14:引き摺り込まれる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
月代の事件から3日が経過した。
ヨル達はとある国の図書館に来ていた。
世界で最も大きな図書館と呼ばれ、それなりの本が揃っていると聞いて来たはいいものの、やはりどこを探しても“朱鬼”や“朱族”のことに関する資料や本は存在しない。
席に座る角都はページをめくり、文字を目で追いながら疑問を浮かべる。
(リーダーはどうやって朱族のことを知った? 暁に入って長いが、未だにリーダーのことは理解できない…)
里のことに関することが書かれた分厚い本の中に鬼隠れの里のことを見つけたが、記述は短く、廃れた里、伝説では鬼が出て人を食らっていたということしか書かれていない。
ふと視線を上げる。
噂の伝説の鬼は、今、角都の向かいの席で、開いた本を読みながら必死に印の練習をしているわけだが。
「……火遁の練習か?」
「おう」
本に書かれた、印の結び方の図を見つめながらヨルは答える。
発動して火事にでもなったらどうする気なのか。
ヨルの火遁の術は、練習を重ねるごとに曖昧なものが形を成してきた。
そろそろ使用できるレベルまで達していることは確かだ。
あとは、形をはっきりしたものに成せばいいだけの話である。
角都が再び本に視線を落とした時、背後の席から成人の男と子供の声が聞こえた。
「“う”」
「“ふ”だ」
「“る”?」
「“ろ”だって」
子供向きの本を使い、飛段が月代に平仮名を教えている。
いつもは教えられる側の飛段が新鮮に見えた。
「“ひ”“だ”“ん”」
「そ。オレの名前」
「“か”“く”“ず”」
「あの怖いオッサンの名前な」
角都は後ろに目があるわけではないが、飛段がこちらに振り返ってこちらに指をさしたのがわかった。
振り返らずに言う。
「飛段、子供に平仮名を教えるくらいなら、貴様は漢字を勉強しろ」
未だに平仮名ばかりを使う始末だ。
奴が書く文字は読みにくい。
痛いところを突かれたとでも言うように飛段は「ぐ…」と唸り、席から勢いよく立ち上がって声を上げた。
「んだよォ!!」
「んだよー」
月代もマネをする。
その2人を見て、図書館中の人間の煩わしそうな視線を感じた。
角都は保護者と思われているのだろう。
「…図書館では静かにしろ」
(ただの好奇心でこちらに来たが、無駄骨だったな。こんな国に立ち寄るべきではなかった)
小さなため息をつき、本を閉じて席を立った。
.