09:不器用な不死
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*##NAME2##
夕方も近づいてきて、たまたま立ち寄った町で角都は宿をとってくれた。
2階建ての宿で、オレ達が宿泊する部屋は2階だ。
窓を開ければ人通りの多い道が見下ろせた。
オレは外套を着たまま畳の上に寝転がる。
「疲れた…」
ここに来る前に賞金首を2人相手にしたが、2人ともそれなりの術が使える忍だったため、仕留めるのに苦労させられた。
戦いの最中に気付いたことなのだが、飛段があまり「儀式だ」「痛みを味わえ」「ゲハハハ」と騒がなかったのが気になる。
騒音に近いはしゃぎ方は鬱陶しいが、常に聞いているせいか逆に寂しくもあった。
チラリと飛段を見ると、飛段は愛用の三連鎌を部屋の隅に立てかけ、襖に背をもたせかけて黙って座っていた。
角都に視線を移すと、低い四角の机に置いたアタッシュケースを開け、札束を一枚一枚数え直している。
今日仕留めた賞金首は2人合わせて600万両だった。
それが安いのか高いのかはオレには理解できない。
「飛段、血ィ飲ませてくれ」
オレは夕飯をねだった。
飛段はこちらをジロリと睨みつける。
「イヤだ」
血を吸われることに慣れたと思っていたから、思わぬ返事に眉をひそめる。
「なぜ?」
「そんな気分じゃねーんだよ。角都に飲ませてもらえ」
「おまえじゃないと致死量飲んじまうから言ってんだよ」
「……………」
今日はいつも以上に反抗的だ。
険悪になるオレ達の空気に角都が割り込む。
「飛段、ここで##NAME2##に騒がれても迷惑だ。死なない貴様の血を飲ませても、貴様が貧血を起こすだけで済まされる」
それが引き金になったのか、飛段の顔が怒りでカッとなった。
勢いよく立ち上がり、角都に向かって怒鳴り声を上げる。
「どうせオレの取りえは死なないこと、ああ、それだけだ!!「騒がれても迷惑」だァ? ##NAME2##がいざって時に使い物にならなくなるのが困るだけだろが!!」
「お…、おい…」
外まで聞こえるくらいの怒鳴り声にオレは困惑した。
オレと飛段の時より空気が悪くなる。
金を数えていた角都の手が止まり、飛段に顔を向けた。
「なにを言っている?」
「##NAME2##ばっかかまいやがって…。確かにオレは##NAME2##より弱ェし、戦闘経験も少ねえし、複数向きじゃねえし、ノロマだし、忍術もちゃんと使えねえし…、テメーの嫌いなトラブル起こしてばっかだもんなァ!」
自虐的になっている飛段を止めようと手を伸ばしたが、すぐにそれは払われた。
オレを睨み、そのあと角都を睨みながら言い放つ。
「はっきり言えよ、角都! ##NAME2##の方が相方にふさわしいって!! オレなんか邪魔だって言えよォ!!」
「やめろ飛段!」
おそらく、溜めこんでいたのは昨夜からなのだろう。
飛段がだんまりだった理由がこれだ。
「黙れ飛段」
角都の目付きが鋭くなる。
それを見た飛段はせせら笑った。
「へへっ、図星だろ角都。悪かったなァ、邪魔してよ。やっぱジジイでもヤローだなァ」
「黙れと言っている」
「どうせ相方にするなら女がいいよなァ!? オレだってそうだ! 誰がテメーみたいな無愛想なジジイと旅してえって思うかってんだ!!」
プツン、と糸が切れたような音が聞こえると同時に、オレの血の気がさっと引いた。
角都の地怨虞で伸ばされた右手が飛段の胸倉をつかんだ。
「!!」
そのまま、
ポイっ
飛段は2階の窓から捨てられた。
「飛段!;」
窓の外から飛段の「イテッ!!」という声と、「なんだなんだ」と落ちてきた飛段に騒ぐ通行人達の声が聞こえる。
窓から見下ろすのは非常に気がひけたが、飛段の様子を見るためにそっと窺った。
地面に盛大に背中を打ちつけた飛段は痛みで顔をしかめながらヨロヨロと立ち上がり、こちらを睨んだ目でこちらを見上げ、怒鳴り声を上げた。
「角都のバァーカ!! ジャシン様に呪われちまえええええ!!!」
そのあと、通行人を押し退けてどこかへと走り去ってしまう。
「飛段! おい! 戻ってこい! ひだ―――ん!!;」
人目を忘れ、オレは窓から身を乗り出し、遠のいていく飛段に向かって叫んだ。
