砂城の呪われた宝石
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それは遥か昔の出来事だった。
砂漠の地下にある城の玉座の間で、王は床に描かれた陣の中心に立っていた。
円は黒いローブを身に纏った家来たちが囲んでいる。
王はブツブツと呪文を唱えながら、剣の両刃で己の両手を傷つけ、振り上げる。
同じく、家来たちも己の手を傷つけ、王と同じように振り上げた。
「我を追放した国の者たちよ、我が呪いを受けるがいい!」
恨みの言葉とともに、王と家来たちは血の滴る両手を床に叩きつける。
途端に、陣に描かれた文字は妖しい光を放った。
「…!?」
王は成功の笑みを浮かべていたが、異変を感じ、顔を歪ませた。
砂漠の中にあるはずの城が地震のように揺れている。
そして、妖しく光る陣の文字が爆発的に床から壁へ、壁から通路へと広がった。
それが城全体を覆うのに数分もいらなかった。
城内の者たちも城の揺れになにごとかと騒いでいた。
「うわ!?」
「きゃあ!!」
文字は床や壁だけではなく、城内にいる全ての者達にも刻まれた。
それは王も同じだった。
己の手のひらを見て、絶望のあまりにその場に膝をつき、悔しげにコブシを地面に叩きつける。
「くそ!! 失敗だ!!」
こんなことは今まで一度もなかったというのに。
「お…、お父…様…」
それを扉の隙間から眺めていたのは、ひとりの、小さな少年だった。
彼もまた、体に文字が刻まれていた。
ただし、他の者たちと比べ、右腕と左脚しか刻まれていない。
「これが呪いなのか!! 神よ、あんまりではないか!!」
王の叫びとともに、城の壁が決壊して砂が噴水のように噴き出し、王達を飲み込んだ。
その瞬間、少年の手から、本が滑り落ちた。
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