砂城の呪われた宝石
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
オアシスの泉の前で、カナデは飛段に包帯を巻いてもらっていた。
「痛ててっ」
「ガマンしろって。解けるだろが」
飛段の不器用な縛り方にカナデは痛みで顔をしかめた。
飛段は構わずに包帯を巻き、後頭部で包帯の両端同士を結んだ。
「…気持ち悪すぎだろ?」
「あ?」
「だって…、顔にびっしり…。体にだって…」
カナデは気味悪がられているのではないかと思った。
素顔を見た者は、子供なら石を投げつけ、大人なら近寄らない。
「顔じゃねえけど、背中にびっしり文字の刺青ある奴なら知ってる」
「え?」
「あと、体中ツギハギだらけの奴な。そいつらとけっこうつるんでるけどよ、気味悪ィなんて思ったことは一度もねーな。つーかそれ、気にする必要あんのか? オレはそういうのねーからわかんねえけど…」
「……………」
カナデはなんと言い返していいのかと目を泳がせた。
カナデが黙ったので、飛段は話を変える。
「で、なにしにここにきた?」
子供が遊びに来るには危険な場所だ。
「……ガフを捜しに来た」
「ガフ? …ああ、そういや、あいつらも捜してたな」
飛段はシャフと対峙した時のことを思い出した。
戦慄もガフという男を捜している。
「誰なんだ? そいつ」
「オレの相棒だ」
カナデは即答した。
顔をしかめ、口を尖らせて続ける。
「エラそうに「待ってろ」とか言って出てったっきり、5日も帰ってきやがらねえ。ヤバすぎる目に遭ってなきゃいいけど…」
口調から、置いてけぼりにされた怒りを感じるが、その表情は不安が浮かんでいた。
「…勝手な相棒持つと、苦労するよなァ」
飛段はそう言いながら苦笑し、別の質問をぶつける。
「戦慄の奴がおまえを殺そうとしたのは?」
「オレが鍵だからだ。奴らにとって、オレはもう不要なものだ」
「鍵?」
「……………」
どうして鍵なのか。
カナデはそれ以上答えなかった。
「けど、鍵を開ける扉がわからない。最後に来た時より地形がだいぶ変わってるんだ。こっちに出てきても、意味がなかった。ガフに会いたいだけなのに…、オレは…」
思うままにここに来たくちだ。
カナデはどうしようもない状況に泣きそうになる。
「おいおい、泣くなよ」
「泣いてねーよ!」
そう言いながらも、鼻をすする。
「汚っ! 鼻ぐらいかめって」
見兼ねた飛段はポケットや懐を探り、折りたたまれた紙を取り出してカナデに差しだした。
カナデはそれを受け取り、せめて鼻をかもうと広げる。
「……ん?」
それは、角都から預かった地図だった。
一瞬、カナデはフリーズし、はっとして飛段に怒鳴る。
「なんでおまえがコレ持ってんだよ!!」
「あ、そういや、角都から預かってたんだ。いっけね」
「「いっけね」じゃねえ!!」
なにはともあれ、手掛かりを手に入れた2人は、さっそくオアシスを発った。
.