砂城の呪われた宝石
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翌日、角都は塵の町の出入口で2人が戻ってくるのを待っていた。
砂漠の向こうから、見覚えのある2つの影がこちらに近づいてくる。
そのうちのひとりの手には、アタッシュケースが握られていた。
「ほらよ」
##NAME1##は手に持っていたアタッシュケースを渡す。
受け取った角都は中を確認し、一枚一枚数えていった。
「……確かに、1500万両ある」
「相変わらず早ェな、金数えんの(汗)」
飛段は呆れた顔をして言った。
「……本当に仕留めたのか?」
##NAME1##は角都と約束をしていた。
角都の邪魔をした詫びに、ガフの始末は自分がつけたうえにキチンと換金してくる、と。
訝しんだ角都は一緒に行こうとしたが、飛段が「オレが見張ってる」と名乗りでた。
「角都は疲れてるんだからここにいろ」と2人に言われ、角都は仕方なく町の出入口で待っていることにした。
明らかに怪訝な目をしている角都に、##NAME1##は眉を寄せた。
「疑り深いな、ホント(汗)」
「オレはちゃんと見てたぜェ。ケリつけて、換金してたとこまでな」
角都は飛段の目をじっと見る。
飛段は目を逸らさない。
「……………」
角都はアタッシュケースを見つめる。
##NAME1##と飛段は目を合わせ、ニヤリと笑った。
数時間前のことを思い出す。
*****
塵の町から見えないところで、##NAME1##と飛段は角都に追われていないか確認したあと、カナデとガフと向かい合わせになった。
カナデは心配そうにガフを見上げる。
「あんたの1500万両。角都がどうしても欲しいわけ。じゃないと、オレ達の信用がなくなる」
##NAME1##は目の前のガフに堂々と言った。
信用をなくしては、角都と飛段とは一緒にいられない。
これからも同じようなことがあるかもしれない。
ガフは困った顔で己の後頭部を掻いた。
「だからって、「はいそうですか」ってオレが首を差しだすとでも…」
##NAME1##は瞬時にガフの背後に回り込んだ。
「ガフ!!」
カナデは声を上げた。
ドン!
##NAME1##がその背中に軽い蹴りを入れたとき、
バラバラバラ!
ガフの服とズボンの袖から大量の宝石が出てきた。
それを見た飛段とカナデは茫然とする。
ガフは「あ…」と間の抜けた声を出した。
「あんたが差しだすのは、それだ」
##NAME1##は笑みを浮かべ、宝石を指さして言った。
実は、出会ったときからわかっていた。
宝石を隠していることを。
##NAME1##の耳は誤魔化せない。
「このアマ、殺気がねえと思ったら…(汗)」
ガフは悔しげだ。
飛段とカナデは宝石を拾う。
「スゲー! ガフ、すごすぎ!」
「城から盗んだな、このオッサン(汗)」
飛段は試しに宝石を握って能力を発動させようとした。
だが、なんの反応もない、ただの宝石だ。
「いやぁ、物色してると、ついクセで…(汗)」
ガフは「ははは」と苦笑いする。
##NAME1##はじっとガフの顔を見つめた。
視線に気付いたガフは「あ~…」と唸り、手をヒラヒラとさせる。
「代価だ。オレの首の代わりにもってけ泥棒(汗)」
##NAME1##と飛段はパチーンと手を打った。
「で、これからどうするんだ? カナデの呪いはもう解けたわけだし」
宝石の入った袋を手に、飛段はガフとカナデに尋ねた。
ガフは遠くを見ながら答える。
「しばらく、身を隠すために遠くの地へ行く。頃合いを見たら、また盗賊業でも始めるさ。こいつと一緒にな」
そう言いながら、カナデを見下ろした。
飛段はカナデを見下ろして尋ねる。
「おまえはそれでいいのか?」
「当たり前だろ! オレはガフの相棒だぜ!」
そう答えたカナデに、飛段は笑みを浮かべてその頭に手をのせた。
「今度会う時まで、相棒のサポートができるようになるくらい強くなっとけよ。それから、身長もデカくならねーとなァ」
「おう。デカすぎだろってくらいデカくなっとく! 次会ったら、ジャシン教とやらに入信してやってもいいぜ!」
瞬間、##NAME1##とガフは「え」という顔をした。
「お、マジ?」
飛段は明らかに嬉しそうな顔をしながら懐から杭を取り出す。
「入らせねーぞ!!(汗)」
その時のガフは、「貴様に娘はやらん」と喚く父親のようだった。
それからカナデとガフの2人とは別れた。
「飛段ー! じゃあなー!」
カナデは手を振り、ガフとともに砂漠の果てへと進んでいく。
「うまくやれるか心配だぜ」
その背中を見送る飛段は小さく言った。
##NAME1##は思わず小さく笑う。
「おまえと角都がうまくいってんだ。大丈夫だろ」
「そうだな。……ん? ちょっと待て##NAME1##! オレと角都がって…」
「ほらほら。さっさと換金して角都んとこ行くぞ」
「話逸らすなコラァ!!」
正しくは、「##NAME1##はガフに蹴りを入れて、宝石を換金して1500万両を手に入れた」である。
余った金はその換金所に口止め料としてくれてやった。
角都はふと尋ねる。
「…領収書はもらったのか?」
「「は?」」
##NAME1##と飛段は声を揃えた。
角都は腕を組んで言う。
「換金を済ませたら、必ず領収書がもらえるはずだが?」
そんなこと知るはずもない。
換金所で換金を済ませるのはいつも角都の役目だ。
飛段と##NAME1##は死臭を嫌ってあまり換金所には出入りしない。
「あ…、あー、領収書ねー。ど…、どこにやったかな…(汗)」
飛段は、そう言いだした##NAME1##の肩をつかんで一緒に角都に背を向け、小声で言う。
「おいおい、領収書がなかったら、どちらにしろ角都がキレるぞ(汗)」
普通の買い物でも、領収書をなくしたら角都に殺されるほど怒られたことがある。
##NAME1##も小声で返す。
「わかってるって。おまえ、ひとっぱしりで換金所でニセの領収書つくってもらってこい(汗)」
「ハァ!? そもそもてめーの仕事だろが(怒)」
「だから頼んでるだろ!(怒)」
「頼んでねー!!(怒)」
もはや小声ではない。
かまをかけて2人の反応を見て、すべてを理解した角都はため息をつき、2人の横を通過した。
2人が嘘を言っているのはわかったが、馬鹿なやりとりをしている2人を見ていたら怒る気も失せた。
こんなことにいちいち腹を立てているようでは、2人に振り回されているのはむしろ自分の方ではないかという妙な考えが浮かぶので、これ以上はなにも言わない。
「ないのなら仕方がない。金は手に入った。行くぞ」
「! お、おい、待てよ! おい、角都ゥ(汗)」
「オレ達を置いてくなって(汗)」
飛段に続いて##NAME1##も角都を追いかけた。
「次に狙うは800万両の賞金首だ。気を抜くな、死ぬぞ」
「だからそれをオレに言うかよ!」
「まったく、忙しいもんだぜ。貧血起きそう(汗)」
3人は旅を再開し、砂漠に、すぐに風で消されるであろう3人分の足跡を残し、風の国を去っていった。
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