砂城の呪われた宝石
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角都はアルトの音速の剣に苦戦していた。
チャクラを半減されているせいで、体全体を硬化することもできない。
体中にいくつもの切り傷がつくられる。
「ボクの姿が見えないだろう? まあ、見えたとしても、殺すこともムリだろうけど」
ガフから角都へ、角都からガフへと切りかかる。
子供が遊んでいるようだ。
ガフは傷つきながらポケットから巻物を取り出し、印を結び、手につけられた傷から流れる血で術を発動させる。
「口寄せ・針百足!!」
出現したのは、鋭利な針付きが連なった網目の囲いだった。
地獄の針山を思い起こされる。
「ボクの行動範囲を狭くするつもりか」
一瞬止まったアルトを角都は見逃さず。
地怨虞で伸ばした右手でその首をつかみ、囲いに向かって叩きつける。
ガシャアン!!
アルトの体を、針百足の針が串刺しにする。
頭を貫かれても、アルトは笑みを絶やさない。
「連携プレーでくるとは…。先にボクを片付ける気か」
アルトの姿がふっと消える。
「永遠に終わることはないのに…!」
ズバン!!
「ぐ…!!」
真っ正面から角都は左斜めに切られた。
そのまま、その場に崩れるように倒れる。
「おい!!」
ガフは思わず角都に声をかける。
「おまえの首を狙う賞金首を心配するとは…。呪われたガキを拾ったり、そのガキを救おうとしたり…、やはりおまえは変わり者だ」
音速の剣がガフの額を貫こうとしたとき、
ゴッ!!
アルトは横に吹っ飛んだ。
「誰だかわかるように、原形は留めておきたい」
「あんた…」
先程倒れたはずの角都は、軽傷で済んでいた。
「くくっ、そうか。切られる前に、正面を硬化したのか」
全体の硬化することはできなかったが。
「諦めが悪いにもほどがある」
アルトは刃先を向け、再び切りかかった。
(あの厄介な剣をどうにかしないとな…)
そう判断したガフは出現させていた鎖百足を操った。
手を動かし、鎖百足に指示をする。
勢いよく左腕を振ると、鎖百足はアルトに向かって突っ込んだ。
「!」
アルトは瞬時に移動し、鎖百足の背後に立つ。
「遅い遅い。ボクを捕まえられるとでも?」
それを確認したガフは右手のひらを振り下ろす。
すると、鎖百足は突然床に潜った。
「!?」
驚いたアルトだったが、すぐに口元に笑みを浮かべる。
「地面からボクを捕える気か」
アルトの背後の床が盛り上がった。
アルトはすぐに振り返り、剣を振るう。
「わかりやすいことをする!」
しかし、床から飛び出したのは、鎖百足ではなかった。
「!!」
切り離された、角都の右手だ。
角都の右手首の切り口から地怨虞が飛び出し、アルトの体を縛る。
「な!!」
動きを封じられたその背後の床から鎖百足が飛び出し、アルトの体を二重に縛った。
「ぐ…!!」
まさかの2度目の角都とガフの連携プレーに成す術はない。
ズバン!!
アルトの体は再びバラバラになる。
今度は頭もバラバラに砕かれた。
その拍子に、剣は空中で回転し、壁に突き刺さった。
角都は硬化した右コブシでその剣を叩き割る。
剣の柄に埋め込まれていた宝石は音を立てて床に転がった。
剣と同じく、銀色に輝く宝石だ。
「よし、これでおまえはただの再生能力を持った人間にすぎない」
「ははは」
「!!」
ガフが言うと、アルトの笑い声が聞こえた。
金の首輪はカタカタと動きだし、宝石は妖しい光を放ち、そこからアルトの体が頭部から手先足先まで再生されていく。
なにごともなかったかのような、傷ひとつない体だ。
アルトは銀の剣に埋め込まれていた宝石を拾うと、それを口に入れ、飲み込んだ。
「「!」」
「くくっ」
笑うと同時に、アルトの姿が消えた。
ブシュッ!!
角都は左肩を、ガフは左太ももの一部を食い千切られてしまった。
「ぐあ!?」
「うぐっ!?」
2人はすぐに右手で傷口をおさえる。
アルトは姿を見せない。
「喰われ、消えていく恐怖を教えてやる」
銀色に変色したその輝く瞳は、最早人のものではなかった。
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