレは飛段の手をどけようと抵抗する。
「おい、このバカどけるの手伝えよ、角都!」
オレは助けを求めたが、角都はビンゴブックを閉じて口布を外し、いい具合に焼けた魚にかぶりついた。
「おいコラ!」
オレは歯を剥いて怒鳴る。
「あ!」
突然飛段が空を見上げて声を上げ、オレも反射的に上を見上げた。
確かに、5つ目の流れ星が流れた。
「オレも見つけたぜ!」
そう言う飛段の顔は嬉しそうだ。
「…願い事は?」
「!! ……するの忘れた」
がっくりと肩を落とすそいつに、今度は大口を開けて笑ってやった。
「貴様ら、食わんのか?」
角都はもう3本目だ。
オレと飛段は焼けた魚に手を伸ばし、かぶりつく。
「オレ、味には疎いけど、これちょっと焦げてねえ?」
「貴様らが星に夢中になっているからだろう」
「ヨルが願い事言わねーからァ…」
星の数だけ、こいつらと一緒にいられますように。
まあ、こんな赤面ものの恥ずかしい願い、絶対2人には教えてやらねーよ。
「あ、6つ目。…今日はよく流れるな…」
星は聞くだけで喋らないから都合がいい。
.