16:悲鳴という拍手を
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*飛段
袖から飛び出した無数のクナイが追いかけてくる。
オレは地面や壁や天井を走りながら避けていくが、通過したそれはすぐにオレに向かってカーブを描いて戻ってくる。
いきなり直角に曲がったりするから、ココロより手強い。
「しつけーなァ!」
向かい側の壁に飛び移ったが、オレが壁に足をついたところで3本のクナイが外套の裾を壁ごと突き刺した。
次の攻撃がきたので、オレは三連鎌で裾を切り離して地面に着地し、走り出す。
せっかく新調した外套ももうこのザマだ。
また角都にどやされるだろう。
「くっ」
いくつかのクナイがオレの体に突き刺さる。
オレはそれを抜き、ミツバに向かって投げつけたが、ミツバの顔面に当たる寸前でそれは自分から止まり、オレに向かってまた飛んでくる。
「凶器はオレの味方。そう言った」
ムカつくほど淡々としてやがる。
ミツバは懐から2本の巻物を取り出し、印を結んで口寄せする。
口寄せしたのは、巨大な木製の棚だ。
ミツバはその2つの棚の間に立ち、両腕を上げた。
すると、棚から一斉に大量のクナイが飛び出し、ミツバの頭上に集まっていく。
形成されたのは、龍だった。
長い胴体のクナイが鱗のように見える。
「“刃龍”」
唸り声まで聞こえそうなほどの出来だ。
オレより遥かにデカい。
ミツバが両腕を振り下ろすと、刃龍が大口を開けて襲ってきた。
アレに食べられたらミンチ肉になっちまう。
「ちょっ、待て! タンマタンマ!!;」
ゆっくり考える時間も与えてくれない。
「…!」
オレはあることを思い出し、走りながら懐から出したものを、体に突き刺さっていたクナイを抜いてくくりつける。
「喰われろ」
ミツバの声と同時に一気にスピードを速めた刃龍はオレを喰おうと口を開けた。
その瞬間、オレは刃龍の口に向けて先程のクナイを投げ、別のクナイを勢いよく投げる。
ギイン!
刃龍の口の中で遅めに投げたクナイと早めに投げたクナイがぶつかり、火花を散らした。
刃龍がオレを食らう瞬間、
ドン!!!
刃龍の口の中が爆発した。
その頭部がバラバラに半壊する。
「!?」
なにが起きたのかと言いたげにミツバは驚いた顔をする。
「あっぶねー! ギリじゃねえか!;」
ここに来る前に、オレは角都に、ゼツから届けられた外套と一緒に起爆札をもらっていた。
「10枚ほど渡しておく。うまく使え」
「うまく使え」と言った角都の言葉を思い出し、オレは「あ」と気付いた。
角都ごめん。
いきなり全部使っちまったァ。
あと先考えないのはいつものことだ。
我ながらオレらしい。
刃龍が元に戻る前にオレは刃龍の横を通過し、ミツバに突進する。
ミツバはクナイを飛ばしてくるが、オレはそれをすべて三連鎌で弾き、ミツバの首目掛けて三連鎌を横に振った。
刃先がかするだけでもいいのに、三連鎌はミツバに当たる寸前でオレの意に反して動きを止める。
「ぐ…っ」
どんなに力を入れてもビクともしない。
ミツバが右腕を上げると、三連鎌は方向転換し、オレの首目掛けて襲いかかる。
「!」
反射的に屈み、懐から伸縮式の杭を伸ばし、ミツバに投げつける。
「無駄」
ミツバの額に突き刺さる前に杭はピタリと動きを止め、宙で一回転してこちらに戻ってきた。
ドス!
「っ!」
杭がオレの腹を貫通する。
「このクソヤローがァ!!」
落ちていた石を手に取り、ミツバに投げつける。
ミツバはそれを宙で操るクナイで砕いた。
「やっぱり、おまえ馬鹿」
「…!」
それを見てオレは確信した。
懐に手を突っこんだままミツバに突進する。
ミツバは呆れてため息をついた。
「おまえこそ、馬鹿のひとつ覚え」
ミツバは右手を振るう。
同時にオレも懐のものを取り出して振るった。
「…!?」
ミツバはおそるおそる自分のアゴに触れた。
その手には血が付着している。
「な…に…!?」
ミツバのアゴに傷をつけたのは、リンゴ飴の串だった。
オレはほくそ笑み、それに付着した血を舐める。
「てめーは凶器じゃなくて、金属を操るんだろ? 磁気ってやつ? だから、オレの杭は操れたクセに、石はわざわざクナイで砕いたんだ」
公園の戦いの時だってそうだった。
「すべての凶器を操れる」とか言っておきながら、オレの傍に落ちていた串はピクリとも動かなかった。
串は凶器に入らないのかと思ったが、とっておいた。
それは正解だったようだ。
杭と石を使って相手がどうでるか試し、それは確信に変わった。
「木と石は操れねえんだろ?」
図星を突かれ、ミツバに汗が浮かんでいる。
喉を鳴らす音も聞こえた。
オレの体が白黒に変色する。
「やめろ!!」
ミツバがクナイを投げつける。
オレは避けることはせず、流れ出る血で地面にジャシン様のマークを描き始めた。
焦燥にかられるミツバは阻止しようとクナイを片手にかかってくるが、もう遅い。
「すでにてめーはオレに呪われた…」
傷の分だけ、呪いは強くなる。
「がああああ!!」
陣が完成すると同時に、現在のオレが受けた傷の分がミツバの体に襲いかかった。
「これより儀式を始める」
.
