17:己の朱に染まり
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*ヨル
攻撃を仕掛ければ、角都か飛段のどちらかがオレを殺してくれると思っていた。
なのに、飛段はオレの攻撃を防ぐばかりで殺そうとしない。
角都にオレがフリをしているとバレてしまった。
悪夢のようにはいかない。
「オレは…、おまえらを…」
真っ赤に汚してしまった。
地獄へ導いてしまった。
生きてほしかっただけだというのに。
2人に何度も殺される悪夢を見せ続けられ、夢なのに現実を見せつけられた気がした。
2人はもしかしたら、裏ではオレのことを憎んでいるのかもしれない。
秘密に永遠はないと考えるのを拒絶していたのに、今ではこのザマだ。
オレはヒルに“死にたがり”を与えられた。
ヒルの言う通り、オレは欠陥だらけで脆すぎる。
死ぬことも狂うこともできないこの体で2人に罪を償うのなら、と考えた結果だ。
「ヒルから…、聞いただろ…」
角都は頷く。
「ああ」
飛段は理解していないのか首を傾げているが、このまま旅をしてもいつかはバレる。
いや、角都にバレた時点で終わりだ。
戻れない。
もう旅ができない。
オレの旅がここで終わってしまう。
オレを置いていくのならオレを潰してくれ。
「オレを殺してくれよ、角都…」
苦しませてもいい、手足を引き千切ってもいい。
頼むから、オレに死を与えてくれ。
そして、「逃げた逃げた」と笑ってくれても罵ってくれてもいい。
オレは、闇で醒めたい。
「そんなに死にたいのなら、殺してやる」
「気にしていない」や「許さない」の言葉もなく、角都はオレの頭をつかんだ。
力は入っていない。
ひと思いにやってくれるのだろうか。
オレは目を瞑り、闇の中で死ぬことを望んだ。
「ちょっと待てよ!」
それを止めたのは飛段だった。
「ズリィ!!」
「…へ?」
オレは間の抜けた声を出してしまった。
飛段はオレの頭から角都の手を剥がして角都を睨みつける。
「角都! 先に殺すのはオレの方だろが! ヨルはそのあとだ、あとォ!」
オレはどう言い返していいものかと混乱した。
そういえば、飛段も“死にたがり”だ。
「なに吹き込まれたか知らねえけどさァ、抜け駆けはなしだぜ、ヨル」
「……だそうだ。貴様はこいつのあとに、必ずオレが殺してやる。それまで、死なないようにすることだな」
「……………」
オレに張り付いていたどす黒いものがペリペリと音を立てて剥がれ落ちていくようだった。
ヒル、誰かが傍にいることの愛おしさを、おまえだって知っているはずだろ?
やはりオレは、おまえと止めないといけないようだ。
.To be continued
攻撃を仕掛ければ、角都か飛段のどちらかがオレを殺してくれると思っていた。
なのに、飛段はオレの攻撃を防ぐばかりで殺そうとしない。
角都にオレがフリをしているとバレてしまった。
悪夢のようにはいかない。
「オレは…、おまえらを…」
真っ赤に汚してしまった。
地獄へ導いてしまった。
生きてほしかっただけだというのに。
2人に何度も殺される悪夢を見せ続けられ、夢なのに現実を見せつけられた気がした。
2人はもしかしたら、裏ではオレのことを憎んでいるのかもしれない。
秘密に永遠はないと考えるのを拒絶していたのに、今ではこのザマだ。
オレはヒルに“死にたがり”を与えられた。
ヒルの言う通り、オレは欠陥だらけで脆すぎる。
死ぬことも狂うこともできないこの体で2人に罪を償うのなら、と考えた結果だ。
「ヒルから…、聞いただろ…」
角都は頷く。
「ああ」
飛段は理解していないのか首を傾げているが、このまま旅をしてもいつかはバレる。
いや、角都にバレた時点で終わりだ。
戻れない。
もう旅ができない。
オレの旅がここで終わってしまう。
オレを置いていくのならオレを潰してくれ。
「オレを殺してくれよ、角都…」
苦しませてもいい、手足を引き千切ってもいい。
頼むから、オレに死を与えてくれ。
そして、「逃げた逃げた」と笑ってくれても罵ってくれてもいい。
オレは、闇で醒めたい。
「そんなに死にたいのなら、殺してやる」
「気にしていない」や「許さない」の言葉もなく、角都はオレの頭をつかんだ。
力は入っていない。
ひと思いにやってくれるのだろうか。
オレは目を瞑り、闇の中で死ぬことを望んだ。
「ちょっと待てよ!」
それを止めたのは飛段だった。
「ズリィ!!」
「…へ?」
オレは間の抜けた声を出してしまった。
飛段はオレの頭から角都の手を剥がして角都を睨みつける。
「角都! 先に殺すのはオレの方だろが! ヨルはそのあとだ、あとォ!」
オレはどう言い返していいものかと混乱した。
そういえば、飛段も“死にたがり”だ。
「なに吹き込まれたか知らねえけどさァ、抜け駆けはなしだぜ、ヨル」
「……だそうだ。貴様はこいつのあとに、必ずオレが殺してやる。それまで、死なないようにすることだな」
「……………」
オレに張り付いていたどす黒いものがペリペリと音を立てて剥がれ落ちていくようだった。
ヒル、誰かが傍にいることの愛おしさを、おまえだって知っているはずだろ?
やはりオレは、おまえと止めないといけないようだ。
.To be continued