空の巻物
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※“メモには収まりきらない”続き
あれから数週間が過ぎたある日、オレ達は別の町の本屋にいた。
角都が新しい本を買うからだ。
1週間前に買った文庫本は旅をしながら読み終えたらしい。
オレと飛段なら1カ月読めるか読めないかの分厚さだったというのに。
角都が旅のおともになる本を選ぶ間、オレと飛段は小さな本屋の中を見回った。
飛段は漫画コーナーで立ち読みを始め、オレも立ち読みしようかと思ったとき、ふと、漫画コーナーのすぐ手前にある新刊コーナーである表紙に目が留ってしまう。
黒髪の中年男性と銀髪の青年男性が、向かい合わせで片手に物を、片手に互いの手を握り合っている。
本のタイトルは『いつかオレが殺してやる』
「……………」
激似。
誰にとは頭の中ではわかっているが、名前をあげたくない。
この銀髪が持ってる大鎌と、黒髪が持ってる“手配書”と書かれた本も。
作者名を見ると、やっぱりあの女だ。
何人かの女性客がそれに興味を示し、買っていく。
「……………」
オレは手に取り、パラパラとめくっていく。
主人公の都角と飛騨は賞金稼ぎを営んでいて、最初は仲が悪かったが徐々に愛が芽生える、といった内容だった。
「2人は不死身だ」と冗談のようにポロリと言ったのがしっかりと採用されていた。
都角と飛騨も中途半端な不死身と完全な不死身として登場している。
「!!!」
しかも挿絵つきだった。
大人でも見ていいのかと思うような濃いのが。
「なに読んでんだァ?」
「!!」
すぐ背後から飛段に声をかけられ、大げさすぎるほどビクリと体が震えた。
同時に本を閉じる。
「お子様は読んじゃいけません!!!」
店中に響き渡るくらい、オレの声はデカかったという。
*****
オレはもうその本を手に取らなかった。
内容に目を通してしまえばオレの今見てる世界が変わる気がした。
「角都ゥ、喉渇いたァ」、「黙って歩け」と2人が会話しているだけでも意識してしまいそうになる。
やはりあの女、血の一滴残らず吸いつくして始末しておけばよかったと今になって後悔している。
オレが一般人なら訴えているところだ。
あの本の帯に書かれていた、“シリーズ化決定!”という文字を思い出しただけでも貧血起きそう。
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あれから数週間が過ぎたある日、オレ達は別の町の本屋にいた。
角都が新しい本を買うからだ。
1週間前に買った文庫本は旅をしながら読み終えたらしい。
オレと飛段なら1カ月読めるか読めないかの分厚さだったというのに。
角都が旅のおともになる本を選ぶ間、オレと飛段は小さな本屋の中を見回った。
飛段は漫画コーナーで立ち読みを始め、オレも立ち読みしようかと思ったとき、ふと、漫画コーナーのすぐ手前にある新刊コーナーである表紙に目が留ってしまう。
黒髪の中年男性と銀髪の青年男性が、向かい合わせで片手に物を、片手に互いの手を握り合っている。
本のタイトルは『いつかオレが殺してやる』
「……………」
激似。
誰にとは頭の中ではわかっているが、名前をあげたくない。
この銀髪が持ってる大鎌と、黒髪が持ってる“手配書”と書かれた本も。
作者名を見ると、やっぱりあの女だ。
何人かの女性客がそれに興味を示し、買っていく。
「……………」
オレは手に取り、パラパラとめくっていく。
主人公の都角と飛騨は賞金稼ぎを営んでいて、最初は仲が悪かったが徐々に愛が芽生える、といった内容だった。
「2人は不死身だ」と冗談のようにポロリと言ったのがしっかりと採用されていた。
都角と飛騨も中途半端な不死身と完全な不死身として登場している。
「!!!」
しかも挿絵つきだった。
大人でも見ていいのかと思うような濃いのが。
「なに読んでんだァ?」
「!!」
すぐ背後から飛段に声をかけられ、大げさすぎるほどビクリと体が震えた。
同時に本を閉じる。
「お子様は読んじゃいけません!!!」
店中に響き渡るくらい、オレの声はデカかったという。
*****
オレはもうその本を手に取らなかった。
内容に目を通してしまえばオレの今見てる世界が変わる気がした。
「角都ゥ、喉渇いたァ」、「黙って歩け」と2人が会話しているだけでも意識してしまいそうになる。
やはりあの女、血の一滴残らず吸いつくして始末しておけばよかったと今になって後悔している。
オレが一般人なら訴えているところだ。
あの本の帯に書かれていた、“シリーズ化決定!”という文字を思い出しただけでも貧血起きそう。
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