砂城の呪われた宝石
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通路に響き渡るのは、5人分の足音と爆音だけだ。
薄暗い通路は赤い明かりに照らされた。
ソフラは何度も悪魔ノ宣告をかけてくる。
指先のピントが合っては終わりだ。
飛段と、カナデを抱えたヨルは、チャクラで壁や天井に飛び移り、うまくかわしていく。
「ちょこまかとウザい奴らね! どうせ最後は追い詰められて殺されるんだから、今のうちに死んどきなさいよ! きゃはは!」
右手の人差し指を向け、天使ノ劫火が発動される。
明らかに、砂上にいた時より威力が倍になっていた。
背丈よりも大きな炎の塊がヨル達に迫る。
ヨルは立ち止まり、飛段に向かってカナデを投げつけた。
「うわ!」
「おっと!」
飛段は両腕で受け止めた。
ヨルは振り返り、両手の夢魔を抱え、炎の塊に向けて回転をくわえて投げ飛ばす。
ゴッ!!
回転つきの夢魔を食らった炎の塊はその場で分散した。
ヨルと飛段は降り注ぐ火の粉を少々浴びてしまう。
「あちィ!」
飛段は頭から被ってしまい、慌てて手で払いながら頭を振った。
「きゃはは! なによ、やればできるじゃない。ごめんねぇ、ナメちゃって。貧乳だから脳みそまで足りないのかと思っちゃった」
ソフラは馬鹿にしたように笑う。
その挑発的な態度と言葉がヨルには気に食わなかった。
「……おい」
ヨルはソフラを見つめたまま、後ろにいる飛段に声をかけた。
「あ?」
「おまえら、先に行ってろ。片付けてからすぐに追いかける」
「おいおい、さっき角都と戦ったってのに…」
「本気のあいつと戦ったわけじゃない。まだ体力はありあまってる。…それに…」
ヨルは不敵な笑みを浮かべ、瞳の色を朱色に変色させた。
「腹も減ってきた」
軽く舌なめずりをする。
ヨルのソフラを見る目は、獲物を見る目に変貌していた。
それを見た飛段は、狙われる相手がかわいそうになる。
「早く来いよ」
「できるだけな」
ヨルがそう言ってから、飛段はヨルに背を向けて走り出した。
「ん~。ここは任せたぜ、ソフラ」
シャフはソフラの横を通過し、ヨルの横を通過しようとする。
その前にヨルは阻止しようとした。
「行かせるかよ!」
右手の夢魔をシャフの顔面目掛けて振るったとき、
「なにしてんの? あんたの相手はあたしでしょ」
はっと振り向くと、左手の人差し指を向けられていた。
ヨルは瞬時に指先から離れる。
的が外れた刻印は、ヨルのすぐ背後にある壁に刻まれた。
ドォン!!
壁は木端微塵に砕かれ、近くの部屋が剥き出しになる。
「く…っ」
ヨルは耳に痛みを感じていた。
至近距離で爆破されたため、耳鳴りが酷い。
爆煙の中でソフラとシャフの音を聞きとろうとするが、耳鳴りのせいでうまく聞きとれなかった。
「あんた、忍でもないんでしょ?」
「!」
振り返ると、ソフラの顔がすぐ目の前にあった。
ゴッ!!
「ぐっ!」
アゴを殴られ、視界が歪んだ。
尻餅をつかないようになんとか踏みとどまる。
「自分が起こした煙幕で相手の位置がわからないなんて、間抜けもいいとこ。ちゃんと訓練してあるわ。煙幕の中であんたの気配、もろバレよ。あんた、まさか耳だけに頼ってるの? きゃはは!」
「きゃはきゃはきゃはきゃは…。耳障りな奴だな」
ヨルは外套を脱ぎ捨て、背中から夢魔を生やす。
「血の夢見せてやる」
それこそまさしく、悪魔の宣告だ。
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