05:記憶の水滴
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ようやく落ち着いた飛段が「なんだヨルか」と気付いたところで、ヨルは呆れ顔をしている角都を見て、先程の疑問を思い出した。
角都の血を、初めて飲んだ時だ。
(なんでだ? …なんで角都の血が飛段の血とほとんど同じ味なんだ!?)
角都と飛段の血液型は違うはずなのに、恐ろしく思うほど酷似していた。
味も、コクも、喉ごしも、なにもかも。
昼食に飲んだ飛段の血が口の中に残っていた、なんて馬鹿な話ではない。
「先にオレを助けろよ、角都よォ」
「簡単につかまった貴様が悪い」
「その前にテメーが気付け!」
角都の隣に走った飛段は、早速文句をぶつけていた。
そんな2人の姿を見つめながら、ヨルは右手を自分の口に当てながら推測を立ててみた。
(2人は祖父と孫!!)
絶対にありえない。
ありえなさすぎて自分自身を殴りたくなった。
(大体、角都に孫なんているのか…)
「角都、嫁さんか子供いる?」などと軽はずみに尋ねるものなら殺されかねないから冗談でも口にはしない。
同じものを食べているからと言って、血の味まで同じになることはない。
そもそも飛段は野菜嫌いである。
考えれば考えるほどわけがわからなくなり、貧血を起こしそうになった。
「ヨルー、行こうぜェ」
いつの間にか言い争いが終わった角都と飛段は、さっさと川から上がり、土手を上がっていた。
土手から声をかけた飛段にヨルははっとし、宿へと向かおうとする2人の背中を追いかける。
「早く声かけろよ!」
考えるのはまた今度だ。
今は2人の背中を見失わないようにしなければ。
「今まで、置いて行かれても、追いかけようもしなかったのになぁ」
小さく漏らし、空を見上げる。
雨は、いつの間にかあがっていた。
.To be continued