22:動き出す赤雲
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*ヨル
2年前、とある町に到着して早々、オレは角都と飛段とはぐれてしまった。
集合場所はアジトと聞いていたが、この町のアジトに立ち寄るのは初めてだ。
だが、こんなこともあろうかと、町に入る数十分前に角都に探知蝙蝠をつけておいた。
自分でも言うのもアレだが、迷子防止用だ。
オレは新しい土地に踏み込むとすぐにフラリとどこかに行ってしまうところがある。
ていうか、道も知らないのに先へ先へと進んでしまうからだ。
角都の居場所をつきとめ、首を傾げた。
「…質屋?」
角都の気配は地下からだ。
階段を見つけ、下へとおりていく。
下りきったところには扉があった。
奥からタバコの匂いと、3人分の男達の会話が聞こえる。
本当にこの場所で合ってるのかと疑いながら扉をそっと開けた。
ギッ、と思った以上に大きな音を立ててしまったため、黒服を着た3人の男達が一斉にこちらに振り返った。
オレは遠慮なく中へと入って尋ねる。
「ここって、暁のアジトで合ってんだよな?」
すると、額に横線のある若い男が怒鳴りかかってきた。
「誰だてめー!?」
人の質問に答える気はないらしい。
それでもオレは笑みを見せて敵意がないことを示そうと試みる。
「オレは角都の…」
「なんで角都さんのこと知ってんだコラァ!」
「今角都さんは出払ってんだ、おととい来やがれクソガキィ!」
説明しようとしたのに、今度は小太りな男と頬のこけたタバコを咥えた男が突っかかってきた。
「いや、だから…」
「「「ああん!!?」」」
プチ…ッ
オレの笑みが完全に殺意の笑みへと変貌し、怒りに応えるかのように背中から夢魔が生えた。
「角都の連れだっつってんだろがチンピラがあああああ!!」
「「「キャ―――!!;」」」
「…で?」
「なにしてんだおめーら;」
奥の部屋から角都と飛段が出てきた時には、部屋は嵐が通過したような状態だった。
「見りゃわかるだろ。正しいもてなし受けてんだよ」
オレは唯一壊れていないソファーに座って足を組み、角都の部下3人から改めてもてなしを受けていた。
叩きこんでやったのはもちろんオレだ。
「角都さんの連れだとはいざ知らず;」
「まさか、もうひとりいらっしゃるなんて思いませんよ;」
「ヨル姐さん、喉が渇きませんか?;」
キョウヤという男がこちらに近づき、「なにがいいですか?」と注文を聞く。
「そうだな…」
オレの飲むものは最初から決まっている。
オレは近づいてきたキョウヤの首根っこをつかんだ。
そして現在、オレ達はまた暁の、正確には角都のアジトに来ていた。
オレは部屋のソファーで仰向けに寝転び、部屋の中にあった読書を読みながらまったりと過ごしていた。
ギンジとキョウヤは帳簿の整理をしている。
角都と飛段が奥の来客室に入ってもう2時間近くが経つ。
なにをしているのかと覗いてみれば、向かい合って椅子に座り、目を瞑って印を結んだまま置物のように動かない。
声をかけても無反応だ。
前にも何回かあった。
角都が言うには、暁の会議らしい。
今回も同じなのだろう。
オレも一応暁なのに、仲間外れにされたような気がして若干腹が立つ。
「……………」
オレはもう一度本から目を外してキョウヤの方を見て、机の上に置いたカラのコップを差しだした。
「キョウヤ、おかわり」
途端に、キョウヤの顔が青くなる。
「ヨル姐さん、勘弁してください;」
「キョウヤが死んじまいます;」
先程も血を死なない程度に分けてもらったばかりだ。
使用済みのコップの底には血の膜がはってる。
「しょうがねーだろ。ヒマなんだし…。それとも、誰かあの2人を叩き起こしてきてくれるのかよ」
今度はギンジの顔が青くなる。
そんなのでよく逃げもせずに角都の部下なんて勤めてるもんだ。
「キョウヤ、血を…;」
「兄貴…;」
我ながら嫌な性格である。
けれど、この苛立ちを鎮めるにはやはり血だ。
人間で言う、酒やタバコと同じだ。
キョウヤが泣きながら少し太めの注射器で血を摂取している。
早く会議終われってんだ…。
膨れっ面で再度本に視線を移すが、もうどこから読んでいたのか忘れてしまっていた。
そもそも、オレはちゃんと文字を読んでいたのだろうか。