しかし、飛段はこちらに振り返ることなく行ってしまった。
すでに米粒となっている。
オレは窓から角都に振り返った。
角都は金数えの続きを再開していた。
「角都! いくらなんでもポイはないだろ、ポイは!!;」
飛段も言いすぎだったが、さっきのは誰から見てもあんまりだ。
角都の顔がこちらに振り向く。
「うるさい。さっさと捜してこい」
その言葉が頼みごとに聞こえたのは気のせいだと思いたくない。
「……自分で行けよな」
軽く貧血を覚え、飛段を追うために部屋を出た。
角都の、口より先に手が出るところも知ってるし、叱り方の度が過ぎるところも知ってる。
あと、嫌にプライドが高いところも。
2人とも逆に見えて、メンドクセーとこはソックリだな。
オレはどこに向かっていいのかわからないまま人通りの多い通りを走り抜けた。
通行人共をかき分けたり押しのけたりしながら。
三連鎌を置いてきてしまったことに気付いたが、今更戻れるわけがない。
「クソが…っ!」
角都にイラついてるのか、##NAME2##にイラついてるのかわからない。
今まで使用する術はジャシン様の術だけでいいと思っていたのに、##NAME2##と角都が仲良さげになるにつれて焦ってしまう自分が理解できない。
3人一緒にいても、独りだと思うようになったのはいつからだ!?
まるで置いて行かれたみたいだ。
胸が痛い。
儀式で胸を貫いた時以上の痛みだ。
余裕のない表情で走りながら、ジャシン様のペンダントヘッドを握りしめる。
「オレがおまえの存在を肯定する神になってやる」
不死身の体になる前にジャシン様はそうおっしゃった。
それで十分なはずなのに。
「うお!?」
通りを抜ける手前で通行人の足に引っ掛かってしまい、そのまま前に転びそうになった。
「おっと」
不意に肩をつかまれ、転ばずに済んだ。
「元気がいいのぅ、若いの」
オレの肩をつかんで転ぶのを止めたのは、なんと女だった。
編み笠を被っていて目から下はよく見えないが、スタイルと声と顔の輪郭、鼻と口の形からして美人に入るだろう。
オレを若者扱いしてるが、オレと同じ年ぐらいだと思う。
背も高い方だ。
右袖のない和服を着ていて、腰の長刀が目立った。
「お…、おォ、悪いな…」
女の口元に笑みが浮かんだ。
「おヌシ、いい匂いがするのぅ…」
顔が近づき、驚いたオレは一歩下がった。
「???」
「懐かしい…」
「オレと…どこかで会ったっけ…?」
困惑していると女の背後から聞きなれた声が聞こえる。
「ひだ―――ん!」
「! ヤベ!;」
振り返ってすぐに走り出した。
ふと女のことが気になって途中で顔だけ振り返ったが、女の姿はもうそこにはなかった。
代わりに、連れの女が必死に追いかけてくるのが見え、すぐに前に向き直ってスピードを上げる。
走っている最中、顔の横を真っ赤な蝶が通過した。
町外れに来たのか、一気に人通りが乏しくなった。
やっぱり##NAME2##の方が足が速い。
どんどん追い付いてくる。
「待てよ! 飛段!」
「………っ!」
背中に三連鎌があれば脅かしてやるのに。
「おい!」
「うるせえよ!!」
「……オレが邪魔か?」
「!!」
その弱々しい声に不意に足を止めてしまった。
「ば…っ!!;」
「うげ!!;」
そのせいで、オレの背中に迫っていた##NAME2##と衝突してしまい、地面に転がった。
お互い、息を弾ませながら上半身を起こして道の真ん中に座る。
「……角都が待ってる」
「……待ってねーよ…」
「決め付けるな。捜してこいって言われてんだよ」
「だったら自分で捜しに来いっての!」
「オレに言うな。大体、自分から追い出しといてノコノコ捜しにくる奴だと思うか?」
それは言えてる。
「……………」
オレが黙ってると、##NAME2##はまたあの質問を投げつけてきた。
「オレが邪魔か?」
「…違う…。逆だ…。オレ自身が邪魔な気がして…」
##NAME2##は俯くオレの肩に手を置いた。
「……もしかして、昨夜の角都の「邪魔だ」って言葉、気にしてるのか?」
「……………」
「ネガティブになるな。角都は、おまえが不死身だってことわかってるのに、なんで「どけ」や「邪魔だ」なんて言ったと思う?
