空の巻物
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潮の匂いがし、崖下から波がぶつかる音が聞こえる。
オレはアタッシュケースを片手に呆然と海の向こうを見ていた。
もうすぐで日が沈む。
オレとヨルは今、角都が戻ってくるのを待っていた。
ビンゴブックの更新を済ませるのを忘れ、換金所に戻ったのだ。
角都にも忘れることがあるのか、と若干驚いた。
「飛段」
「!」
思わずビクッとする。
振り返ると、ビンゴブックを片手に角都がそこに立っていた。
「早かったな」
まあ、更新だけだし。
「飛段…」
角都がなにか言おうとしたとき、オレと角都の間からいきなりデカいハエトリ草が現れた。
「ゼツ…」
おそらく、集金に来たのだろう。
「集金にきたよ」
「金ヲ渡セ」
ほらな。
「ああ」
角都はこちらに近づき、オレの隣にあるアタッシュケースを手に取り、ゼツに渡す。
その瞬間、オレの額から冷や汗が流れた。
ゼツは渡されたアタッシュケースをハエトリ草で挟んだ。
ゼツの顔もそれで隠れる。
傍目から見れば、アタッシュケースが食べられたように見える。
「頼んだぞ」
角都がそう言うと、ゼツはそのまま潜っていこうとした。
だが、
「!!」
ハエトリ草が無理やり内側からこじ開けられる。
「タンマタンマ!!」
中から出てきたのは、ヨルだった。
「あれ? ヨル?」
白ゼツもびっくりしている。
ヨルの救出に行こうと走り出したとき、背後から角都に肩を力強くつかまれた。
殺気を感じる。
「金はどうした…?」
迫力のある声にオレは角都に振り返れない。
ゼツから抜け出たヨルの顔も青い。
「……海に…、落とした…」
ふざけて振り回してたら、手からすっぽ抜けて崖下に落ちたのだ。
だから、ヨルにアタッシュケースに変化してもらったのである。
実に頭の悪い逃れ方だ。
「とってこい!!」
そのあと、オレとヨルは崖下に叩き落とされ、本物のアタッシュケースを探すハメになった。
鬼鮫がいたらすぐに見つかるのにぃ。
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