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2年前、とある町に到着して早々、オレは角都と飛段とはぐれてしまった。
集合場所はアジトと聞いていたが、この町のアジトに立ち寄るのは初めてだ。
だが、こんなこともあろうかと、町に入る数十分前に角都に探知蝙蝠をつけておいた。
自分でも言うのもアレだが、迷子防止用だ。
オレは新しい土地に踏み込むとすぐにフラリとどこかに行ってしまうところがある。
ていうか、道も知らないのに先へ先へと進んでしまうからだ。
角都の居場所をつきとめ、首を傾げた。
「…質屋?」
角都の気配は地下からだ。
階段を見つけ、下へとおりていく。
下りきったところには扉があった。
奥からタバコの匂いと、3人分の男達の会話が聞こえる。
本当にこの場所で合ってるのかと疑いながら扉をそっと開けた。
ギッ、と思った以上に大きな音を立ててしまったため、黒服を着た3人の男達が一斉にこちらに振り返った。
オレは遠慮なく中へと入って尋ねる。
「ここって、暁のアジトで合ってんだよな?」
すると、額に横線のある若い男が怒鳴りかかってきた。
「誰だてめー!?」
人の質問に答える気はないらしい。
それでもオレは笑みを見せて敵意がないことを示そうと試みる。
「オレは角都の…」
「なんで角都さんのこと知ってんだコラァ!」
「今角都さんは出払ってんだ、おととい来やがれクソガキィ!」
説明しようとしたのに、今度は小太りな男と頬のこけたタバコを咥えた男が突っかかってきた。
「いや、だから…」
「「「ああん!!?」」」
プチ…ッ
オレの笑みが完全に殺意の笑みへと変貌し、怒りに応えるかのように背中から夢魔が生えた。
「角都の連れだっつってんだろがチンピラがあああああ!!」
「「「キャ―――!!;」」」
「…で?」
「なにしてんだおめーら;」
奥の部屋から角都と飛段が出てきた時には、部屋は嵐が通過したような状態だった。
「見りゃわかるだろ。正しいもてなし受けてんだよ」
オレは唯一壊れていないソファーに座って足を組み、角都の部下3人から改めてもてなしを受けていた。
叩きこんでやったのはもちろんオレだ。
「角都さんの連れだとはいざ知らず;」
「まさか、もうひとりいらっしゃるなんて思いませんよ;」
「ヨル姐さん、喉が渇きませんか?;」
キョウヤという男がこちらに近づき、「なにがいいですか?」と注文を聞く。
「そうだな…」
オレの飲むものは最初から決まっている。
オレは近づいてきたキョウヤの首根っこをつかんだ。
そして現在、オレ達はまた暁の、正確には角都のアジトに来ていた。
オレは部屋のソファーで仰向けに寝転び、部屋の中にあった読書を読みながらまったりと過ごしていた。
ギンジとキョウヤは帳簿の整理をしている。
角都と飛段が奥の来客室に入ってもう2時間近くが経つ。
なにをしているのかと覗いてみれば、向かい合って椅子に座り、目を瞑って印を結んだまま置物のように動かない。
声をかけても無反応だ。
前にも何回かあった。
角都が言うには、暁の会議らしい。
今回も同じなのだろう。
オレも一応暁なのに、仲間外れにされたような気がして若干腹が立つ。
「……………」
オレはもう一度本から目を外してキョウヤの方を見て、机の上に置いたカラのコップを差しだした。
「キョウヤ、おかわり」
途端に、キョウヤの顔が青くなる。
「ヨル姐さん、勘弁してください;」
「キョウヤが死んじまいます;」
先程も血を死なない程度に分けてもらったばかりだ。
使用済みのコップの底には血の膜がはってる。
「しょうがねーだろ。ヒマなんだし…。それとも、誰かあの2人を叩き起こしてきてくれるのかよ」
今度はギンジの顔が青くなる。
そんなのでよく逃げもせずに角都の部下なんて勤めてるもんだ。
「キョウヤ、血を…;」
「兄貴…;」
我ながら嫌な性格である。
けれど、この苛立ちを鎮めるにはやはり血だ。
人間で言う、酒やタバコと同じだ。
キョウヤが泣きながら少し太めの注射器で血を摂取している。
早く会議終われってんだ…。
膨れっ面で再度本に視線を移すが、もうどこから読んでいたのか忘れてしまっていた。
そもそも、オレはちゃんと文字を読んでいたのだろうか。
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