16:悲鳴という拍手を
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*飛段
山から森へと入り、木の枝を飛び移りながら進んでいくうちに、森の緑が不気味なほど濃くなっていく。
ヒルのアジトはこの先だろうか。
赤い蝶はオレ達を案内するように休むことなく飛び続けている。
まだ着かないのだろうか。
いつ到着するのか。
ヨルと月代はやられてないか。
蝶に尋ねても答えるわけがないし、角都が知るわけもない。
苛立ちを覚えたとき、急に蝶が急降下した。
「「!」」
オレと角都は蝶を追いかけ、地面へと飛び降りた。
それから走って蝶を追いかける。
「この先か!?」
オレは思わず声を上げたが、やっぱり蝶は答えてくれなかった。
辺りを見回すが、建物や洞窟のようなアジトらしいものは見つからない。
しばらく茂みを掻きわけながら進むと、突然、泥濘に足をとられた。
「!」
底なし沼なのか、どんどん下へと下がっていく。
そこから出ようとするのを角都が止めた。
「飛段、このまま沈むぞ」
「ハァ!?」
確かに沈んでもオレ達は死なないが地上へ出られるのか。
なんてことを考えているうちに腰のところまで浸かってきた。上を見上げると蝶が飛び回っている。
オレ達が止まったりしたら「早く早く」と急かすようにグルグルと飛び回るのに、今はそれがない。
役目を果たして満足したかのように真上へ向かって真っすぐに飛んでいく。
「角都!」
先に角都が沈んだ。
その次にオレの体も完全に沈む。
しばらく息ができず、闇に包まれていた。
そのあと、いきなり宙に放りだされたような感覚を覚え、尻餅をついた。
「痛ってェ!」
顔をしかめ、尻を擦りながら立ち上がる。
少し待つと目も慣れ始め、そこが薄暗い洞窟だと知った。
けっこう広い。
目の前を見ると、奥へと続いているようだ。
どうやら、あの沼が入口だったようだ。
「角都…」
名前を呼ぶとすぐに返事は返ってきた。
「飛段」
大きな影がこちらに近づいてくる。
「ここにヨルと月代がいるのか?」
「たぶんな。行くぞ、飛段」
「……………」
オレが動き出すのを待っている角都を見て、オレはすぐに気付いた。
「こういう言葉知ってるか?」
「なにがだ?」
目の前の奴が返事を返すと同時に、オレは三連鎌に手をかけてそいつの後ろに回り込んだ。
「馬鹿のひとつ覚え、ってなァ!!」
三連鎌をそいつの首目掛けて横に振るう。
そいつはすぐに前へ飛び、オレから離れた。
三連鎌の大の刃の先端がそいつの外套に引っ掛かって破る。
そいつは変化の術を解き、こちらに振り返った。
ミツバだ。
「なぜわかった?」
「たった一瞬でも離れたら、角都は再び会った直前にオレを殺す」
オレ達にしかできない確認方法だ。
「そうか。だったら、もっと早く殺しにかかればよかった。馬鹿だと思って気抜いてた」
「テメーはそのバカってのに、これから殺されんだぜェ」
ペンダントに口付けし、これから贄を捧げることをジャシン様に約束する。
.
山から森へと入り、木の枝を飛び移りながら進んでいくうちに、森の緑が不気味なほど濃くなっていく。
ヒルのアジトはこの先だろうか。
赤い蝶はオレ達を案内するように休むことなく飛び続けている。
まだ着かないのだろうか。
いつ到着するのか。
ヨルと月代はやられてないか。
蝶に尋ねても答えるわけがないし、角都が知るわけもない。
苛立ちを覚えたとき、急に蝶が急降下した。
「「!」」
オレと角都は蝶を追いかけ、地面へと飛び降りた。
それから走って蝶を追いかける。
「この先か!?」
オレは思わず声を上げたが、やっぱり蝶は答えてくれなかった。
辺りを見回すが、建物や洞窟のようなアジトらしいものは見つからない。
しばらく茂みを掻きわけながら進むと、突然、泥濘に足をとられた。
「!」
底なし沼なのか、どんどん下へと下がっていく。
そこから出ようとするのを角都が止めた。
「飛段、このまま沈むぞ」
「ハァ!?」
確かに沈んでもオレ達は死なないが地上へ出られるのか。
なんてことを考えているうちに腰のところまで浸かってきた。上を見上げると蝶が飛び回っている。
オレ達が止まったりしたら「早く早く」と急かすようにグルグルと飛び回るのに、今はそれがない。
役目を果たして満足したかのように真上へ向かって真っすぐに飛んでいく。
「角都!」
先に角都が沈んだ。
その次にオレの体も完全に沈む。
しばらく息ができず、闇に包まれていた。
そのあと、いきなり宙に放りだされたような感覚を覚え、尻餅をついた。
「痛ってェ!」
顔をしかめ、尻を擦りながら立ち上がる。
少し待つと目も慣れ始め、そこが薄暗い洞窟だと知った。
けっこう広い。
目の前を見ると、奥へと続いているようだ。
どうやら、あの沼が入口だったようだ。
「角都…」
名前を呼ぶとすぐに返事は返ってきた。
「飛段」
大きな影がこちらに近づいてくる。
「ここにヨルと月代がいるのか?」
「たぶんな。行くぞ、飛段」
「……………」
オレが動き出すのを待っている角都を見て、オレはすぐに気付いた。
「こういう言葉知ってるか?」
「なにがだ?」
目の前の奴が返事を返すと同時に、オレは三連鎌に手をかけてそいつの後ろに回り込んだ。
「馬鹿のひとつ覚え、ってなァ!!」
三連鎌をそいつの首目掛けて横に振るう。
そいつはすぐに前へ飛び、オレから離れた。
三連鎌の大の刃の先端がそいつの外套に引っ掛かって破る。
そいつは変化の術を解き、こちらに振り返った。
ミツバだ。
「なぜわかった?」
「たった一瞬でも離れたら、角都は再び会った直前にオレを殺す」
オレ達にしかできない確認方法だ。
「そうか。だったら、もっと早く殺しにかかればよかった。馬鹿だと思って気抜いてた」
「テメーはそのバカってのに、これから殺されんだぜェ」
ペンダントに口付けし、これから贄を捧げることをジャシン様に約束する。
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