言い方は乱暴だけど、ちゃんと連れとして大切に思ってるからこそ、そう投げた言葉じゃないのか?」
「…!」
不死身とわかっているなら、##NAME2##の言う通り、あんなことは言わない。
「「自分だけが」なんて考えるな。オレと角都は、飛段みたいに完全な不死じゃないし、強い敵を一撃で殺す術なんて持ってない…。
年の差なんて関係なく、おまえしかできないことだ。角都もオレも、それを必要としてる」
その言葉を聞いてオレを引っ張っていたものが取れると同時に、焦りが込み上げてきた。
「オレ…、角都に思ってもねえこと…!」
立ち上がった##NAME2##はオレの手を引いて立ち上がらせ、笑みを向ける。
「おまえは先に戻って角都に謝ってこい。2人っきりで話したいだろ?」
「……##NAME2##…」
オレは踵を返し、宿へと急いだ。
.
夕方も近づいてきて、たまたま立ち寄った町で角都は宿をとってくれた。
2階建ての宿で、オレ達が宿泊する部屋は2階だ。
窓を開ければ人通りの多い道が見下ろせた。
オレは外套を着たまま畳の上に寝転がる。
「疲れた…」
ここに来る前に賞金首を2人相手にしたが、2人ともそれなりの術が使える忍だったため、仕留めるのに苦労させられた。
戦いの最中に気付いたことなのだが、飛段があまり「儀式だ」「痛みを味わえ」「ゲハハハ」と騒がなかったのが気になる。
騒音に近いはしゃぎ方は鬱陶しいが、常に聞いているせいか逆に寂しくもあった。
チラリと飛段を見ると、飛段は愛用の三連鎌を部屋の隅に立てかけ、襖に背をもたせかけて黙って座っていた。
角都に視線を移すと、低い四角の机に置いたアタッシュケースを開け、札束を一枚一枚数え直している。
今日仕留めた賞金首は2人合わせて600万両だった。
それが安いのか高いのかはオレには理解できない。
「飛段、血ィ飲ませてくれ」
オレは夕飯をねだった。
飛段はこちらをジロリと睨みつける。
「イヤだ」
血を吸われることに慣れたと思っていたから、思わぬ返事に眉をひそめる。
「なぜ?」
「そんな気分じゃねーんだよ。角都に飲ませてもらえ」
「おまえじゃないと致死量飲んじまうから言ってんだよ」
「……………」
今日はいつも以上に反抗的だ。
険悪になるオレ達の空気に角都が割り込む。
「飛段、ここで##NAME2##に騒がれても迷惑だ。死なない貴様の血を飲ませても、貴様が貧血を起こすだけで済まされる」
それが引き金になったのか、飛段の顔が怒りでカッとなった。
勢いよく立ち上がり、角都に向かって怒鳴り声を上げる。
「どうせオレの取りえは死なないこと、ああ、それだけだ!!「騒がれても迷惑」だァ? ##NAME2##がいざって時に使い物にならなくなるのが困るだけだろが!!」
「お…、おい…」
外まで聞こえるくらいの怒鳴り声にオレは困惑した。
オレと飛段の時より空気が悪くなる。
金を数えていた角都の手が止まり、飛段に顔を向けた。
「なにを言っている?」
「##NAME2##ばっかかまいやがって…。確かにオレは##NAME2##より弱ェし、戦闘経験も少ねえし、複数向きじゃねえし、ノロマだし、忍術もちゃんと使えねえし…、テメーの嫌いなトラブル起こしてばっかだもんなァ!」
