砂城の呪われた宝石
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角都と戦慄は、逆口寄せの術によって古城にある大部屋に移動された。
角都は辺りを見回し、人の気配がまったくないことに気付いた。
「ここに人間はいないのか?」
アルトは通路へと続く扉を開けて答える。
「ああ。大昔に、ここを出て行った。王の自業自得のせいでな」
通路を進みながら、角都は再び、先頭を歩くアルトに尋ねる。
「王の自業自得とはなんだ?」
「興味が湧いてきたか? 王は呪術にどっぷりハマっていた。禁術中の禁術の域にある呪術にさえも触れるほどに…。その術があれば、金も兵器も手に入る」
「…ここに来る前に言っていた、最強の宝というものか」
アルトは肩越しに振り返り、「そうだ」と笑みを浮かべて続ける。
「文字通り、宝石だ。元は人間の」
「…人間だと?」
「最初は罪人で試された。時間差というものがあるが、ほとんどの者はただの石となって先程の砂人形となり、残り数人は美しい輝きを持った能力ある宝石となった。それがこの宝石だ」
アルトは首飾りを、シャフはブレスレッドを、ソフラは指輪を見せつけた。
「愚かな王は、ある日、呪術を失敗してしまう。さらに強力な宝石を作り出そうとしてな。術は暴走し、王だけでなく、城内いる者達が呪いを受けてしまった。地上へ逃れた者達は、その身のまま、ひっそりと遠くの地で暮らすしかなかった」
「そして、おまえ達はその地に足を踏み入れてその宝石を手に入れ、この場所のことを知ったのか」
「お察しの通りだ。廃村にお邪魔したら、見つけた。ほとんどの者が呪いで石や宝石になってたけどな。ボク達が見つけたのはたったの5つだ」
その宝石の力にアルト達は魅かれ、欲が芽生えたのだ。
話していると、通路の奥から砂人形達が古びた剣を片手にこちらに向かってきた。
「久々の侵入者に、さぞや人形達も大喜びね。きゃはは!」
ソフラは無邪気に笑いながら、右手の人差し指を向け、天使ノ劫火を発動させる。
背後からもやってきて振り上げられた剣に、角都は右腕を硬化させて防御しようとした。
「!」
しかし、肘のところまでしか硬化しない。
すぐに判断を変え、上半身をわずかに反らして振り下ろされた剣を避け、右コブシで額を砕いた。
(これは…)
中途半端な、硬化した右腕を見つめる。
*****
飛段とカナデは、別の大部屋に移動された。
「ここがカナデの言ってた古城か。ヨルと角都は…いねーな…」
飛段は見回すが、ヨルと角都の姿はどこにもない。
「おいカナデ…。…カナデ?」
カナデは静かに涙を流していた。
ぎょっとした飛段は「どうした?」と声をかける。
「あ…、いや…」
己の涙に気付いたカナデは慌てて袖で涙を拭った。
「怖いなら、帰るか?」
「怖くねーよ!」
カナデは飛段を睨みつけて率先して部屋の扉を開け、ずんずんと通路を進んでいく。
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