04:弱さの晒し者
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目覚めた飛段は、至近距離にある角都の顔に一発で覚醒した。
それだけでなく、優しい声色で割れ物でも扱うかのように両手で頬を包んでくれるではないか。
「飛段」
「お…、おぅ…?」
飛段は驚愕のあまり口をパクパクさせるだけだ。
「オレはおまえの相棒だ」
「あ…、当たり前…だろォ…」
(近い近い!! ドアップ!! 角都アップ!!)
「ヨル…! ヨルが起きる…!」
パニックのあまり場違いなことを口にした。
頬をつかまれてるせいで、ヨルの姿が視認できない。
「……クク…ッ、はははは!」
突然、角都が笑いだした。
「か…、角都ゥ?」
ついに壊れてしまったのか、と心配する飛段をよそに、角都はひたすら笑ったあと、目の前で印を組んだ。
「解」
煙に包まれた角都。
入れ替わるようにヨルの姿が現れ、ようやく飛段は理解した。
「変化!?」
「正解」
上半身を起こした飛段は、目の前に座るヨルと向かい合う。
「おまえ、出来たのかァ!?」
「変化と分身は完璧だ」
笑顔でピースする。
泥だらけで、朝方まで術の練習をした甲斐があった。
「角都は?」
飛段は辺りを見回すが、角都の姿はどこにもない。
「水汲みに行った」
「角都には見せたのか?」
「ああ。「できて当然だ」って言っただけで褒めちゃくれなかったけど、「少し休め」って言ってくれた」
嬉しそうに話すヨルを見て、飛段は胸がとズキリと痛んだ。
首を傾げて胸を擦るが、怪我をしたわけじゃない。
でも、またモヤモヤが始まりそうな気がして、飛段はヨルにおそるおそる聞いてみる。
「ヨル…さァ…。角都のこと…、どう思ってる?」
「ん? いきなりだな。…んー…厳しいし、すぐ「殺す」とか言うけど、なんだかんだで面倒見はいいよな」
それは飛段も理解していることだ。
「それもあるけどよォ、なんかこう…、超カッコいいとか、超イケてるとか、超カワイイとか…」
もう少し言葉選びができないものかと飛段の顔に熱が集まる。
(早く言うべきことを言ってくれ。楽になりたい)
返事を待っていると、ヨルが急にモジモジとし始めた。
言うかどうか戸惑っている様子だ。
「………その…」
飛段は、あ、やっぱ言ってほしくない、と耳を塞ぎたい気持ちになった。
「カワイイよな…、角都…―――」
(ハァ!!? カワイイ!!?)
全身の毛が逆立つほどびっくりして大声を上げそうになったが、
「―――の、圧害!!」
「………え?」
呆気にとられて引っ込んだ。
「角都の心臓ってことはわかってるけど、デカいけど、超カワイイ!!」
意外や意外。
ヨルはカワイイもの好きだった。
飛段はあの時のことを思い出してみる。
ヨルが頬を染めながら見ていたのは、圧害だったのだ。
角都の近くにいたから、角都自身を見つめているのかと思い違いをしていた。
真実を知った飛段は心底ホッとした。
起きたばかりなのに、倒れそうになる。
「マジ、ビビッたァ」
「なにに?」
「なんでもねーよォ」
「気になるじゃん、教えろよ」
「だーかーらー、なんでもねえって」
飛段は目の前のヨルの額にデコピンを食らわせる。
しかし、うっかり手加減なしでやってしまったため、ピン、という音ではなく、ビシイッ、という音が出た。
「あ」
「~~~~」
額を押さえたヨルがこちらを睨みつける。
軽く謝ろうとしたとき、
ゴン!
まさかの頭突き。
「痛ってェ―――!」
「ざまみろ!」
同じくダメージを受けているヨルも痛そうだ。
すぐに飛段は反撃に出る。
「この石頭がァ―――!!」
ガン!
お返しの頭突きを額に食らわせると、ヨルは呻き声を上げてまた反撃してくる。
「宗教バカ!!」
「吸血バカ!!」
「パンダ!!」
「コウモリ!!」
ゴンガンゴンガン!!
*****
飛段とヨルは頭にたくさんのコブを作り、力尽きてその場に倒れていた。
第一発見者、角都。
「……バカの死体が2体」
「「死んでねーよ」」
.To be continued