自虐的になっている飛段を止めようと手を伸ばしたが、すぐにそれは払われた。
オレを睨み、そのあと角都を睨みながら言い放つ。
「はっきり言えよ、角都! ##NAME2##の方が相方にふさわしいって!! オレなんか邪魔だって言えよォ!!」
「やめろ飛段!」
おそらく、溜めこんでいたのは昨夜からなのだろう。
飛段がだんまりだった理由がこれだ。
「黙れ飛段」
角都の目付きが鋭くなる。
それを見た飛段はせせら笑った。
「へへっ、図星だろ角都。悪かったなァ、邪魔してよ。やっぱジジイでもヤローだなァ」
「黙れと言っている」
「どうせ相方にするなら女がいいよなァ!? オレだってそうだ! 誰がテメーみたいな無愛想なジジイと旅してえって思うかってんだ!!」
プツン、と糸が切れたような音が聞こえると同時に、オレの血の気がさっと引いた。
角都の地怨虞で伸ばされた右手が飛段の胸倉をつかんだ。
「!!」
そのまま、
ポイっ
飛段は2階の窓から捨てられた。
「飛段!;」
窓の外から飛段の「イテッ!!」という声と、「なんだなんだ」と落ちてきた飛段に騒ぐ通行人達の声が聞こえる。
窓から見下ろすのは非常に気がひけたが、飛段の様子を見るためにそっと窺った。
地面に盛大に背中を打ちつけた飛段は痛みで顔をしかめながらヨロヨロと立ち上がり、こちらを睨んだ目でこちらを見上げ、怒鳴り声を上げた。
「角都のバァーカ!! ジャシン様に呪われちまえええええ!!!」
そのあと、通行人を押し退けてどこかへと走り去ってしまう。
「飛段! おい! 戻ってこい! ひだ―――ん!!;」
人目を忘れ、オレは窓から身を乗り出し、遠のいていく飛段に向かって叫んだ。
しかし、飛段はこちらに振り返ることなく行ってしまった。
すでに米粒となっている。
オレは窓から角都に振り返った。
角都は金数えの続きを再開していた。
「角都! いくらなんでもポイはないだろ、ポイは!!;」
飛段も言いすぎだったが、さっきのは誰から見てもあんまりだ。
角都の顔がこちらに振り向く。
「うるさい。さっさと捜してこい」
その言葉が頼みごとに聞こえたのは気のせいだと思いたくない。
「……自分で行けよな」
軽く貧血を覚え、飛段を追うために部屋を出た。
角都の、口より先に手が出るところも知ってるし、叱り方の度が過ぎるところも知ってる。
あと、嫌にプライドが高いところも。
2人とも逆に見えて、メンドクセーとこはソックリだな。
オレはどこに向かっていいのかわからないまま人通りの多い通りを走り抜けた。
通行人共をかき分けたり押しのけたりしながら。
三連鎌を置いてきてしまったことに気付いたが、今更戻れるわけがない。
「クソが…っ!」
角都にイラついてるのか、##NAME2##にイラついてるのかわからない。
今まで使用する術はジャシン様の術だけでいいと思っていたのに、##NAME2##と角都が仲良さげになるにつれて焦ってしまう自分が理解できない。
3人一緒にいても、独りだと思うようになったのはいつからだ!?
