鬼人も人の子
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目的の賞金首を仕留めて金も手に入れ、不死トリオは山道を歩いていた。
金の入ったアタッシュケースを手にしている角都は、無表情だが、どこか機嫌がいい。
「あと半日歩けばアジトに着く」
夜までには到着するそうだ。
今は昼時、朝からなにも口にしていない飛段は腹を空かせていた。
グゥ、という音がヨルの耳にも角都の耳にも入る。
「角都ゥ、腹減ったァ」
予想通り、空腹を訴えてきた。
腹を鳴らされたまま黙っているよりマシだが。
「忍のクセに、忍耐力ってのがねえな…」
そう呟いたヨルは、先に見えてきたものに目を留めた。
「あれ、飯屋じゃねえ?」
指をさして角都に尋ねる。
「この道は、旅の者がよく通るからな」
あってもおかしくはない。
飯屋を見た飛段は一気に目を輝かせ、角都に顔を向けた。
「角都! 角都! 角都! 角都!☆」
「わかったから黙れ」
そこで昼食を摂ることにしたのだった。
飛段はから揚げ定食、角都は魚定食を食べ、ヨルは満腹になった飛段の血をいただいた。
飯屋から出た不死トリオは、再び暁のアジトを目指して歩き始める。
「値段の割に美味かったな」
ヨルと飛段の前を歩く角都は言った。
飛段は顔をしかめながらヨルに噛まれた首筋を擦りながら歩いている。
「飯食ったあとに血ィ飲むのやめろよなァ」
「栄養摂取仕立ての方が美味いんだ」
「同じもんだろ」
「わかってねーな、飛段。肉だって、新鮮なものを焼いた方が美味いに決まってんだろ」
「完全にテメーの食糧みたいな言い方がヤだな」
2人は自分でもそろそろ小うるさくなってきたと感じ、ここで角都の「うるさい、黙れ」のセリフがくるかと思っていた。
しかし、一向にそのセリフは聞こえてこない。
ほぼ同時に怪訝に思った2人は、ふと前を見た。
だが、角都の姿はいつの間にか消えていた。
「あれ? 角都?」
飛段はキョロキョロと辺りを見回すが、あの大きな姿はチラリとも見えない。
「おい、これ、角都の服じゃねーか?」
ヨルが見つけたのは、道端に落ちている角都の服だった。
「「!?」」
不意に服がズルズルと動きだし、驚いた2人は反射的に構えた。
角都の服は構わずにズルズルズルズルと山道から逸れようとしている。
2人は顔を見合わせ、コクリと同時に頷いたあと、おそるおそる角都の服に近づいてそれを手に取り、引っ張ってみた。
服の中からなにかが地面にコロリと転がり、2人は仰天する。
「「えええええええ!!?」」
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