袖から飛び出した無数のクナイが追いかけてくる。
オレは地面や壁や天井を走りながら避けていくが、通過したそれはすぐにオレに向かってカーブを描いて戻ってくる。
いきなり直角に曲がったりするから、ココロより手強い。
「しつけーなァ!」
向かい側の壁に飛び移ったが、オレが壁に足をついたところで3本のクナイが外套の裾を壁ごと突き刺した。
次の攻撃がきたので、オレは三連鎌で裾を切り離して地面に着地し、走り出す。
せっかく新調した外套ももうこのザマだ。
また角都にどやされるだろう。
「くっ」
いくつかのクナイがオレの体に突き刺さる。
オレはそれを抜き、ミツバに向かって投げつけたが、ミツバの顔面に当たる寸前でそれは自分から止まり、オレに向かってまた飛んでくる。
「凶器はオレの味方。そう言った」
ムカつくほど淡々としてやがる。
ミツバは懐から2本の巻物を取り出し、印を結んで口寄せする。
口寄せしたのは、巨大な木製の棚だ。
ミツバはその2つの棚の間に立ち、両腕を上げた。
すると、棚から一斉に大量のクナイが飛び出し、ミツバの頭上に集まっていく。
形成されたのは、龍だった。
長い胴体のクナイが鱗のように見える。
「“刃龍”」
唸り声まで聞こえそうなほどの出来だ。
オレより遥かにデカい。
ミツバが両腕を振り下ろすと、刃龍が大口を開けて襲ってきた。
アレに食べられたらミンチ肉になっちまう。
「ちょっ、待て! タンマタンマ!!;」
ゆっくり考える時間も与えてくれない。
「…!」
オレはあることを思い出し、走りながら懐から出したものを、体に突き刺さっていたクナイを抜いてくくりつける。
「喰われろ」
ミツバの声と同時に一気にスピードを速めた刃龍はオレを喰おうと口を開けた。
その瞬間、オレは刃龍の口に向けて先程のクナイを投げ、別のクナイを勢いよく投げる。
ギイン!
刃龍の口の中で遅めに投げたクナイと早めに投げたクナイがぶつかり、火花を散らした。
刃龍がオレを食らう瞬間、
ドン!!!
刃龍の口の中が爆発した。
その頭部がバラバラに半壊する。
「!?」
なにが起きたのかと言いたげにミツバは驚いた顔をする。
「あっぶねー! ギリじゃねえか!;」
ここに来る前に、オレは角都に、ゼツから届けられた外套と一緒に起爆札をもらっていた。
「10枚ほど渡しておく。うまく使え」
「うまく使え」と言った角都の言葉を思い出し、オレは「あ」と気付いた。
角都ごめん。
いきなり全部使っちまったァ。
あと先考えないのはいつものことだ。
我ながらオレらしい。
刃龍が元に戻る前にオレは刃龍の横を通過し、ミツバに突進する。
ミツバはクナイを飛ばしてくるが、オレはそれをすべて三連鎌で弾き、ミツバの首目掛けて三連鎌を横に振った。
刃先がかするだけでもいいのに、三連鎌はミツバに当たる寸前でオレの意に反して動きを止める。
「ぐ…っ」
どんなに力を入れてもビクともしない。
ミツバが右腕を上げると、三連鎌は方向転換し、オレの首目掛けて襲いかかる。
「!」
反射的に屈み、懐から伸縮式の杭を伸ばし、ミツバに投げつける。
「無駄」
ミツバの額に突き刺さる前に杭はピタリと動きを止め、宙で一回転してこちらに戻ってきた。
ドス!
「っ!」
杭がオレの腹を貫通する。
「このクソヤローがァ!!」
落ちていた石を手に取り、ミツバに投げつける。
ミツバはそれを宙で操るクナイで砕いた。
「やっぱり、おまえ馬鹿」
「…!」
それを見てオレは確信した。
懐に手を突っこんだままミツバに突進する。
ミツバは呆れてため息をついた。
「おまえこそ、馬鹿のひとつ覚え」
ミツバは右手を振るう。
同時にオレも懐のものを取り出して振るった。
「…!?」
ミツバはおそるおそる自分のアゴに触れた。
その手には血が付着している。
「な…に…!?」
ミツバのアゴに傷をつけたのは、リンゴ飴の串だった。
オレはほくそ笑み、それに付着した血を舐める。
「てめーは凶器じゃなくて、金属を操るんだろ? 磁気ってやつ? だから、オレの杭は操れたクセに、石はわざわざクナイで砕いたんだ」
公園の戦いの時だってそうだった。
「すべての凶器を操れる」とか言っておきながら、オレの傍に落ちていた串はピクリとも動かなかった。
串は凶器に入らないのかと思ったが、とっておいた。
それは正解だったようだ。
杭と石を使って相手がどうでるか試し、それは確信に変わった。
「木と石は操れねえんだろ?」
図星を突かれ、ミツバに汗が浮かんでいる。
喉を鳴らす音も聞こえた。
オレの体が白黒に変色する。
「やめろ!!」
ミツバがクナイを投げつける。
オレは避けることはせず、流れ出る血で地面にジャシン様のマークを描き始めた。
焦燥にかられるミツバは阻止しようとクナイを片手にかかってくるが、もう遅い。
「すでにてめーはオレに呪われた…」
傷の分だけ、呪いは強くなる。
「がああああ!!」
陣が完成すると同時に、現在のオレが受けた傷の分がミツバの体に襲いかかった。
「これより儀式を始める」
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