まるで置いて行かれたみたいだ。
胸が痛い。
儀式で胸を貫いた時以上の痛みだ。
余裕のない表情で走りながら、ジャシン様のペンダントヘッドを握りしめる。
「オレがおまえの存在を肯定する神になってやる」
不死身の体になる前にジャシン様はそうおっしゃった。
それで十分なはずなのに。
「うお!?」
通りを抜ける手前で通行人の足に引っ掛かってしまい、そのまま前に転びそうになった。
「おっと」
不意に肩をつかまれ、転ばずに済んだ。
「元気がいいのぅ、若いの」
オレの肩をつかんで転ぶのを止めたのは、なんと女だった。
編み笠を被っていて目から下はよく見えないが、スタイルと声と顔の輪郭、鼻と口の形からして美人に入るだろう。
オレを若者扱いしてるが、オレと同じ年ぐらいだと思う。
背も高い方だ。
右袖のない和服を着ていて、腰の長刀が目立った。
「お…、おォ、悪いな…」
女の口元に笑みが浮かんだ。
「おヌシ、いい匂いがするのぅ…」
顔が近づき、驚いたオレは一歩下がった。
「???」
「懐かしい…」
「オレと…どこかで会ったっけ…?」
困惑していると女の背後から聞きなれた声が聞こえる。
「ひだ―――ん!」
「! ヤベ!;」
振り返ってすぐに走り出した。
ふと女のことが気になって途中で顔だけ振り返ったが、女の姿はもうそこにはなかった。
代わりに、連れの女が必死に追いかけてくるのが見え、すぐに前に向き直ってスピードを上げる。
走っている最中、顔の横を真っ赤な蝶が通過した。
町外れに来たのか、一気に人通りが乏しくなった。
やっぱり##NAME2##の方が足が速い。
どんどん追い付いてくる。
「待てよ! 飛段!」
「………っ!」
背中に三連鎌があれば脅かしてやるのに。
「おい!」
「うるせえよ!!」
「……オレが邪魔か?」
「!!」
その弱々しい声に不意に足を止めてしまった。
「ば…っ!!;」
「うげ!!;」
そのせいで、オレの背中に迫っていた##NAME2##と衝突してしまい、地面に転がった。
お互い、息を弾ませながら上半身を起こして道の真ん中に座る。
「……角都が待ってる」
「……待ってねーよ…」
「決め付けるな。捜してこいって言われてんだよ」
「だったら自分で捜しに来いっての!」
「オレに言うな。大体、自分から追い出しといてノコノコ捜しにくる奴だと思うか?」
それは言えてる。
「……………」
オレが黙ってると、##NAME2##はまたあの質問を投げつけてきた。
「オレが邪魔か?」
「…違う…。逆だ…。オレ自身が邪魔な気がして…」
##NAME2##は俯くオレの肩に手を置いた。
「……もしかして、昨夜の角都の「邪魔だ」って言葉、気にしてるのか?」
「……………」
「ネガティブになるな。角都は、おまえが不死身だってことわかってるのに、なんで「どけ」や「邪魔だ」なんて言ったと思う?
言い方は乱暴だけど、ちゃんと連れとして大切に思ってるからこそ、そう投げた言葉じゃないのか?」
「…!」
不死身とわかっているなら、##NAME2##の言う通り、あんなことは言わない。
「「自分だけが」なんて考えるな。オレと角都は、飛段みたいに完全な不死じゃないし、強い敵を一撃で殺す術なんて持ってない…。
年の差なんて関係なく、おまえしかできないことだ。角都もオレも、それを必要としてる」
その言葉を聞いてオレを引っ張っていたものが取れると同時に、焦りが込み上げてきた。
「オレ…、角都に思ってもねえこと…!」
立ち上がった##NAME2##はオレの手を引いて立ち上がらせ、笑みを向ける。
「おまえは先に戻って角都に謝ってこい。2人っきりで話したいだろ?」
「……##NAME2##…」
オレは踵を返し、宿へと急いだ。
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